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【スカサカ!ライブ】経験者は語る…3バック、ウイングバックのメリットとデメリット

2018.09.10

日本代表システム論」について、番組MCの岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がスタジオゲストの森岡隆三氏、岩本輝雄氏が番組コーナー「激論~GEKIRON~」にて語り合った。

日本代表の森保一監督は、サンフレッチェ広島時代や東京オリンピック世代となるU-21日本代表でも採用している[3-4-2-1]のフォーメーションをメインの布陣とするのではないかと言われている。攻撃時にはウイングバックが高い位置を取り、5トップ気味になる攻撃的な布陣だが、一方で森岡氏はその問題点についてこのように指摘している。

「(相手との)力関係によっては、守備に回る時間が多くなると両ワイドも引っ張られて押し込まれた形になり、その後になかなか出て行かれなくなる。後ろに人数が多い分、当然だけどボールホルダーに対しては少し手薄になります。ポゼッションのうまいチームからボールを奪うにはよほど整備されていないと難しいだろうな、というのはあります」

その森岡氏、2002年日韓ワールドカップのメンバーで、フィリップ・トルシエ監督の下、3バックの一角でプレーしていた。その経験を踏まえた上で、相手に押し込まれないための対策を次のように提言した。

「前からボールを取りに行くとなると、トルシエさんの時にやっていたような、かなりハイラインの設定にしなければならないでしょう。ただしそれをやるには、ボールホルダーに対してどれだけ厳しく行けるのかが重要になります。[3-4-2-1]の布陣だったら、2シャドーの1人と1トップを2トップ気味にする。右シャドーの選手が上がったら左サイドの選手はスライドし、「[4-4-2]気味になる。そうすればマッチアップできると思います」

また、森岡氏はトルシエ監督時代のフォーメーションについて「[3-4-2-1]が多かった」と回顧。この布陣ではダブルボランチの能力がカギを握っていたという。

「ウイングバックが前に行けばボランチがそのカバーをするので、ダブルボランチの運動量とボール奪取能力は相当求められるところがあったと思います。ウイングバックが前に行くぶん、後ろはリスクを承知で前に出ていかなければならなかったし、前線3枚の運動量も求められましたが、ダブルボランチのボール奪取能力はかなり求められました。昔の映像を見ると、稲本(潤一/現北海道コンサドーレ札幌)とかはすごい。とんでもないところまで取りに行って、そこでボールを奪っていた。2001年のコンフェデレーションズカップの時は、そこを起点にゴールが生まれたこともありました」

また、ウイングバックにどんなタイプの選手を置くかによっても戦い方が変わったという。

「面白かったのは、ウイングバックに例えば(中村)俊輔(現ジュビロ磐田)とか(小野)伸二(現北海道コンサドーレ札幌)が入ると、どうしてもアタックの時に流動性がなく、形が決まった状態から選手たちの質で攻めることが多くなっていました。一方で名波(浩/現ジュビロ磐田監督)が入った時には、ウイングバックが中に入ってボランチがサイドに出て行くとか、そういうシーンもたくさんあって、後ろからマツ(松田直樹)がアタックまで入っちゃうみたいなのもあった。3バックでありながらあれだけの流動性があったのは面白かったですね」

そのウイングバックが果たすべき役割については、岩本氏がこのように語っている。

「ウイングバックの2人が(ワイドに)張りっぱなしでもいいんですけど、そうすると中央の3枚(センターバック3人)が相手のプレスにハメられてしまうと思うんで、その時に少し落ちてきてゲームメークしてくれないといけないし、高い位置でボールが入ったらラストパスもしなければいけない。守備の時には戻らないといけない。ウイングバックのポジショニングが安定しなかったら、チームも安定しないと思います」

岩本氏本人もベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)時代にウイングバックでプレーした経験を持つ。その時の経験を踏まえ、ウイングバックの効果的な動きについてこのように語った。

「ゲームメークする時は中に入っていっちゃう。相手はこちらのダブルボランチをマークしているじゃないですか。その時に僕が中央に入ると、絶対にフリーになれるんですよ。例えば最終ラインの選手がボールを持った時に、ダブルボランチがもらいに行くと相手もついていきますよね。その空いたスペースに僕が入っていくとフリーでボールをもらえる。そうすればワンツーで突破したり、ドリブルを仕掛けたりとか何でもできるんで、その意味では攻撃に関しては(そういった動きが)重要かなと思います」

また、岩本氏は攻撃時の2シャドーの役割についても言及した。5トップ気味になる布陣ではあるが、その際にボランチが1人しかいない状態になるため、前線と最終ラインが分断される可能性がある。岩本氏は、それをフォローするのが2シャドーの役割だと語った。

「森保サッカーって、基本的にシャドーの選手は下がらないじゃないですか。高い位置を保とうとするんですよ。それでボランチの選手をフリーにする役割があるんですけど、でも、万が一ボランチがつぶされてしまったら何もできなくなります。最終ラインからロングボールを蹴るしかなくなるんですが、相手はパスコースを限定して同サイドに蹴らせて、そこで奪えばよくなる。その時は2シャドーがボランチを助けにいかないと。中盤で組み立てる時には、シャドーの選手も一緒になってゲームメーク能力を発揮してくれないと、なかなか苦しいのかなと思います」

毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』。次回は9月14日(金)21時からの放送。日本代表のキリンチャレンジカップのレビューや、YBCルヴァンカップ特集、Jリーグ特集などをお届けする予定となっている。

By サッカーキング編集部

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