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U-22日本代表、パリ五輪出場へ第一関門突破! 底上げのアジア大会、そして運命のアジア最終予選へ

2023.09.19

[写真]=Getty Images、ムツカワモリ

 パリ五輪がいつから始まるかご存知だろうか。答えは来年の7月からである。人気のあるサッカー競技はパリだけに留まらず、フランス各地で広く開催されることになるのも例年どおりだ。

 ただ、「あれ? もう五輪あるの?」という不思議な感覚に囚われるのは、直近のワールドカップが冬開催だったことで1年半しか空いてないこと。そして東京五輪が1年順延となっていたことで、五輪と五輪の間のインターバルが「3年」しかないせいだろう。ついでに言えば、来年1月に例年より1年遅れのアジアカップが入ってきていることで、多くのサッカーファンが不思議な感覚をさらに呼び起こされる可能性は高そうだ。

 では、そんな大会ラッシュの中に巻き込まれているパリ五輪の予選はいつになるのか。

 答えは「1次予選はこの前やってた」であり、「最終予選は来年4月」ということになる。例年は1月に行われていた最終予選だが、ここにアジアカップがスライドしてきてしまったため、ところてん方式に押し出される形となった。勘の良い読者の方であればお気づきかもしれないが、そうなると7月の本大会までの準備期間はわずか。気兼ねなく選手を呼べるインターナショナルマッチウィークは6月の1回のみというシビアな状況がすでに約束されている。

 こうなると、「おいおいオーバーエイジどうするんだよ!」とか言いたくなる気持ちも非常にわかるのだが、それは取らぬ狸の皮算用。まずは予選突破を果たさないことにはどうにもならない。五輪代表、つまりU-22日本代表を率いる大岩剛監督の言葉を借りれば、「ここを突破しないことには何も始まらない」戦いである。

 9月6日に開幕したAFC U23アジアカップ予選、要するにパリ五輪アジア1次予選はそんな戦いの第一幕だった。サウジアラビアの隣に位置する中東の島国バーレーン王国で開催されたこの大会に、大岩監督は現状のほぼベストと言える編成で必勝を期して乗り込んだ。4チーム総当たり戦での結果は2勝1分の首位通過。初戦でパキスタンに6-0と快勝すると、曲者パレスチナとの第2戦は1-0の辛勝、地元バーレーンとの最終戦は0-0の引き分け。夜になっても気温35度、湿度70%前後という「経験したことのない暑さ((藤尾翔太)」と相手の堅守に総じて苦しみつつの突破となった。

 結果について「まずはここを突破するのが大事」「最低限のタスク」とした指揮官が同時に「この環境の中で3試合戦ってくれた選手たちを評価したい」「そんなに悲観することもない」としたのは、実際に現地で取材した身としては理解できるところではある。直近のリーグ戦をこなしてからの弾丸移動を経ての大会入りで、コンディションの維持もままならない気候の中で、思うような先発オーダーも組めなかったからだ。

 また、選手が口々に「これを経験しとけて良かった」といった言葉を漏らしていたように、アジア予選での日本がしばしば直面する「日本全面リスペクト布陣」に苦しんだことも、長い目で観て好材料だろう。例えば最終戦で当たったバーレーンも、本来の4バックシステムを捨てて日本戦だけは5バックの厳戒態勢で臨んできた。こうした対日本シフトは、今回の予選で日本が実際に苦しんでいる姿をアジア各国の偵察部隊に見せてしまったこともあり、来年の最終予選でも当然のように想定されること。それを食い破るための術策は、しっかり準備しておく必要があるだろう。

 また異国の環境への対応という意味では、今大会からJFAアカデミー福島の平田太圭龍シェフが帯同。「普段の自炊よりずっと良い飯がパッと出てくるので本当にありがたい」と山本理仁が笑顔で語ったように、選手たちの体調維持に大きく貢献。酷暑の連戦にもかかわらず、体重を大きく落とすような選手が出なかったのは大きかった。

 またコンディションを落とすことなく活動できるという点について、「クラブに良い状態の選手を戻すという意味でも大事」と語ったのは反町康治技術委員長。今回は、過去の五輪世代では基本的に行っていなかったビジネスクラスでの移動も採用。これも「この年代の選手は筋肉も付いて体が大きくなっていることもある」という点に加え、「少しでも良い状態で試合をして、少しでも良い状態の選手をクラブに戻したいということもある」(同委員長)という意図からだった。もちろん、予算には限りもあり、「ビジネスクラスで移動するために、海外遠征の数自体を減らしていくということになったら本末転倒」(同委員長)ではあり、このあたりは移動時間や大会の過酷さといった要素も加味しながらの判断となっていきそうだ。

 ただ、来年の最終予選に向けての課題はそうしたピッチ内での課題やコンディショニングといった問題だけではない。4月開催となったことで、「現実問題として欧州のクラブ、特に残留やプレーオフなどを争っているクラブは選手を出してくれるかわからない」(反町技術委員長)という課題は重くのしかかる。

 1次予選はインターナショナルマッチウィークに開催されたことで欧州組も問題なく招集できたが、最終予選に関しては、予選への参加を盛り込んでいる選手以外の招集は不透明。今冬に欧州へ移籍する選手がさらに出てくる可能性もあり、その場合はベストオーダーを揃えるのはさらに難しくなりそうだ。

 またJリーグは基本的に協力する方向ではあるものの、オフシーズンの1月開催だった当初とは異なり、各所属チームには大きな負担をかける形となる。7月の本大会でも選手を拘束することを考え、5月に行われる恒例のモーリスレベロトーナメント(旧・トゥーロン国際大会)への参加はペンディング状態。五輪イヤーは五輪代表年代(U-23)での開催となり、今回はパリ五輪ご当地での大会とあって本来は是が非でも出たい大会だが、難しいかもしれない。

 同様に難しい状況での参加となったのが、20日に中国・杭州で初戦を迎えるアジア競技大会だ。こちらもコロナ禍の影響で1年遅れでの開催。「U-23+オーバーエイジ3名」というレギュレーションが採用されている同大会は、1年遅れのため「U-24+オーバーエイジ3名」で実施される大会だ。

 金メダルで兵役免除となる韓国などはこのレギュレーションに沿って欧州組やA代表組を含む最強メンバーを編成して臨んでいるが、日本は例年大会規定を2歳下回る五輪年代(つまり今年で言えばU-22)、オーバーエイジ選手を起用しない編成で参加してきた。今回も同様の枠での参加となるが、1次予選の開催直後というタイミングでの大会になってしまったため、日本はスタッフそのまま、選手は完全別編成という形に落ち着いた。Jリーグ開催期間中のため、MF重見征斗(福岡大学/アビスパ福岡内定)ら大学生が半数近くを占める形になっている。

 逆に言えば、これは新戦力を発掘してチームに組み込んでいく好機だ。東京五輪代表においても、実質的なBチームで参加した2019年のトゥーロン国際大会に、後の五輪正メンバーにしてA代表選手である田中碧、相馬勇紀、まだ大学生だった三笘薫、旗手怜央がいたという前例もある。同様のブレイクスルーが出てきてくる可能性は十分あるだろう。

 アジア競技大会初戦となるカタールとの一戦は、現地時間20日19時30分(日本時間20時半)から開幕することとなる。

取材・文=川端暁彦

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By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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