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【コラム】今こそ真骨頂を…献身的にチームを支える岡崎慎司、代表通算50得点到達なるか

2016.11.13

日本代表通算50ゴールに王手をかけている岡崎慎司 [写真]=JFA

 2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選、前半戦の山場となる15日のサウジアラビア戦(埼玉)に向け、11日のオマーン戦(鹿島)を経て、決戦の地へ移動してきた日本代表。13日は試合会場となる埼玉スタジアムで17時すぎから非公開練習を行った。

 報道陣に公開された冒頭15分間は本田圭佑(ミラン)、岡崎慎司(レスター)ら25人が揃って調整。集合前のボール回しでは、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が選手たちに交じって参加し、和気あいあいとした雰囲気が感じられた。

 その指揮官だが、オマーン戦で大迫勇也(ケルン)、清武弘嗣(セビージャ)らロンドン五輪世代が活躍したことで、アルベルト・ザッケローニ監督時代から日本代表を支えてきた岡崎、香川真司(ドルトムント)を先発出場させるかどうか、頭を悩ませているに違いない。本田を含めた攻撃陣の3枚看板をどうするかはサウジアラビア戦の大きな注目点と言っていい。

 その1人である岡崎だが、オマーン戦は61分からピッチに立ち、1トップでスタート。その後、久保裕也(ヤング・ボーイズ)、浅野拓磨(シュトゥットガルト)の2人と2トップを組むという新たなオプションにも取り組んだ。

「予選は別物と言っても、いい練習というかテストにはなったと思うし、サコ(大迫)にしても点を取っていい状態で試合に行ける。祐希(小林=ヘーレンフェーン)にしても、点を取って勢いがつくだろうし、キヨ(清武)にしてもPK取って行けると思う。クロスでいい位置にいたらああやってこぼれてくるし、中に入り過ぎずというところで、今日はいい収穫があったんじゃないか」と、本人はサウジアラビア戦につながるゲームだったことを強調した。が、シュート2本を打って無得点という自分自身のパフォーマンスには、やはり不完全燃焼感が残ったことだろう。

 次のサウジアラビア戦はスタメンが有力だが、ベンチスタートもあり得る状況。いずれの場合でもピッチに立ったら、レスター同様、チームに貢献する黒子の動きをしつつも、やはり最大のタスクである得点に力を注ぐことが肝要だ。

 今年の岡崎は3月の2次予選・アフガニスタン戦(埼玉)、6月のブルガリア戦(豊田)でそれぞれ1ゴールを奪って以降、6試合得点から遠ざかっている。2009年に代表FWの定位置を奪って以来、年間最少得点は2010年の3点。このまま行くと、2016年はそれを下回る数字にとどまってしまう。大迫や浅野、久保といった若い世代が猛然と追い上げている今、ゴールを奪えなければ、絶対的点取屋としての岡崎の立場自体が危うくなりかねない。

「ゴールは取れる時もあれば、取れない時もあるというのが正直な気持ち。FWは調子のいいやつが出るべき」と本人はいい意味でスタメン落ちも覚悟しているが、「自分の中では今は苦労しているかもしれないけど、1試合1試合を大事にしたいし、FWなので点を取るためにやっている。今やらなきゃいけないのはゴール」とも発言。得点への強い渇望を吐露した。「年の初めと最後はいつもゴールを決めているイメージがある」と岡崎自身が言うように、ゲンのいい年内最終戦で前々からの悲願だった節目の代表50ゴールを何とか達成し、6、7年守り抜いてきた得点源の柱という立場を維持すること。それが背番号9に託された重大な使命だ。

 だからこそ、サウジアラビア守備陣の穴を徹底して突きたいところ。相手は10月のオーストラリア戦(ジェッダ=2-2の引き分け)では「4-2-3-1」、続くUAE戦(同=3-0の勝利)では「4-1-4-1」の布陣で戦っていて、DF4枚がベースなのは変わらない。センターバック(CB)はオサマ・ハウサウィとオマル・ハウサウィが2試合とも先発したが、今回はオマル・ハウサウィが来日メンバーから外れていて、代役が出ざるを得ない。そこが1つの攻略ポイントかもしれない。岡崎が両CBのギャップを突く走り、ポストプレー、裏への抜け出しなど得意なプレーを出せるチャンスが増えてくるはずだ。仮に後半から2トップになったとしても、パートナーと生かし生かしあう関係を構築できるだろう。「今いるFWはみんな2トップをやっている経験者。合わせなくても感覚的にやれると思う」と彼は前向きに語っていた。

 2016年最終戦でチームも岡崎自身も納得いく戦いができれば、ここからのレスターでの活躍にも期待が広がる。10月の1カ月間でクラウディオ・ラニエリ監督の信頼を奪回したものの、直近(11月6日)のウェスト・ブロムウィッチ戦では前半のみで交代。現地メディアから敗戦の戦犯扱いを受けるなど、必ずしも順風満帆な状況とは言えない。イングランド代表FWジェイミー・ヴァーディ、アルジェリア代表FWイスラム・スリマニとのFW3枚看板としてプレミアリーグ、チャンピオンズリーグの両方でコンスタントにピッチに立つためにも、このサウジアラビア戦は失敗できない。これまで重要な局面で日本を救い続けてきた男の真骨頂を今こそ見せてほしいものだ。

文=元川悦子

By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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