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幕を開ける国内組のサバイバルレース…E-1選手権の注目点とは

2017.12.07

ハリルホジッチ監督はEAFF E-1サッカー選手権を「A代表へと立候補する素晴らしい機会」と話す。新たな選手の台頭はあるのか!?

 9日からEAFF E-1 サッカー選手権2017 決勝大会が始まる。東アジアの覇権を争う大会のことだ。

 前回から大会名称が変わり、サッカーファンであってもピンと来ない方がいるかもしれないが、大会に参加する代表の面々がそれでは困る。しかと爪あとを残し、今後もA代表に食い込む選手たちの台頭が、優勝と並ぶ、この大会の大きな目的でもあるからだ。

 今回、海外組はゼロ。すべて国内組だ。ただし、FIFAクラブワールドカップに参加する浦和レッズ勢と常連の山口蛍(セレッソ大阪)が直前のケガで外れている。11月の欧州遠征でスタメンに名を連ねているのは、井手口陽介(ガンバ大阪)だけだ。

 まずはチームとして機能させること。それが大前提だ。ここが崩れれば、選手の力を十全に引き出すのは難しい。あの散々な出来に終わった10月の親善試合の二の舞だけは勘弁願いたい。せめて連携の行き届いたクラブユニットの活用くらいは、考えてほしいものだ。

 対戦するのは韓国、中国、北朝鮮の3カ国。本大会を見据えれば、確実に勝ちたいポッド3の仮想敵国といったところ。先制する、先制される――どっちに転んでも、したたかに勝ちにもっていけるか。逃げ切る力、スコアをひっくり返す手立てが問われることになる。

 もっとも、これらを「建前」と言われれば、そのとおり。ほぼぶっつけに近い急造チームの「本音」は、内容より結果だろう。そのなかで光る個人、阿吽のペアやユニットの発見があれば、収穫と言っていい。

「A代表へと立候補する素晴らしい機会」とはヴァイッド・ハリルホジッチ監督の弁。所属先で活躍はおろか、出番すら減っている海外組が少なくない。そうした現状を踏まえても全選手に立候補のチャンスがある。とくに監督の懸念する「長谷部誠のいない日本」を想定した代役(代案)探しは不可避のテーマか。

 長谷部に代わり、1人でアンカーをこなせる人材(代役)を探すか。別の手立て(代案)を求めるか。その一つにドイスボランチがあってもいい。使える駒もぐっと増える。さらには、トップ下の適材である清武弘嗣(C大阪)が復帰してきたこともプラスに働きそうだ。

 中盤の顔ぶれをみると、井手口と今野泰幸(G大阪)に加え、初招集の三竿健斗(鹿島アントラーズ)あたりがアンカー候補か。クラブで経験済みの髙萩洋次郎(FC東京)は「攻撃的な中盤」に数えられている。代役候補の一番手である山口も不在だけに、代役と代案の両睨みで事を進めるのが賢明か。

 仮にアンカーを使うとして、現状ではプレス要員の色彩が強いインサイドMFの「格上げ」も狙いの一つだろう。攻めの質を高めることのできる人材の発掘だ。これまで何人かテストしてきたが、逆に生命線のプレス(奪取力)の質が下がる事態に陥った。あちら(攻撃)を立てれば、こちら(守備)が立たず、である。

 今回、この二律背反にケリをつけうる存在がいる。大島僚太(川崎フロンターレ)だ。奪ってよし、攻めてよし。中盤の攻守を高いレベルで両立させる力は国内随一だろう。それを証明する格好の機会だ。

 アタック陣における興味深いテストは初選出の伊東純也(柏レイソル)か。現状、独りで局面を打開できるタイプは海外組の乾貴士(エイバル)くらい。ボックス近辺でのFKが「取れない」一因でもある。どこまで伊東の仕掛けが通用するか。貴重なオプションになりうる意味でも、大いに注目される。

 大迫勇也(ケルン)に大きく依存してきた前線の候補も需要は高い。大迫にしても「決め手」という点では物足りないのも事実。杉本健勇(C大阪)の離脱で、約2年4カ月ぶりに代表復帰を果たした川又堅碁(磐田)のアピールにも期待したい。

 もっとも、大原則は決めてナンボ。小林悠(川崎)と金崎夢生(鹿島)の生き残りも結果(ゴール)次第だ。つまるところ、彼らの働きがタイトル(優勝)の行方も決める。いや、そう認識されるくらいの決め手が求められているというわけだ。

 たかが3試合、されど3試合――。このチャンスを鷲づかみにする運と実力を兼ね備えた男が現れるのか。開催は日本。答えをその目で確かめてみてはどうだろう。

文=北條聡

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