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ジョーカーか、先発か W杯出場権獲得へ“左の切り札”三笘薫への期待

21日、日本代表に合流した三笘 [写真]=JFA

 24日に迫ったFIFAワールドカップカタール2022への大一番であるオーストラリア戦に向け、力強い存在が戻ってきた。11月のオマーン戦で後半からピッチに立ち、敵をキリキリ舞いさせ、伊東純也の決勝弾をお膳立てした三笘薫である。

「クラブではトップで出ることもありますけど、ウイングバックという攻撃も守備も関わっていかなければいけないポジションをやっているので、彼が成長している守備の部分や、インテンシティ高く戦えることを示しつつ、武器である得点に絡める攻撃力を発揮してほしいと思っています」と、森保一監督も16日のメンバー発表会見で期待を示した。

 実際、手堅い指揮官がA代表初招集の選手をいきなり最終予選の大舞台に抜擢するのは異例のこと。それだけ11月シリーズの三笘のインパクトは絶大だった。東京五輪はケガで出遅れ、本来の力を出し切れなかった分、本人も「A代表では絶対に持てる力の全てを出し切る」と決意していたのだろう。

 出場するや否や、迷うことなく仕掛けに行き、FKを奪うと、オマーン守備陣が綻び始める。川崎フロンターレ時代に「ヌルヌルドリブル」と称された自由自在の突破に敵はついてこられず、完全にリズムが狂った。あの鋭い切れ味と巧みな緩急のつけ方は見る者を大いに驚かせた。

三笘薫

[写真]=Getty Images

 衝撃的A代表デビューで左サイドスタメン待望論も高まった。4-3-3へシフトして以降、南野拓実と長友佑都の左サイドが思うように機能していなかったこともあって、「三笘と中山雄太の縦関係がベターではないか」という声も聞こえてきた。

 当人も「僕ら東京世代がもっとやらないというのはあるので、これからどんどんスタメンを担っていける選手が増えていくように、僕も頑張りたい」と目をぎらつかせていた。

 そのチャンスは1、2月の中国とサウジアラビアとの2連戦で訪れると見られたが、三笘は年明け早々に右足首を捻挫。長期離脱を強いられ、最終予選の重要局面を棒に振った。2月に入ってからも復帰が叶わず不安視されたが、2月19日のシャルルロワ戦でようやくベンチに復帰する。そして翌週26日のオイペン戦でスタメンに返り咲き、フル出場。そこから3試合は後半からの出場となっているが、直近18日のオーステンデ戦はまるでオマーン戦の再現を見ているかのような圧倒的存在感を示していた。

 0-1のビハインドの状況で後半頭から左ウイングバックに入ると、凄まじい突破力で敵を翻弄。次々と決定機を作り出す。味方アタッカー陣の決定力不足が重なり、なかなか同点弾を奪えなかったが、最終的には三笘がゴールの起点になった。

 そんな一挙手一投足を見ていると、オーストラリア戦の切り札としての期待値は高まる一方だ。大迫勇也という絶対的1トップが負傷離脱した今、森保監督が南野を最前線に上げる可能性もあるだけに、左の三笘にかかる部分は大きくなると見ていいだろう。

三笘薫

[写真]=Getty Images

「勝利すれば決まる状況なので、この1試合にチームとしても個人としての命がけで戦おうと思いますし、代表としても未来が決まる試合。この前のオマーン戦もそう思っていましたけど、先輩たちがつないできた結果を自分たちがつなぐためにも、自分たちの未来や夢のためにも、後悔なくプレーして勝利できればうれしいかなと思います」

 21日のオンライン取材でこう語った三笘からは強い目力が見て取れた。川崎時代は注目度が突然高まり、戸惑いもあったのか、メディアから少し遠ざかる様子も感じたが、異国で半年以上過ごして、肩の力が抜け、自然体の自分を取り戻したのかもしれない。

 左ウイングバックを主戦場にしつつ、トライ&エラーを繰り返し、成長を感じ取れたのも大きな自信になっているのではないか。

「仕掛ける位置は低いところからになりましたし、ボールロストしてしまえばピンチになる回数は増える。そこで抜きに行くところと運ぶドリブルを考えてやるようになりました。もっとゴールやアシストにつながるプレーをやらないといけないので、そのためには運動量を増やしていかないと。最終ラインで構えて守備をしてくる相手も多く、そこからカウンターを仕掛けてくるケースもあるので、守備の意識も高めないといけない。空中戦や球際のシーンも増えているので、いろいろ整理しながらやっています」

三笘薫

[写真]=Getty Images

 こうしてプレーの幅や選択肢が増えたことで、今回のオーストラリア戦では「新たな三笘薫像」が見られる可能性は高い。森保監督が彼を先発に抜擢するのか、オマーン戦同様にジョーカー的な起用をするのかは今のところ不透明だが、本人はどういう形でもチームの勝利につながる明確な結果を求める覚悟だ。

 思い返してみれば、2018年ロシアW杯切符をつかんだ2017年8月のオーストラリア戦でゴールを奪ったのは、浅野拓磨と井手口陽介という若い2人だった。本田圭佑、岡崎慎司、香川真司の「ビッグ3」が揃ってスタメンから外れる中、彼らのようなフレッシュな面々が結果を出したことで、日本サッカー界は新たな一歩を踏み出したといっても過言ではなかった。

 今回も三笘や田中碧、上田綺世、林大地といった東京五輪世代がカタールへの扉を開く決定的な仕事をしてくれれば、森保監督が前々から強調していた「世代交代」が大きく前進する。大迫と酒井宏樹という30代コンビがいない今、長友や吉田麻也ら年長者たちに依存せず、三笘ら20代半ばの円熟期を迎えたプレーヤーたちが一皮むけてくれれば、本当にカタール本大会のベスト8入りに希望が見えてくる。

 その牽引者たるべき男である三笘薫には、豪快な一撃をお見舞いして、因縁の相手のオーストラリアを撃破してほしい。

取材・文=元川悦子

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