2016.11.16

【コラム】4戦連発で示した強烈な存在感…原口元気が見せつけた勝負強さと高い守備意識

原口元気
最終予選4試合連続ゴールを決めた原口元気 [写真]=兼子愼一郎
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 6大会連続となる出場権獲得の行方を大きく左右する15日の2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア最終予選・サウジアラビア代表戦(埼玉)。日本は清武弘嗣(セビージャ)が前半終了間際に決めたPKで1点をリードしながらも、思うように追加点を奪えなかった。サウジアラビアのカウンターに揺さぶられる場面もあり、徐々に不穏な空気も漂いつつあった。

 そんな後半35分、日本は見事なサイド攻撃から待望の2点目を手に入れる。後半頭から登場した本田圭佑(ミラン)との崩しから左サイドを駆け上がった長友佑都(インテル)からの折り返しを、同じく後半出から場の香川真司(ドルトムント)がワンタッチしてコースを変えた。次の瞬間、ペナルティエリア中央でフリーになったのが原口元気(ヘルタ・ベルリン)。彼は冷静にゴールの位置を見極め、右足を一閃。日本代表史上初となる最終予選4試合連続ゴールの快挙を成し遂げた。

 日本は終盤、守りの乱れから1点を献上したため、最終的にこの2点目が大一番の決勝点となった。

「ゴールなんてホントにおまけみたいなもの。チームが、日本が勝つことが最大の目的だったので、そのために戦ったし、結果的に僕が点を取りましたけど、とりあえず勝ててほっとしている方が大きいです。それに僕自身のクオリティが高ければ簡単に2点目3点目が入ったシーンが多かった。ヘルタに戻ってそういうところにもっと磨きをかけていきたいと思ってます」と本人は自分に手厳しかったが、「元気は4試合連続なんで非常にすごいなと思います」と吉田麻也(サウサンプトン)も言うように、チーム全体が背番号8の際立った決定力を認めたはずだ。本田・岡崎慎司(レスター)・香川の攻撃3枚看板の得点力が低下した今、この最終予選は原口抜きでは戦えない。そう言っても過言ではないほどの強烈な存在感を、この男は改めて示したのだ。

原口元気

チームメイトも称賛する活躍ぶりを見せている [写真]=兼子愼一郎

 原口がサウジアラビア戦のピッチで表現したのはゴールに絡む部分だけではない。ヘルタで常日頃から見せている通り、前線からのハイプレスと守から攻への鋭い切り替え、ダイナミックなアップダウン、献身的な守備、デュエル(局面の勝負)の強さ……と、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が要求しているあらゆる仕事を高いレベルでやってのけたのだ。

 最終予選に入って初めて左サイドでタケ関係を形成した長友佑都(インテル)も「元気があれだけ走ってくれるんで、おっさんの僕は後ろでサポートしていればいいだけ(笑)。ホントに運動量豊富で、あれだけ点も取れて、テクニックもあって、すごい選手になってるのを僕自身感じる。元気がいなかったら僕、どうなってたんだろうなっていうくらい」とその一挙手一投足を大いに絶賛した。

 実際、原口は長友と同じくらい低い位置まで戻って守りに参加し、敵陣深い位置まで走りこんでチャンスを作るようなプレーを随所に見せていた。いい守備があったからいい攻撃につながったのは紛れもない事実。その象徴ともいえる動きを原口は見せてくれたのだ。

「相手が(ボールを)持つ前に1つ1つ潰せていたので、そこが今日うまく行った最大のポイントだったかなと。(敵陣で数多く奪えたのも)切り替えが速かったから。監督が言ってたデュエルとか、そういう部分がすごく発揮できた試合だったと思います。あんまり守備が得意じゃないキヨ君とかもすごい頑張って言ってたし、全員でやったからボールが取れた」と原口はチームとしての連動性や完成度の高さを繰り返し強調した。周囲をつねにリスペクトし、自分自身、黒子に徹しようとする姿勢や発言は浦和レッズ時代にはあまり見られなかったもの。こうした部分からも心身両面の大きな変貌ぶりを色濃く感じさせた。

原口元気

追加点を挙げ、酒井宏樹(中央右)と喜ぶ原口(中央左) [写真]=三浦彩乃

 最終予選前半戦の爆発的パフォーマンスで日本代表の左サイドを完全に手中にしたと言っていい状況だが、3月の次戦・UAE戦(アウェー)まで4カ月もの空白期間が生じる。その間に武藤嘉紀(マインツ)もケガから復帰してくるだろうし、宇佐美貴史(アウグスブルク)も環境の変化があるかもしれない。清武にポジションを奪われた格好の香川が左サイド争いに参戦してくる可能性もあるだけに、原口といえどもウカウカしていられない。だからこそ、彼はヘルタでコンスタントに活躍し続けることが肝要だ。

 さしあたって、今シーズンのブンデスリーガ初ゴールをいち早く挙げることが最重要テーマ。本人も「1シーズン10点を安定して奪える選手になりたい」と話したことがあるが、そうなって初めて真の日本代表エースの風格が備わるだろう。2017年をそういう年にできれば最高だ。原口元気の進化はこの先も続いていくに違いない。

文=元川悦子

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