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【コラム】守備から攻撃への切り替えにポイントあり。GK西川周作が分析するオーストラリア戦の狙いとは

2016.10.09

9日にトレーニングを行った日本代表GK西川周作 [写真]=JFA

 オーストラリアとの大一番を2日後に控え、9日にメルボルン市内で非公開練習を実施した日本代表。この日は冒頭15分間を公開した後、報道陣をシャットアウトして戦術トレーニングに臨んだ。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はグループBで首位に立つオーストラリアとのアウェーゲーム、さらに最終予選でセットプレーから3失点を喫していることを受けて、守備に重きを置いた練習を実施した模様だ。GK西川周作(浦和レッズ)は「守備のところで戦術でもセットプレーでも確認できた」と言う。

 ミーティングでオーストラリアの映像を確認した西川は「後ろから結構つないでくる印象があります。自分たちのディフェンスラインに非常にアグレッシブにプレッシャーに来る」とライバルを分析。その上でオーストラリアの両サイドバックが攻撃的なタイプであることに言及し、「自分たちが奪った後のカウンター、ショートカウンターが一つのポイントになる。そこで裏を狙って縦を突ければチャンスになる」と狙いを明かす。

 かねてからハリルホジッチ監督が求めてきた“果敢なボール奪取から縦への素早い攻撃”。そのスタイル一辺倒になりつつある状況に本田圭佑(ミラン)や清武弘嗣(セビージャ)らが臨機応変な戦い方の導入を提言し始めたが、今回はまさに指揮官が求める部分がカギを握ることになりそうだ。西川も「同サイドで狙うよりもサイドを変えてみたり、サイドバックの裏を狙ったりするところは自分もイメージしています」と奪った瞬間に得意の低空ロングフィードを前線へ届けることを心掛けている様子だった。

 そしてもう一つの勝負の分岐点がセットプレーだ。守備面で大きな役割を担う西川は「シンプルに上げてくるというより、ショートコーナーを使ってきたり、ニアに速いボールを入れてきたりする」と変化をつけてくる相手のセットプレーに警戒心を示した。ハリルホジッチ監督からはチーム全体に対して「ムダなファウルをしないこと」、そして「FKを与えてしまったら、一人ひとりが個の部分でしっかりと責任を持って守ること」を求められたという。

 “いい守備からのいい攻撃”が勝負のポイントになるのは間違いないが、その一方で相手の変化に対して、臨機応変な対応をすることが必要になるのも事実。守護神は「以前のオーストラリア代表の印象とは少し違う。戦術的にも非常にビルドアップにトライしてきますし、より強くなったんじゃないか」という印象を持っている。

 では、上記を踏まえて、日本はどう戦うべきなのか。最後方からチームを見てきた西川が見解を明らかにする。

「まず守備に関してはしっかりとタイトに守ること。攻められる時間帯が長ければ長いほど、我慢強くやらなければいけない。ただ、攻められているということは、取った後はチャンスでもある。ただ、もちろん攻めている時のリスクマネジメントも重要になる。そういった基本的なことを大事にしながら、マークの付き方やチャレンジ&カバーの距離感を作っていければ。自分たちはただ引くんじゃなくて、ゴールを奪うためにしっかりとブロックを作って守る。それでショートカウンターにトライしていく必要がありますし、そこは日本の良さでもある。もし縦に早く入れられない時でも、しっかりボールを動かして後ろでビルドアップすることができれば、相手を剥がすこともできる。GKまで戻してやり直しても全然問題ないので、そのくらいの余裕を持ちながらアウェーの雰囲気を楽しむつもりで、いいプレーをしていきたい」

 押し込まれることも想定内。試合展開を読みながら、自分たちのサッカーをできるかがカギになる。西川はその中で“流れ”を変えるプレーの重要さにも触れた。

「流れを変えなければならない状況は必ず出てくると思う。一人ひとりがそういう意識を持って、悪い流れでもいいプレーで流れを変えるところを見せていかなければ勝つことは難しいんじゃないかと思う。そういうチャンスを狙いながら守っていきたい」

 チームの危機を救うスーパーセーブか、はたまた一瞬で展開を打開する得意のロングフィードか。セットプレーやクロスボールに対しては空中戦に強さを見せる相手にしっかりと存在感を見せる必要もある。状況によっては試合を落ち着かせるためのビルドアップに加わることも求められるだろう。緊張感溢れるオーストラリアとのアウェーゲーム。GK西川周作に寄せられる期待。そして彼が果たすべき役割はいつも以上に大きなものとなる。“笑顔の守護神”と称される西川のスマイルが試合後に見られるとするならば、それは彼自身がしっかりと仕事を果たした時。そうなれば自分のみならず周囲をも満面の笑顔にしているはずだ。

文=青山知雄

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