2018.07.02

【コラム】右サイドに安定感もたらす酒井宏樹、次なる役目は“アザール封じ”

酒井宏樹
酒井宏樹(左)はアザール(右)とのマッチアップが予想される [写真]=Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 日本サッカーの新たな歴史の扉を開くため、重要な一戦となる2018 FIFAワールドカップ ロシア・決勝トーナメント1回戦のベルギー戦がいよいよ2日に迫った。グループHを1勝1分け1敗の勝ち点4でセネガル代表と並んだが、フェアプレーポイントで上回り、2大会ぶり3度目の16強入りを果たすことができた。先月28日のポーランド戦では負けている状況下での時間稼ぎなど、物議を醸すこともあったが、大きなリスクを払ってこのステージまで勝ち残ってきた。

「あのボール回しは普通のことだと思います。どの職業の人でも言えることだと思いますけど、一度でもその道を究めようと思った人であれば、あの戦い方は理解できると思いますし、本気だからこその戦術。僕らは一つになっていました。いろんな意見があると思いますけど、結果で見返せるようにしたい」と右サイドで奮闘し続けた酒井宏樹は神妙な面持ちでコメントした。

 今大会に入ってからの彼の貢献度の高さは目を見張るものがある。ここまで3試合にフル出場。「コロンビア戦で勝ち点3を取ったことで個人としてもプレッシャーやストレスから解放された」と、いい入りができたことで勢いに乗れたことを明かす。第2戦のセネガル戦ではサディオ・マネ封じの大役を課せられ、それを全うしてみせた。この日の背番号19の走行距離はチーム4位の10.245キロメートル。スプリント回数は長友佑都、乾貴士に続く40回ということで、献身的な走りは大いに光った。開始11分、マネにゴール前へ入られ1点を奪われたシーンは悔やまれるものの、目立ったミスは犯さなかった。

酒井宏樹

セネガル戦ではマネと激しいマッチアップを繰り広げた [写真]=Getty Images

 ポーランド戦では酒井高徳との不慣れな縦関係を形成しながら的確なフォローを見せ、出場なしに終わった4年前のブラジルW杯とは別人のように成長した姿を印象付けた。それもヴァイッド・ハリルホジッチ前監督から重用され、マルセイユでハイレベルな経験値を積み重ねてきた成果だろう。ロシア入り前は負傷もあり、フル稼働できるか不安視されたが、その声をかき消すようにトップフィットした状態を維持しているのは、西野朗監督にとってもチームメートにとっても心強い点だ。

 そんな彼に託される次なる大仕事はベルギーを封じる堅守を見せること。3-4-3をベースとするベルギーは、左シャドウの位置にエデン・アザールが陣取り、左ウイングバックにヤニック・フェレイラ・カラスコが入る。これまでの対戦相手は全て4バックだったため、いかにして守るかは非常に難しいテーマになる。

 指揮官は5月30日のガーナ戦で3バックにトライし、6月初旬のオーストリア合宿入り直後も3枚を試していたが、8日のスイス戦前からは練習した形跡がない。今大会も4バックをベースにした戦い方で機能しているだけに、今から3枚に再挑戦するとは考えにくい。それゆえ、酒井はアザールを見つつ、カラスコも阻止するという重要な役割を担うことになる。そこは縦関係を形成するであろう原口元気、あるいは右ボランチでプレーすると見られる長谷部誠との連携を密にしていくしかない。

「アザールと(ロメル・)ルカクが揃っているベルギー? ホント笑っちゃうくらい強いと思いますけど」と彼は苦笑いしていたが、そのキーマン2人は目下絶好調。ベルギーの爆発的な攻撃力を力強く支えている。昨年11月にブルージュで挑んだ時はアザールが欠場。ルカクは本調子ではなかったが、それでもゴールを奪われて0-1で敗れている。「11月の時ですら、かなりすごいチームだったので、今はもっと成熟しているし、モチベーションも高いと思う」と彼自身も警戒心を募らせる。

酒井宏樹

11月の国際親善試合は0-1で敗戦した [写真]=Getty Images

 しかしながら「僕ら4バックは連携面でかなり安定していると思う」と自信をのぞかせるように、今大会の日本守備陣は大崩れはしていない。リスタートからの失点という前々からの課題を克服できれば、ベルギーの攻めを跳ね返せる可能性はゼロではない。むしろ、それをやり遂げなければ、新たな歴史を築くことはできない。そのくらいの強い覚悟で戦う必要がある。

「ベスト8はいまだかつてないことですし、達成したい気持ちは本当に強いです。それ以上にこのメンバーで1日でも長くいたいという思いの方が強い。そういう意味でも勝ちたいです」と話す背番号19には、6年前のロンドン五輪でベスト4まで勝ち上がった貴重な経験がある。その時は何も考えずにとんとん拍子で駆け上がったというが、今回も無心になって目の前の敵に向かうことだけに集中すれば、同じ成功を手にできるかもしれない。日本の右サイドの番人には、いつも通りのタフで粘り強い守備で“アザールキラー”の大役を遂行してほしいものだ。

文=元川悦子

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