2016.08.04

五輪初戦は3トップを採用か…練習を“急きょ”公開した手倉森監督の思惑とは

手倉森誠
公式会見に臨み、笑顔を見せる手倉森監督 [写真]=兼子愼一郎
元サッカーダイジェスト記者。12年からフリーランスに。

 ナイジェリアとの決戦の地、マナウスに入ってから非公開になるはずだった“手倉森ジャパン”のトレーニング。だが、初日の8月1日だけでなく、戦術トレーニングを行った2日の練習も急きょ公開された。

 こうした場合、「急きょ」というのは「閉じられる」に使われる言葉だが、急きょオープンにしてくれるサービス精神の旺盛さが、いかにも手倉森誠監督らしい。対戦相手のナイジェリアがまだブラジル入りしておらず、偵察される心配がなくなったことで、日本メディアに対して公開してくれたのかもしれない。ちなみに直前に同じ会場で体を動かしたコロンビア代表のトレーニングは、予定どおり15分過ぎに非公開となっている。

 この日のトレーニングで注目すべきポイントは、攻撃のビルドアップに関してだ。ピッチに描かれた布陣は、MF遠藤航(浦和レッズ)をアンカーにした[4-3-3]。遠藤が最終ラインとパスを交換したり、センターバックの間に割って入ったりしてDFラインから攻撃を組み立て、インサイドハーフとウイングの素早いパス交換から裏を突き、ゴール前まで攻め込むパターンを繰り返した。

「一戦目の入り方はあれでいきます。耐えて守って鋭く攻撃する。もう一つは時間を使うことができればいいなと。そのためのシステムを今日は試しました」

 練習後、トレーニングの狙いをこう明かした手倉森監督は、FW久保裕也(ヤング・ボーイズ)を招集できなくなったことが[4-3-3]システム採用に関係しているのかという報道陣の問いかけをあっさりと否定した。

「(27日の)セルジッペ戦後の囲み取材で『4-3-3をやる』と言ったのを皆さんも覚えていると思いますが、実はそれが初戦だったということです」

 たしかに指揮官は後半から[4-3-3]を採用したセルジッペとの練習試合後にこう話していた。

「たぶん、やりますよ。やっぱり原川(力/川崎フロンターレ)と矢島(慎也/ファジアーノ岡山)はシステムに柔軟性を持たせる人材だなって感じさせてくれましたね。おそらくどこかのチームに対してやります」

 この“どこかのチーム”が、ナイジェリアだった。初戦に向けてかねてから温めていた策だったことを匂わせる。

 実際、このチームは“柔軟性”というコンセプトの下、メンバー構成や対戦相手、試合状況に応じて[4-4-2]や[4-2-3-1]、[4-3-3]、さらには[3-4-3]など、多くのシステムを使い分けてきた。ただし、これまで[4-3-3]を採用した試合の内容が良かった印象はあまりないのが正直なところだ。

 先のセルジッペ戦は後半にサポートメンバーのMF冨安健洋(アビスパ福岡)をアンカーに置き、MF井手口陽介(ガンバ大阪)と原川をインサイドハーフに起用した[4-3-3]への変更をきっかけにボールが回るようになった。

 だが、これはあくまでも練習試合でのこと。1月のアジア最終予選(AFC U-23選手権カタール2016)では、サウジアラビアとの第3戦でMF三竿健斗(鹿島アントラーズ)をアンカーに、MF大島僚太(川崎フロンターレ)と井手口をインサイドハーフとして起用した[4-3-3]で臨んだが、思うようにボールが回ることはなかった。

 実は韓国との決勝でも、後半開始から[4-3-3]に変更している。しかし、これでバランスを崩して失点し、15分後に[4-4-2]に修正。試合後、手倉森監督は「重心が後ろに下がってしまった」と自身の采配ミスを認めていた。

「どうなんですかね。(4-3-3を採用していた)ブラジルからインスピレーションを得たんですかね。僕らもまだ4-3-3か4-4-2かを言われてないので、分からないですけど」

 練習終了後、主力組のインサイドハーフに入っていた大島はこう言った。ただし、今回のメンバーで実際に[4-3-3]でプレーしてみた印象は決して悪くない。

「いつもより高い位置でつなげられればという部分はあります。3トップとも自然と近くになれると思うし、シオくん(塩谷司/サンフレッチェ広島)もボールを付けようとしてくれるので、攻撃に関していい距離になるかなと思います」

 果たして本当に[4-3-3]でナイジェリア戦に臨むのか、あるいは情報戦の一環なのか――。報道陣とひとしきりの問答を終えた手倉森監督は、最後に「また(システムを)変えたらすみません」と笑いを誘ってミックスゾーンを後にした。

文=飯尾篤史

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