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長友佑都の現役続行決断、決め手は「人生で一番衝撃受けた」W杯決勝の魂込めた戦い

小池都知事を表敬訪問した長友 [写真]=元川悦子

「この4年間はカタールワールドカップに全てを賭けてきたので、1回休んで今後、どうするかを考えていきたい。FC東京との契約?それも含めてまずはゆっくり休んで考えたいと思ってます」

 クロアチア戦翌日の12月6日、長友佑都は今後の身の振り方について白紙であることを強調した。

 4年前のロシアW杯後にはキャプテンだった長谷部誠が代表引退を表明し、長年の盟友である本田圭佑も代表キャリアに区切りをつけ、現在はカンボジア代表の事実上の指揮官として采配を振るっている。

 ベテラン選手になれば、いつか必ず考えなければいけない問題だが、長友はなかなか決断を下せない様子だった。

 それから約3週間が経過した22日、東京都の小池百合子知事を表敬訪問した際、彼はメディアの質問に答え、「まだ体がバリバリ動くので。僕のイメージ通り動いてくれるので、現役はやりたいと思ってます」とピッチに立ち続ける意向を口にした。

 代表に関しても「サッカー選手である以上、現役でやっている以上、日本代表は目指すべき場所。それが僕の大きなモチベーションでもあるので、その場所を目指したいなと思ってます」と再び日の丸を視野に入れる構えを見せていた。

「現役である以上、代表を目指す」というのは、長友の盟友である香川真司、岡崎慎司(ともにシント・トロイデン)のポリシーでもある。森保ジャパンから離れて3年以上の月日が経過した今年10月、2人は「最後の1枠を手繰り寄せるかは自分次第。経験枠とかではなく、戦力として見られるように、クラブで結果を出したい」とガムシャラなアピールを続けていた。

 そういう泥臭さが彼ら30代に共通するメンタリティなのかもしれないが、多くの同世代の仲間たちの思いを背負って、長友が再びピッチに立つ覚悟を固めつつある。

 一時は燃え尽きたかと思われた心にまた火が灯ったのは、18日のW杯決勝、アルゼンチン対フランスの激闘を見たことが大きいという。リオネル・メッシが2ゴール、キリアン・エンバペがハットトリックと、両10番がゴールラッシュを見せる中、最後はPK戦でアルゼンチンが36年ぶりのタイトルを獲得するという手に汗握る一戦を「史上最高のファイナル」と言う人も多い。

「あの決勝は僕の人生の中でもナンバーワンというくらいの衝撃を受けましたし、感動した試合だった。とにかく球際の魂を込めたデュエル、戦いは本当に感動するものがありました」と長友自身もしみじみと語っていた。

 4度トライしたベスト16の壁から進めていない日本がその領域に到達するのは難易度が高いが、アフリカ初の4強入りを果たしたモロッコがあそこまで躍進したのだから、日本も最高峰レベルに迫れないわけがない。長友はそう信じ続けているという。

「日本が世界トップに行くためには、あのレベルで球際を戦って、そのうえで攻撃のスキル、個の力を磨いていかないといけない。そうしないとW杯優勝は達成できないと思います。まだまだ差はありますけど、僕は2008年から日本代表でプレーさせてもらっていて、明らかにチームが進化している、選手個人も能力は上がっている。なので、このままいけば日本もその位置には絶対に目標達成できるなと僕は信じています」と長友は語気を強めたのだ。

 日本がトップ・オブ・トップになろうと思うなら、やはりメッシやエンバペのような傑出した個が複数いなければいけない。そのメッシでさえもW杯だけは5度目の挑戦にして手中にしたのだから、どれだけ難しいタイトルかがよくわかるだろう。

「メッシとエンバペは本当に化け物。モンスターですね。彼らにはビックリしたし、メッシが悲願のW杯優勝を達成して、全タイトルを総なめにしたのも凄かった。まさに神の子から神様になったと思うし、尊敬しますね」と1つ年下のスーパースターに思いを馳せた。

 W杯後の代表キャリアが不透明だったメッシは続行の意思を示した。1つ年上のルカ・モドリッチも来夏のUEFAネーションズリーグファイナル4までは少なくとも代表で戦うと明言。となれば、日本のメンタルモンスターも負けてはいられない。もちろん次の代表監督や若い世代の台頭にもよるが、飽くなき闘争心を燃やし続けてくれれば、見る側としては頼もしい限りである。

「現役を続けるならFC東京で? そうですね。それはあります」ともコメントした長友だけに、2023年も青赤のユニフォームを着る可能性が高そうだ。同クラブには中村帆高やバングーナガンデ佳史扶らがいて、熾烈なサイドバック競争を強いられることになるが、つねに前向きな男は自分が納得できるところまで走り続けていくはずだ。

 2023年の長友佑都の動向が楽しみだ。

取材・文=元川悦子


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