2017.10.16

【コラム】中盤起用の遠藤航、リオ経由ロシア行き実現へ「経験値を上げていく」

遠藤航
ロシアW杯出場を目指す遠藤航 [写真]=Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 国際Aマッチ初先発の小林祐希(ヘーレンフェーン)、杉本健勇(セレッソ大阪)らフレッシュな陣容で戦った10月10日のキリンチャレンジカップ2017・ハイチ代表戦(横浜)。遠藤航(浦和レッズ)も6月のイラク代表戦(テヘラン)以来の先発に名を連ねた。この時は井手口陽介(ガンバ大阪)とダブルボランチを組み、攻守両面で光るプレーを随所に披露した。が、今回は4-3-3のアンカー。守備的MFが2枚いる時とは負担の大きさが全く異なる。「リオ経由ロシア」を目指すリオデジャネイロ五輪のU-23日本代表キャプテンにとって、この一戦は非常に大きなチャレンジだった。

 2018 FIFAワールドカップ ロシア・北中米カリブ海4次予選で敗退し、ここ半年間試合をしていなかったハイチの出足は鈍かった。日本代表は倉田秋(ガンバ大阪)と杉本が続けざまにゴールを挙げ、17分の段階で2-0とリードした。一時は楽勝ムードも漂ったが、ハイチの修正力は高く、序盤とは別のチームのように割り切ったカウンター攻撃を仕掛けてきた。遠藤は早めに相手を潰しに行こうと試みたが、アンカー1枚ということで、どうしても自分の両脇が空きがちになる。小林、倉田との中盤3枚の距離感も遠く、思い描いたような連動した守備ができない。

本職ではないポジションで奮闘も3失点を喫してしまう [写真]=Getty Images

 そんな流れから28分に1失点目を食らってしまう。発端となったのは、エースFWデュカン・ナゾンに対する彼自身のスライディングタックル。これをかわされ、一気に速攻に持ち込まれるという最悪の形だった。最終ラインに陣取っていた昌子源(鹿島アントラーズ)も「1失点目もワンボランチで一番やられてはいけないやり方」と反省していた。後半立ち上がりに2-2の同点に追いつかれると、日本はさらに混乱。78分、ナゾンに逆転ミドル弾を決められたが、この局面でも遠藤が行くのか、昌子が行くのか、寄せるべき人間がハッキリしなかった。最終的には途中から入った香川真司(ドルトムント)の泥臭い1点で3-3のドローに持ち込んだものの、遠藤にとってはほろ苦いテストマッチになったのは確かだ。

「浦和でサイドバックやセンターバックをやっていて、代表でボランチで出るのは、やっぱりしんどかった。どこまでサイドにスライドするのか、センターバックが出てきた時のポジショニングだったりとか、そこらへんの難しさはありますしね。中盤はプレッシャーが360度来るので、常に首を振ったり、判断も早くしないといけないし、運動量的にもきついなと感じたりしました。

 ただ、僕が代表に選ばれて中盤をやる以上は、少ない時間でもしっかりとA代表でやれるだけのポテンシャルを発揮しないといけない。代表に選ばれ続けて、このポジションでの経験値を上げていくしかない。クラブでも堀(孝史監督)さんとは話していますし、分かってくれているけど、チームには青木(拓矢)くんや阿部(勇樹)さんもいる。監督が『お前を絶対にボランチで使う』とは言えない事情も分かりますから」と遠藤はクラブと代表での異なる役割をどう消化していくべきか、改めて頭を悩ませていた。

 この問題は今に始まったことではない。2015年の東アジアカップ・北朝鮮代表戦(武漢)で初キャップを飾った時から、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の中では「遠藤航はDFではなくMF」という位置付けだった。「178センチの身長ではセンターバックとしてやっていくのは難しい」と指揮官は考えるからだ。湘南ベルマーレ時代は3バックの右を担うことが多かったため、2016年に移籍した新天地・浦和ではボランチとしての経験値を上げていってほしいという期待も少なくなかったはずだ。浦和側もこうした思惑で遠藤航を補強したはずだったが、ミハイロ・ペトロヴィッチ前監督は3バックのセンターに固定。結局、ボランチには据えてもらえなかった。今回の堀体制移行後も状況は一緒。ロシアW杯まで8カ月。今の自分にできることは一体、何なのか……。遠藤航はそれを自問自答し続けているに違いない。

浦和では代表と異なり主にCBや右SBを務める [写真]=JL/Getty Images for DAZN

「ハリル監督がクラブで戦っている僕らを見る時は、球際をしっかり戦っているか、運動量を出しているかといったことをチェックしていると思う。それはポジションに関係なくベースになってくるところ。そこをしっかり頭に入れて、また代表に戻ってくることが大事ですね。

 ただ、今回アンカーをやって、攻撃面で縦にボールをつけるとか、全体を動かすといったことは多少なりともできていた。全然悪くなかったと思います。後半になって真司くんや大迫(勇也/ケルン)が出てきてからはタメを作れる時間も増えた。そういう前向きな部分も自信にして、少しでも成長していけたらと思います」

 こう話す遠藤にとって、11月のブラジル代表(リール)、ベルギー代表(ブルージュ)との2連戦に生き残るため、まず乗り越えなければならないのが、18日のAFCチャンピオンズリーグ準決勝第2戦・上海上港戦(埼玉)だ。14日の明治安田生命J1リーグ第29節・ヴィッセル神戸戦に出場しなかった彼は満を持して大一番にピッチに立つはず。もちろんポジションは右サイドバックが濃厚だが、本人が言うようにデュエルの強さ、タフな守備、豊富な運動量といった今の日本に必須とされる要素を高いレベルで発揮することは強く求められる。自らがチームをけん引する形でACL決勝進出を現実にして初めて、ハイチ戦の汚名返上の大きな一歩を踏み出せる。今こそ遠藤航らしいインテリジェンスの高さを前面に押し出してほしいものだ。

文=元川悦子

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