2016.12.28

【コラム】ハリルジャパンに変化をもたらした“敗戦”…激動の2016年から何を学ぶか(前編)

日本代表
W杯アジア最終予選を戦うハリルジャパン [写真]=Getty Images
スポーツライター。日本代表の国際Aマッチは、2000年3月からほぼ全試合を現地取材。

 2017年の足音が大きくなってきた。新しい1年を迎える前に、2016年の日本代表を振り返っておきたい。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表の16年は、3月24日のアフガニスタン戦からスタートした。気温9度の埼玉スタジアムで行われたロシアW杯アジア2次予選で、日本は5-0の大勝を飾る。5日後には再び埼玉スタジアムのピッチで、シリアを同じ5-0で退けた。これによりグループ1位が確定し、最終予選進出を決めた。シンガポールとのスコアレスドローからスタートした2次予選は、あるべき場所へと着地したのである。

 もっとも、試合内容に進歩は乏しい。6月のキリンカップでは、ブルガリアに7-2で大勝したものの、ボスニア・ヘルツェゴビナには1-2で競り負けてしまうのである。

 東欧からやってきた中堅国──来日メンバーから判断して──との連戦では、指揮官が要求するデュエルの意識を高めてきた柏木陽介や宇佐美貴史がスタメンに近づき、小林祐希が国際Aマッチデビューを飾り、浅野拓磨がAマッチ初先発と初得点を記録した。とはいえ、チームの底上げを印象付けるには至らなかった。

 ユーロ2016、コパアメリカ・センテナリオ、リオ五輪といった国際大会を挟んで、日本代表の活動は9月に再開される。ロシアW杯アジア最終予選の始まりである。

 9月1日の初戦は、ホームでのUAE戦だった。一時期の低迷から復調の兆しを見せるUAEには、2015年のアジアカップ準々決勝でPK戦の末に敗れている。日本に苦手意識はないものの、相手もまた日本相手に怯んでいない。

 日本は4-2-3-1のシステムで臨んだ。柏木陽介が足に違和感を抱えるボランチには、山口蛍ではなく大島僚太が起用された。リオ五輪に出場した23歳は、国際Aマッチデビュー戦で長谷部誠とボランチを組む。また、ケガで合流できなかった長友佑都に代わり、酒井高徳が左サイドバックで起用された。

 11分、日本が先制する。右サイドからのFKを清武弘嗣がファーサイドへ送ると、DFのマークを交わした本田圭佑がヘッドで合わせる。セリエAでは開幕から2試合連続で出場のない背番号4が、勝負強さを見せつけたシーンだった。

 ところが、リードは長く続かない。20分に直接FKを蹴り込まれ、同点とされてしまうのだ。

 試合の主導権には日本にある。決定機も作り出した。それなのに、スコアは動かない。後半に入った53分には、大島のファウルでPKを与えてしまう。リードを奪うどころか、ビハインドを背負ってしまった。

 ハリルホジッチ監督は清武に代わって宇佐美を、岡崎慎司を下げて浅野を投入する。攻撃の圧力を強めた成果は、77分に現われた。右サイドバックの酒井宏樹のクロスをファーサイドの本田が頭で折り返し、浅野が左足でプッシュする。ゴールラインを越えたあとにGKがボールをかき出したものの、主審は得点を認めない。スコアは、まだ、動かない。

 日本はゴールへ迫る。終盤にはセンターバックの吉田麻也をゴール前へ上げ、パワープレーを仕掛けた。だが、試合終了の笛に歓喜したのは、日本ではなかった。埼玉スタジアムでの公式戦無敗記録が途切れ、誰も予想していなかった黒星スタートなってしまったのである。

日本代表

UAE代表に敗れ、日本代表のアジア最終予選は黒星スタートとなった [写真]=Getty Images

「何人かの選手は疲労からプレーに十分なフィジカルがなく、何人かは勇気と勇敢さも少し足りなかった」

 試合後のハリルホジッチ監督は太い声でまくしたて、UAEと同じ中東のカタール人が主審を務めたことに不満を述べた。ただ、浅野のゴールが認められていたとしても、結果は2-2である。勝点3を掴めなかったことにかわりはない。

 選手のフィジカルやメンタル面に関する指摘も、いまひとつ説得力に欠ける。欧州組が直前に帰国するのは、今回が初めてではない。経験を生かした準備は可能だった。

 心理面も同様だ。ハリルホジッチ監督自身は初めての最終予選だが、2次予選のシンガポール戦で引き分けている。UAEとの開幕戦に臨む選手が、どのような心理的圧力を受けるのかは、想像を働かせておかなければならなかったはずだ。

 ホーム&アウェイによる1998年大会以降の最終予選で、日本は初戦に負けたことがなかった。そして、初戦で敗れた国はすべてW杯出場を逃している。

 同日行われた同じグループBのゲームでは、オーストラリアがイラクを、サウジアラビアがタイを、それぞれホームで退けた。ホームで勝点3を逃した代償は、その後の日本を苦しめることとなる。

文=戸塚啓

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