2017.10.14

“既招集組”と“未招集組”の奮起と台頭。日本開催の「E-1 サッカー選手権」の焦点は選手層の深化

EAFF E-1 サッカー選手権 2017は12月8日に日本で開幕する[写真]=Getty Images
サッカーライター。雑誌や書籍の編集、企画&構成などに携わる。

 ニュージーランド代表とハイチ代表との親善試合は、なんとも歯がゆい結果に終わった。

「私が就任して、一番良くない試合だった。監督をしていて、こんなに悪い試合はなかった」

 3-3のドローに終わったハイチ戦の直後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が怒りをあらわにしてそう振り返るのも無理はない。これまで出場機会の限られたメンバーが多く出場したからこそ、アグレッシブかつダイナミックなサッカーを期待したが、残念ながらそれはピッチに表れなかった。

 もっとも、2017年における日本代表の活動はこの2試合で終わらない。

 11月の欧州遠征を経て、次なる舞台は東アジア。2003年から2~3年の周期で行われてきた「東アジアカップ」が、「EAFF E-1 サッカー選手権」と名称を改め、男女とも12月の日本で開催されるのである。男子代表は来年6月に迫ったロシア・ワールドカップに向けて、女子代表は2019年のフランス・ワールドカップに向けて、生き残りを懸けたサバイバルレースを占う重要なコンペティションとなりそうだ。

 この大会にはいくつかの特徴がある。

 まず、出場チームは男女とも日本、韓国、中国、北朝鮮の4カ国で国際Aマッチとして開催。FIFA(国際サッカー連盟)が定める国際Aマッチ期間に行われる大会ではないため、海外組の招集は見送られることが決定的で、つまり日本代表は“ほぼJリーガー”で構成される。

 期待されるのは“既招集組”と“未招集組”のタレントによる奮起と台頭、それにともなう選手層の深化である。

“既招集組”の注目株は、先日の親善試合で出場機会のなかった植田直通と、ハイチ戦で代表初得点を記録した杉本健勇を挙げたい。

 植田の高さと気迫溢れるプレースタイルは大きな魅力。経験に比例して伸びるタイプ、あるいは舞台の大きさに比例して潜在能力を引き出されるタイプであると想像しており、吉田麻也のパートナーが定まらないセンターバックの有力な候補となるためにも、この舞台を生かさない手はない。

 杉本健勇の武器も高さと決定力。ポストワークを武器とする大迫勇也の“ハマリ具合”を考慮すれば、同じく足下の技術に長ける杉本も魅力的だ。途中出場から高さを活用する選択肢も攻撃のバリエーションを広げるオプションとなり得る。

 一方のハリル体制で“未招集組”からは、セレッソ大阪の柿谷曜一朗と川崎フロンターレの中村憲剛を推す。一時期と比較して柿谷の存在感は薄れているが、C大阪の前線でチームプレーに徹する姿に成長を感じる。もともと天才と称されるポテンシャルの持ち主。もう一度、大舞台で観たいと思うファンも少なくないだろう。

 中村憲剛は好調フロンターレの紛れもない中軸である。年齢を感じさせない走力と何より国内屈指の攻撃センス。停滞する流れを一本のパスで打開する資質は既存メンバーにない飛び道具だ。経験やリーダーシップによるプラスアルファの効果を考えれば、チームのレベルを引き上げる起爆剤としてこれほどポジティブな“補強”はない。

 振り返れば4年前、夏の韓国で行われた旧東アジアカップでは、柿谷や山口蛍、青山敏弘ら“国内組”が結果を残し、翌年のブラジルW杯での最終メンバー入りを勝ち取った。

 さらに振り返ること四半世紀前、1992年の「ダイナスティカップ」では、ハンス・オフト監督率いる日本代表が躍動し、韓国との激闘を制してその後の快進撃を誘引した。大会MVPに輝いたのは、25歳の三浦知良だった。

 日本代表にとっての母国開催となる今大会は、チームの変化を促し、“弾み”をつけるきっかけとして大切な役割を果たしてきた。来るロシア決戦に向けて、勢いを停滞させるわけにはいかない。東アジア制覇への挑戦、その舞台に立つJリーガーたちが演出するサプライズは、必ずチームにとって大きな力になる。

文=細江克弥

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