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コロンビア戦はシュートゼロ 左右で奮闘も、伊東純也が直面した南米勢の壁

2023.03.29

コロンビア戦で先発出場した伊東 [写真]=金田慎平

「コロンビアのディフェンスにヘンクで一緒にやっていたメンバー(ジョン・ルクミ)もいるので、楽しみです。球際とかが強いチームだと思うので、そこに負けずに、ウルグアイ戦よりはもっと攻撃ができればいいと思います」

 28日のコロンビア戦。右サイドで先発した日本代表FW伊東純也には攻撃活性化のキーマンとしての期待が高まった。

 ウルグアイ戦では後半途中から出場し、持ち前の縦への突破力を見せつけて西村拓真の同点弾をお膳立てしているだけに、そういったアグレッシブな動きを頭から強く押し出してほしかった。

 左サイドで三笘薫が先発した以上、右サイドで敵を引っ張って左のスペースを空けることは、日本にとって重要な攻撃パターンになる。その一端が開始早々の3分に出る。右サイドに流れた町野修斗がタメて守田英正に戻し、クロスにファーサイドの三笘がヘッドで合わせて先制弾をゲット。伊東自身は直接絡んでいなかったが、「三笘の決定力を生かす」というテーマがいきなり結実したのである。

 そこから日本は攻撃をより活性化させ、追加点を奪いたかったが、ボール保持に意識が向きすぎて遅攻が多くなりがちだった。33分の失点後、伊東は流れを変えるべく、右からのチャンスメイクを積極化。38分には三笘目がけて鋭い折り返しを見せ、40分には鋭いマイナスクロスを西村に供給。決まっていればアシストがつくプレーだったが、惜しくも得点に至らなかった。

「もっと高い位置でウインガーが持てればいいと思います。俺と薫が低い位置で持つことが多かったし、あんまり高い位置で受けれなかった。ボランチとの距離が遠くて、そこからボールが入ることが少なかったし、トップ下にもFWにも効果的なパスが入らなかった。もっとサイドをうまく使って展開することが必要。俺らも1対1の形になればもっといいかなと思います」

 伊東は消化不良感を吐露する。やはりチーム最大のストロングである両サイドが輝かないと、日本代表は躍動感のあるサッカーを見せられない。それを分かっていたからこそ、彼自身も打開策を見出そうと躍起になっていたのだろう。

 迎えた後半。途中から不慣れな左サイドでプレーした。三笘が足を痛めており、55分くらいに交代することを事前に告げられていたという。伊東自身、過去に代表では何度かトライしたことはあるが、感覚的な違いはどうしても否めない。戸惑いながらのプレーになったのは確かだ。

 日本が致命的な2失点目を招いたのは、まさにそんな頃。バングーナガンデ佳史扶が負傷し、森保一監督が瀬古歩夢の投入を選択。彼をCBに配置し、伊藤洋輝を左SBに移動させた連携の不安定さを突かれ、最終的には鎌田大地の同僚であるラファエル・サントス・ボレに目の覚めるようなバイシクルを叩き込まれたのだ。

「コロンビアは前に強い選手がいた分、シンプルなロングボールでやられてしまった。ああいうところの対応が課題です。南米とやる時はこちらのプレスがハマったと思っていても、結局、ロングキックで収められる。セカンドボールで相手が有利になったり、余裕を持ってFWに落とされたりしてチャンスを何回も作られたんで、もっと強く行くところは行かないと。FIFAランクで自分たちより上の相手に勝たないとW杯で上を目指せないので、そこは意識しないといけないですね」と伊東は神妙な面持ちで語っていた。

 ヘンクやスタッド・ランスで日常的に南米勢とプレーしてきた彼でさえ、相手の老獪さを痛感した様子。となれば、国際経験の少ない若手やJリーグ組はなおさらだ。FIFAワールドカップカタール2022は幸いにして南米勢との対戦はなく、ある意味、正攻法で戦えたが、彼らは一筋縄ではいかない。今回のウルグアイ、コロンビア2連戦で日本は現実を突きつけられたと言ってもいいかもしれない。

 伊東自身もこの試合ではまさかのシュートゼロ。浅野拓磨が入って2トップになった終盤には菅原由勢の長いクロスに飛び込み、ヘディングシュートを打ちに行ったが、相手にブロックされ、枠を捉えることができなかった。本人も「決めるべきところで決めないといけない」と反省しきりだった。

 ただ、「困った時の伊東」は健在。左右のサイドで献身的にプレーし、いざと言う時に違いを作ってくれる男の存在価値の高さを森保監督も改めて痛感したことだろう。

 2戦1分1敗という悔しい結果に終わった新生森保ジャパンの初陣だったが、伊東にとっての数少ない収穫は菅原との縦関係に手ごたえをつかめたこと。これまでの4年間は柏レイソル時代の先輩でもあった酒井宏樹にサポートされながら右の切り札に飛躍できたが、今後は菅原を生かしつつ自身も輝ける連携を築いていく必要がある。その布石を打てたのは大きい。

「由勢は気が利く選手。中を取ってインナーラップしたり、自分にボールが入りやすいパスコースを作ってくれたりしている。何回もやっていくことで連携も良くなるし、守備面も改善していくと思います」と前向きにコメントしていた。

 新たな刺激を得ながら、33歳になる2026年まで代表で戦い続けることが肝要だ。伊東純也はもっともっと高い領域に辿り着ける選手。30代の3年間でより円熟味を増していってほしいものである。

取材・文=元川悦子

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