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FW小川航基の成長を見守る名波監督、U-20W杯で「120点」のプレーに期待

2017.05.13

この日は“敵将”として小川のプレーをベンチから見た名波監督(中央)[写真]=三浦彩乃

 絶対的エースであることを改めて示した。12日、U-20日本代表はジュビロ磐田と練習試合(30分×2本)を実施。この試合で唯一ゴールを決めたのが、FW小川航基(磐田)だった。

 25分、MF市丸瑞希(ガンバ大阪)のパスをFW久保建英(FC東京U-18)がスルー。右サイドでボールを受けたMF伊藤洋輝(磐田U-18)のシュートはGKに弾かれたものの、こぼれ球に反応した小川が押し込んだ。また、前線で起点を作るターゲットマンとして相手DFと激しく競り合うだけでなく、隙を見ては最終ラインの背後を突く。動き出しを繰り返しながら縦への推進力を生み出し、攻撃を活性化させた。


 そんな小川のパフォーマンスに目を細める人物がいた。所属クラブである磐田を率いる名波浩監督だ。

「自分から動き出す回数も増えています。ボールを収めて、人を使いながらゴール前に消えていく作業であったり、ゴールシーンのようにボックス内で止まらない意識も非常に強く生まれてきている」

 “高校ナンバーワンストライカー”の看板を引っさげ、鳴り物入りで磐田に加入した小川であったが、プロ1年目の昨季は実戦の場が激減した。徐々に鈍っていく試合勘。焦りや不安を感じたことだろう。小川がもがいた日々は同時に、名波監督にとっても我慢の1年間であった。

「高校を出てから2、3点を取って消えていった選手を何百人と見ている。甘えた状況でピッチに送り出すことを、僕の中では避けたいと思っていました。今後、彼が日本の宝に、そして日本を背負って立つストライカーになるであろう。そういう位置付けで育てなければいけないという使命感もあるので、軽はずみなタイミングでは使わないということを本人にも伝えていました。来たるべき時が来て、今がそういう状況だと思います」

 小川は今季、途中出場ながらリーグ戦5試合に出場。4月26日に行われたJリーグYBCルヴァンカップのFC東京戦ではプロ初ゴールを決めた勢いで、一気にハットトリックを達成した。指揮官は、世界に挑戦する愛弟子に「コンディションもメンタルも非常にいい状態で本大会を迎えられると思う。120点の答えで帰って来てくれることを期待しています」とエールを送る。

 練習試合を終えた後、ヤマハスタジアムには地元のファン・サポーターから「頑張ってこいよ!」と温かい声援を受ける小川の姿があった。期待する気持ちは指揮官も同じ。「ゆくゆくは日の丸を背負ったり、ヨーロッパでやったり。そこまでの絵を常に描きながら、今まで以上に探求心を持ってやってほしい」。名波監督はこれからも、若きエースの成長を厳しくも温かい目で見守っていくつもりだ。

文=高尾太恵子

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