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香川や岡崎からの学びも胸に 橋岡大樹、日本代表右SB争いを勝ちに行く!

2023.03.20

21年以来となる日本代表活動になる橋岡 [写真]=兼子愼一郎

 2026年開催の北中米ワールドカップに向け、20日から本格始動した第2次森保ジャパン。初日のトレーニングは16人が参加したが、最初のランニングで遠藤航や板倉滉らFIFAワールドカップカタール2022の主軸とともに先頭を走った1人が橋岡大樹。EAFF E-1選手権2019決勝大会以来となるA代表での試合出場を目指し、23歳の右サイドバックは闘志をむき出しにしているのだ。

 橋岡は2021年1月にベルギー1部のシント・トロイデンへ赴き、早くも3シーズン目を迎えている。最初のシーズンは半年間でリーグ6試合出場にとどまったが、2年目からはレギュラーに定着。2021-22シーズンは30試合、今シーズンもリーグ戦30試合中29試合に出て、着実に存在感を高めている。

 目下、シント・トロイデンはリーグ戦12位で、優勝を争うトップ4のプレーオフ圏内には差があるが、ヨーロッパ大会の出場権を争う5位から8位までのプレーオフ圏までは勝ち点差わずかに3。しかも総失点数の34はリーグ3位タイの好成績である。シュミット・ダニエルともに橋岡が堅守を支えているのは、紛れもない事実だ。

「チームでスタメンを勝ち取ることはマストでしないといけないこと。それができたのはまず良かったと思います。そのうえで、ベルギー内で『この右SBはいい選手』と思わせられるのが目標だったので、安定したプレーができている今シーズンは徐々に認められてきているんじゃないかと実感しています。守備面では自分の特長である対人や競り合いのところを、シント・トロイデンに入った時から監督から強く言われていることで。そこは絶対的に負けないというのを日頃から意識して取り組んでいます」と橋岡自身も自覚し、努力を重ねて、現在に至っているのだ。

 それと同時に、今シーズンは攻撃面でも目覚ましい進化を遂げている。最近の試合を見ても、右インサイドハーフに入っている岡崎慎司とのコンビで右サイドを崩し、中で待ち構える原大智や林大地に決定機をお膳立てするといった仕事が効果的にできているのだ。

「今シーズンのアシストは3ですけど、ゴールに関わる数はたぶん昨シーズンより一段と増えている。そういった意味では攻撃面でも成長できているのかなと。後ろからのビルドアップにも参加しないといけないので、そういう部分も意識しながら毎日の練習にもトライしている。それが試合でのパフォーマンスにつながっていると思います」と本人もプレーの幅が広がったという手ごたえをつかんだ様子だ。

 その成果をA代表にぶつけ、菅原由勢、半田陸との右SB争いを制するしかない。ヨーロッパでの経験値では菅原に劣るものの、橋岡には落ち着きとリーダーシップという武器がある。そこは自信を持っていい点だ。

 加えて言うと、岡崎慎司、香川真司という2人の代表レジェンドから直々に学んだ“代表魂”も備えている。特に香川とは昨年9月の国際Aマッチウイークに一緒にフィンランドへサウナ旅行に出かけるほどの強い師弟関係を築いた。そんな先輩たちのプロフェッショナリズムと代表への熱い思いを間近で見続けてきた橋岡は、貴重な経験を新生ジャパンに生かさなければならない。

「2人から『代表でこうしてこい』というのはないですけど、岡崎選手からは『思い切り考え過ぎずに自分のプレーをしてくればいい』と。『うまいことをするんじゃなくて、自分のプレーをしてこい』と言われました。香川選手は日本に帰っちゃっていますけど、『チャンスだな。頑張って来い』というメッセージはもらいました。2人と日々のトレーニングや私生活で時間を過ごす中で、チームで結果を出すことが代表につながってくるんだとよく分かりました。結果がついてきてこそ、代表に呼んでもらえる。そう思って僕もやってきた。今回は自分が今、できることを100%出し切って、自分らしいプレーができればいいと思います」と神妙な面持ちで言う。

 そうやってコツコツと地道に結果を出し続けることで、代表定着、そして3年後のW杯出場への道が開けてくる。カタール大会はベルギーの自宅で観戦し、「自分もここに立ちたい」という強い野心が芽生えたというが、だからこそ、次の大舞台に立たなければ意味がない。かつてプレーした浦和レッズで現在キャプテンマークを巻く酒井宏樹が「若い選手出てきてほしい」とコメントしたことも糧にして、橋岡は貪欲を高みに追い求めていく構えだ。

「自分の中では酒井選手は越えなければいけない選手の1人。日本代表をもっと強くするうえで、彼を越える右SBが出てくることは本当に重要なこと。そういう選手に自分がなれればいい」と目をぎらつかせる23歳の成長株はその布石を打てるのか。まずは今回のウルグアイ、コロンビアとの2連戦でのパフォーマンスをじっくりとチェックしたいところである。

取材・文=元川悦子

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