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成長一途の旗手怜央、日本代表デビュー&W杯への一歩を踏み出せるのか

2022.03.28

ミニゲームで仕掛ける旗手 [写真]=金田慎平

「オーストラリア戦でカタールワールドカップ行きが決まって、現段階でそのメンバーにはいたということで、少なからずチャンスはある。憧れだった舞台に立てる可能性があるとは感じているので、出られるか出られないかは自分次第。自分自身にフォーカスしてやっていきたいと思います」

 24日に行われたFIFAワールドカップカタール2022アジア最終予選のオーストラリア代表戦で、旗手怜央は7大会連続出場権獲得の瞬間をベンチから見届け、殊勲の盟友である三笘薫らと喜びを分かち合った。

 ここまで最終予選は出場なし。ベンチ入りしたのも今回が初めてだったが、「本大会に出場する選手は大きく変わる。ロシアの時は最後の1試合でガラッと変わった」と吉田麻也が発言した通り、本番に挑む23人の行方は最後の最後まで分からない。むしろ進境著しい旗手のようなタイプは大いに可能性があるとみていいかもしれない。

 実際、2020年に川崎フロンターレ入りした頃は東京五輪にさえ、出られるかどうか微妙だった。2020年1月の新人研修会の際には「東京五輪は夢のまた夢。今の自分が海外組の選手より勝るものは何かと言われてもハッキリとは分からない」と弱気な発言をしていたほど。久保建英や堂安律のいるアタッカーのピースとしては確かに物足りなさが見て取れた。

 状況が大きく変わるきっかけになったのが、2020年終盤の左SBへのコンバート。「川崎で最初左SBになった時は受け入れられない自分もいた」と本音を吐露する。それでも静岡学園時代に養ったタフさと強靭なメンタリティで前向きに取り組み、全身全霊を注いだところ、本職以上のパフォーマンスを見せるようになる。

 左SB経験が他のポジションでも好影響をもたらし、左サイドハーフ、インサイドハーフでも異彩を放ち始める。2021年Jリーグでは文句なしのベストイレブン入り。夢だった東京五輪出場を勝ち取り、今年から海外挑戦のチャンスも手中にした。静学の川口修監督から「いつかチャンピオンズリーグに出るような選手になれ」と激励された通り、世界への一歩を力強く踏み出したのである。

 新天地のセルティックでは1月16日のハイバーニアン戦で前田大然、井手口陽介とともにデビュー。続く25日のハーツ戦でいきなり初ゴールをゲット。さらに2月1日にレンジャーズとのダービーマッチで2発と目覚ましい活躍を見せ、アンジェ・ポステコグルー監督や熱狂的サポーターの信頼を勝ち取った。傍目からは華々しいスタートのように映ったが、本人は移籍当初、現地適応に苦労したという。

「そもそも日本とは環境も違いますし、ピッチコンディションや気候も全然違う。球際が激しく、攻守の切り替え、プレースピードの速さなどサッカーの違いに適応するのもすごく難しかったです。ポステコグルー監督が『恐れずプレーしろ』とすごく言ってくれたし、環境に慣れるサポートをしてくれた。そのおかげで徐々に慣れてきた感じはあります」と日本人の特性や長所を熟知するオーストラリア人指揮官の後方支援に感謝した。

 森保監督もこうした事情を理解したうえで、今回、満を持して招集。大一番のオーストラリア戦を間近で体感させた。となれば、次はピッチに立って日本代表として躍動するしかない。

 29日のベトナム戦は遠藤航の離脱もあって、中盤の構成が確実に変わる。4-3-3を継続するか否かも定かではないが、もし同じシステムのままなら、旗手はセルティックで主戦場となっているインサイドハーフで先発する可能性が高い。場合によっては守田英正、田中碧という元川崎トリオ結成もありえるし、守田か田中のいずれかがアンカーに入って原口元気と左右のインサイドコンビを組むかもしれない。どのパターンになっても見る側は非常に興味深いのだ。

「代表のインサイドハーフで今、出ている守田選手や田中選手と比べるのであれば、僕自身は攻撃的な選手。彼らにないものはゴールやアシストだと思う。そこを求めていかないといけないですけど、人と比べることなく、自分自身が特徴を出してやるのが一番だと思います」

 旗手は川崎時代からこういった意識を持ち続けてきたのだろう。確かに田中や守田とは違うタイプ。球際や運動量で勝負でき、マルチな仕事をこなせて、得点にも絡めるという強みを研ぎ澄ませることで、ここまでのし上がってきた。強みが有効であることをセルティック移籍後も証明した。その作業を地道にコツコツと続けていけば、8か月後の大舞台への道も開けてくるはず。そう信じて突き進むしかないのだ。

 パク・ハンソ監督率いるベトナムは強固な組織力を備えたチーム。11月のアウェー戦のように日本も守備ブロックを攻略するのに苦労するかもしれない。そんな相手に旗手は力強くアグレッシブにぶつかっていける持ち前のハードワークを前面に押し出すことが肝要だ。10月のオーストラリア戦で最終予選デビューを飾った田中のようにゴールという結果からスタートできれば、一気に波に乗れるはずだ。

 東京五輪世代の万能男が森保ジャパンの秘密兵器になれるか否か。次の一戦はそこに注目だ。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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