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【五輪プレビュー】手倉森Jに求められる3つのキーワード…「攻めの姿勢」「柔軟性」「反発力」で運命のコロンビア戦へ

2016.08.07

6日にトレーニングを行ったリオ五輪日本代表 [写真]=兼子愼一郎

 ナイジェリアとの初戦に敗れ、“背水の陣”で臨むコロンビア戦。キーワードは「攻撃的」だ。

 試合前日の会見で手倉森誠監督は「ゲームを一つ落としたあとで採らなければならない戦術と姿勢」として、「攻撃的になれるかどうかだと思う」ときっぱりと言い切った。

 ただし、それは3トップや4トップを採用し、玉砕覚悟で猛攻撃を仕掛けるという意味ではない。指揮官が求めているのは「攻撃的な守備」であり、「攻撃的な精神」だ。少しでも弱気の姿勢を見せれば、そこに襲い掛かってくるのが“世界”であり、引いて守ってもこじ開けてくるのが“世界”である。

 ナイジェリア戦では「耐えて勝つ」というテーマの「耐えて」を意識するあまり、慎重に試合に入り過ぎて“待ち”の姿勢に終始してしまった。確かに守備陣が犯したミスはお粗末なものだったが、守備陣への負担が大きい戦い方でもあったのだ。

 コロンビア戦でもこれまでどおり「堅守速攻」が基本スタイルで、「耐えて勝つ」「前半はしのいで後半勝負」というゲームプランに変わりはない。だが、警戒すべき選手に「テオフィロ・グティエレス(スポルティング/ポルトガル)、ドルラン・パボン(モンテレイ/メキシコ)、ミゲル・ボルハ(アトレティコ・ナシオナル)」と攻撃の3選手を挙げた指揮官は「前線の選手たちは嫌らしい仕掛けの持ち主なので、自由を奪うような激しい守備が必要になる」と攻撃的な守備の重要性を強調した。

 その点で一つのバロメーターとなるのが、試合開始の10分間の攻防だ。

「僕の中では立ち上がりの10分間は特に前から行っていいと思っている」

 そう語ったのはキャプテンの遠藤航(浦和レッズ)だ。遠藤がイメージするのは、前回大会のチャンピオン、メキシコから勝利を奪った今年3月のポルトガル遠征での一戦だ。

「あの試合は高い位置でプレッシャーを掛けてボールを奪って、ショートカウンターから点を取った。あの時のような入り方をするのが大事だし、前から行けば、後ろの選手たちも人にアプローチできるようになる。それで奪えればDF陣も乗ってくる。チームとして、そうやって臨みたい」

 合わせて遠藤はナイジェリア戦で興梠慎三(浦和レッズ)→大島僚太(川崎フロンターレ)→南野拓実(ザルツブルク)とわたった2点目のシーンを例に挙げ、スピーディな攻撃と、横への揺さぶり、落ち着かせる時間帯を作ることの重要性も説いた。

「縦を狙う時と、相手を広げる時の判断も大事になると思います。スピーディな攻撃は僕らの生命線なので、それは変わらず狙いながら。でも、そればかりでもいけない。ボールを落ち着かせる時間帯を作ったり、横に揺さぶることで、縦への攻撃も生きてくる。ナイジェリア戦はちょっと縦に急ぎすぎた。自分と(大島)僚太で落ち着かせるべき時は落ち着かせたいと思います」

 初戦ではスピーディな攻撃を意識するあまり、手倉森ジャパンが大事にし続けてきた「柔軟性」というコンセプトが失われがちになっていた。この“原点”を取り戻せるかどうかも焦点となる。

 コロンビア戦前日のトレーニングは開始15分以降、非公開となった。だが、報道陣がスタジアムの外に出るよう促される直前に始まったフォーメーション練習でピッチに散った選手の立ち位置は「4−4−2」。おそらくこのフォーメーションでコロンビアと戦うことになるだろう。

squad-colombia

 気になるスタメンに関して指揮官は「変えるところは変えますよ。気持ちも入れ替えて。気持ちが入れ替わっていれば、出続ける選手もいるでしょう。精神面は攻撃的になっていかないといけない。ボールに行ける選手、前に行ける選手、つまりビビってない選手を。そういう姿勢でいかなければ世界はなかなか勝たせてくれない」とメンバー変更の可能性も示唆。とはいえ、これまで「選手たちを信じている」と常々語ってきた指揮官だけに、守備陣のテコ入れを大幅に図ることは“懲罰人事”のようになり、ポジティブな雰囲気を取り戻しつつあるチームに悪影響を及ぼしかねない。「対コロンビアに効くオーダーで入っていけるだろうと思う」と言うように、コロンビア戦を見据えて最小限の入れ替えになるのではないかと見る。

 手倉森ジャパンはこれまで何度も逆境に立ちながら、そのたびに目の前にそびえ立つ壁を乗り越え、イラン、イラク、韓国を下してオリンピックの舞台までたどりついた。そのチームを評して指揮官は「反発力がある」と胸を張る。4−5というショッキングな敗戦を喫した直後だからこそ、“背水の陣”でその反発力が問われることになる。

文=飯尾篤史

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