選手・スタッフ一同で決勝トーナメント進出を喜ぶタイ代表 [写真]=AFC
AFCアジアカップUAE2019のグループA第3戦が14日に行われ、タイ代表は開催国のUAE代表と対戦。1-1で終え、UAEに続く2位で決勝トーナメント進出を決めた。
タイはこの一戦、チャナティップ(北海道コンサドーレ札幌)、ティーラシン(サンフレッチェ広島、2019年はムアントン・ユナイテッドへ復帰)、ティーラトン(ヴィッセル神戸、2019年はムアントン・ユナイテッドへ復帰)と、昨季Jリーグでプレーしていた3選手が先発。試合後、左ウィングバックとして精力的にプレーしたティーラトンを日本のメディアであると明かし、「トーナメント進出、おめでとうございます」と呼び止めると、「ありがとうございます」と日本語で返してくれ、「とても嬉しいよ。難しい大会の中、次のラウンドに進める。特に初戦を落としたからね」と、グループステージ突破を喜んだ。
タイは今大会、インドとの初戦を1-4で落とすと、2017年からチームを率いるミロヴァン・ライェヴァツ監督の解任に踏み切り、コーチだったシリサック氏がチームを率いることになった。
ティーラトンは「互いの理解を共有することが簡単になった」と、同郷の指揮官になったメリットを口にすると、「国のために戦い、国民も一緒に戦っているということを改めて植え付けてくれた」ことが、初戦の敗北から立ち直れた理由だと話してくれた。
同点ゴールの起点となり、ドリブルやパスでタイの好機を作ったチャナティップも「また、チームが一つになれた」と、監督交代がもたらした好影響について、ティーラトンと同意見を話す。
海外メディアからJリーグでプレーしたことによる成長について問われると「ミシャ(ペトロヴィッチ監督)やチーム、スタッフに感謝している。それで成長できた理由」と、札幌への感謝を改めて口にしたチャナティップは、「タイの国、7000万人の国民のためにも歴史を作れた」と、やはり母国への思いをコメント。
UAE戦でもタイサポーターは数百人駆け付け、大きなタイ国旗を揺らし、開催国の相手サポーターにも負けない声援を送り続けた。そして、試合後には選手・スタッフがそのサポーターの元へ向かい、ともに1972年大会以来となるアジアカップ決勝トーナメント進出を喜んだ。
「国のために戦う」。チャナティップが取材陣に最後、話したように困難を乗り越えて、一丸となったタイの目標は、一試合でも多く国民に喜びと勇気を届けることだ。
取材・文=小松春生