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リオ五輪代表がブラジルへ出発…メダルへの鍵は“心身”のコンディション調整

2016.07.21

国内での合宿を終え、ブラジルへと旅だったリオ五輪日本代表 [写真]=野口岳彦

 U-23日本代表からリオ五輪代表となった手倉森誠監督のチームが、最終決戦へ向けて動き出した。7月19日、20日に国内でトレーニングを行ない、21日にブラジルへ向けて出発した。

 初日の練習に参加したのは、18人のうち10人だった。20日に2016明治安田生命J2リーグを戦った矢島慎也(ファジアーノ岡山)、海外クラブ所属の久保裕也(ヤング・ボーイズ)と南野拓実(ザルツブルク)は、チームに合流できていない。アーセナルとの正式契約を控える浅野拓磨(サンフレッチェ広島)も、チームよりひと足先に日本を離れた。矢島は21日に日本で、南野と浅野は経由地のロンドンで、それぞれチームに加わることになっている。

 気になるのは久保裕也だ。ヤング・ボーイズが26日にチャンピオンズリーグの予備戦を戦うため、この試合を終えてからブラジルへ旅立つことになる。

 5月のトゥーロン国際大会に参加できなかった久保は、3月のポルトガル遠征を最後にこのチームでプレーしていない。ヨーロッパ在住なのでブラジルとの時差は少ないものの、オーバーエイジを含めたコンビネーションの構築が急がれる。

 19日の合宿初日から、すでにリオ五輪へ向けた調整は始まっている。同日のトレーニングは18時開始で、20日は一時間前倒しして17時にスタートした。ブラジルとの時差を考慮したものである。2016明治安田生命J1リーグが中3日で3連戦を消化したばかりということもあり、国内での2日間は疲労回復に努めた。

 本格的なトレーニングに着手するのは、ブラジル入りする22日からだ。オーバーエイジの素早い融合に注目が集まるなかで、手倉森監督は19日の練習後に「コンディションの見極めが大事だ」と話した。

 ここで言う「コンディション」とは、フィジカルだけを指すのではない。メンタルのコンディションも含まれている。

 手倉森監督は選手たちに、「過酷を覚悟しろ」と話している。1月のリオ五輪アジア最終予選でも同じ言葉を選手に投げかけたが、「最終予選の比じゃない」と言う。指揮官は5月のトゥーロン国際大会後、ブラジルを視察した。

 ナイジェリア戦、コロンビア戦を戦うマナウスから、スウェーデンと対峙するサルバドールへの移動は、距離的にも時間的にも「キツい」と言う。「今回の五輪は、ピッチ内だけのうまさを持っていても戦える大会じゃない。人間としての精神力が試される」から、メンタルのコンディションが大切なのだ。

 チームは21日に日本を発ち、現地時間22日から事前キャンプ地のアラカジュでトレーニングを進める。27日にクラブチームと練習試合を行ない、30日にはU-23ブラジル代表とのテストマッチに臨む。

 ネイマールを擁する開催国との対戦は、少しばかり強すぎる処方箋となるかもしれない。しかし、「コテンパンにやられるのもひとつ」と、手倉森監督は冷静だ。

「グループリーグのスカウティングはもちろんしているけれど、それを鵜呑みにするつもりはない。我々もアラカジュでトレーニングをして、ブラジルと試合をしたら変わるかもしれない。今回のオリンピックの環境では、スピードとパワーを求めるサッカーを、ずっと続けるのは無理。まんべんなく色々な戦いかたができるようにしないと勝てない。そういう意味で、ブラジル戦は最高の機会なんですよ。ブラジルがスピードを生かしてくるのか。それとも、ゆったりとしたリズムでサッカーをするのか。オリンピックに向けて、どちらにも対応できるようにしないといけない」

 48年ぶりのメダル獲得を目指すチームにとって、ここから先の準備はきわめて重要な意味を持つ。歴史を変えるための助走が、すでに始まっている。

文=戸塚啓

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