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ドイツ戦を浮上の契機に…南野拓実、“背番号10”の本領発揮に期待

[写真]=Getty Images

 FIFAワールドカップカタール2022、日本代表のグループステージ突破の行方を左右する重要なコスタリカ戦が27日に行われる。

「得失点差も大事だけど、まずは勝ち点3を取ること。理想はスペイン6、日本6で次の試合に行けることが理想中の理想。W杯がそんなに甘くないのは重々承知ですけど、やるべきことに集中するだけですね」とキャプテンの吉田麻也も強調するように、チーム一丸となって連勝しに行く構えだ。

 98年のフランスW杯からの歴史を紐解いても、日本が2戦目で勝利したのは、2002年日韓W杯のロシア戦だけ。この時は初戦のベルギー戦に引き分けており、開幕から2連勝は一度もない。このハードルを越えて、一気にラウンド16入りを決められれば、先々の戦いも楽になるし、ベスト8という大目標にも近づく。次戦は確実に勝ち切ることが肝要なのだ。

 中3日の過密日程を踏まえ、大幅にメンバーが入れ替わることも予想される中、南野拓実も臨戦態勢に入っている。初戦のドイツ戦では75分から登場。最初のボールタッチで堂安律の先制ゴールをアシストしている。明らかに復調傾向の背番号10がスタメン有力候補なのは間違いないだろう。

「(コスタリカ戦の攻撃で)一つ重要になるのは、自分たちのパスのクオリティや入っていくタイミング。複数人で共鳴できればチャンスになる。出し手と受け手だけの関係ではなかなか難しいところがあるので。何人かで共有して、動いて、スペースを作るプレーは日本の一つの特長。そこをうまく出せればいいかなと思います」

 静かに語る南野の脳裏には、堂安のゴールにつながったシーンが焼き付いているのだろう。左サイドから三笘薫がスルスルとドリブルで持ち上がり、対面にいたニクラス・ズーレとレオン・ゴレツカが寄せた瞬間、彼は背後に生まれたギャップを見逃さず、鋭い飛び出しを見せた。次の瞬間、ボールを受け、角度のないところから左足を一閃。マヌエル・ノイアーが弾き、目の前に詰めていた堂安がリバウンドを押し込む形になったのである。

「『たぶん誰かが走ってるやろ、あそこには』というのは感じていた。(浅野)拓磨が走っていたんですけど、ああいうことが起こり得るだろうなと。オウンゴールでも(ゴールの可能性が)あるやろなっていうのも思ったし」と本人は仲間の動きを感じながら、大胆にクロス気味のシュートを打ちに行った。複数人が共鳴してこそゴールが生まれるという象徴的なシーンだったと言えるのではないか。

 加えて言うと、ペナルティエリア内でプルアウェイというのは、南野の得意なプレーでもある。リヴァプールやモナコで中央寄りの位置に使われた際、フリースペースを突こうと虎視眈々と狙っているシーンがしばしば見受けられた。両クラブでの南野は途中出場が多かったが、「短時間で何をすればゴールに直結する仕事ができるか」というのを感覚的にわかっていたのだろう。日頃の積み重ねが大舞台で出たことで、本人も自信と手ごたえをつかんだはずだ。

 満を持して迎える今回のコスタリカ戦。思い返してみれば、2018年9月の森保ジャパン初陣で代表初ゴールを奪ったのも、この中南米の強敵だった。

「もちろんいいイメージはありますけど、その時からは全然別のチームで、状況も全く違う。個人的には忘れてと言うか、そういうことを考えすぎずに、今、置かれている状況の中で、自分たちがどう戦うかに集中したいです」と過去に囚われることなく、新たな南野拓実のプレーを示すつもりだ。

 とはいえ、この4年2カ月の間に代表キャップ数を45まで積み上げ、17ゴールを奪った実績は確実に力になるはず。直近の得点は今年2月のサウジアラビア戦。やや時間が空いているものの、最終予選は左サイドを主戦場としていたため、どうしてもゴールから遠くなり、凄みを発揮しきれない部分があった。が、9月シリーズ以降はトップ下に原点回帰し、一番やりやすいポジションでシュート技術の高さを出せるようになっている。その追い風を生かさない手はない。今こそ背番号10の本領を発揮すべき時である。

「(今回がW杯初出場だけど)今はもうW杯に出る嬉しさはないし、出て何かをしたいという思いが強い。ビッグマッチで何かを起こすには、何かを感じ取る力と決める力というのが必要。ここまでのシーズンの流れとかは関係なく、感覚的なところを出していきたい」と目をぎらつかせている。

 南野にゴールが生まれれば、間違いなく日本攻撃陣が勢いづくし、複数得点に弾みもつく。コスタリカに大勝できれば、日本のグループ突破、悲願の8強入りも現実味を帯びてくる。

 名波浩、中村俊輔、香川真司と過去のW杯で日本の“エースナンバー10”をつけた面々は苦しんだ印象が強いが、南野は自らの力で成功を引き寄せられる立場にいる。この千載一遇のチャンスを確実にモノにしてもらいたい。

取材・文=元川悦子

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