2016.05.28

「イメージできない」…大久保招集に懐疑的なハリル、代表監督に与えられる権限と責任

ハリルホジッチ
日本代表を率いるハリルホジッチ監督 [写真]=足立雅史
スポーツライター。日本代表の国際Aマッチは、2000年3月からほぼ全試合を現地取材。

 代表チームに誰を選ぶのかは、代表監督の専権事項だ。選手選考が異論を呼んでも、結果さえ残せばいい。5月26日にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が発表したキリンカップのメンバーリストに、大久保嘉人(川崎フロンターレ)の名前はなかった。旧ユーゴスラビア出身の指揮官は、「代表では組み立てにも参加しないといけないし、ディフェンスにも戻ってほしい」と話した。大久保のプレースタイルはゴールを取ることに特化しており、「代表のなかで生きるイメージができない」と選考外の理由を続けた。

 川崎フロンターレへの移籍でストライカーの血を濃くした──取り戻した、とも言える──大久保だが、10年の南アフリカ・ワールドカップではサイドアタッカーとしてディフェンスにも精力的な姿勢を見せた。チーム戦術として求められれば、守備だってできる。川崎での彼が、守備にまったく関わらないわけでもない。

 ひとつ気になるのは、2014年のブラジルW杯である。大会直前に招集された大久保は、2度目のW杯で結果を残せなかった。Jリーグでの好調ぶりを、国際舞台へ持ち込めなかった。

 ブラジルで活躍できなかったのは、もちろん彼ひとりの問題ではなかった。ただ、アルベルト・ザッケローニからハリルホジッチへ監督が変わっても、代表チームのコアメンバーは変わっていない。長谷部誠(フランクフルト)であり、本田圭佑(ミラン)であり、香川真司(ドルトムント)であり、岡崎慎司(レスター)であり、長友佑都(インテル)である。

 サッカーのスタイルも、ブラジルW杯当時からドラスティックに変わっているわけではない。ハリルホジッチ監督は攻撃にタテへの速さを求めるが、アジア相手にはそうもいかない現状がある。日本を相手にした国々は、試合の主導権を握ることに後ろ向きだ。日本にボールを持たせておけばいい、という割り切りを隠さない。タテに早い攻撃を日本が仕掛けたくても、あらかじめスペースが埋められている。なかば強制的に、ポゼッションサッカーを強いられる。

 そこで重要なのは、コンビネーションであり、連動である。少なくとも最終予選の間は付きまとうこの問題の解決法として、ハリルホジッチ監督は大久保の招集に懐疑的ということだ。組織としての成熟度アップでゴールの確率を高めるのであれば、大久保よりも将来性の見込める金崎夢生(鹿島アントラーズ)や浅野拓磨(サンフレッチェ広島)を使っていこうというのが、指揮官の判断なのだろう。考え方のひとつとしては、理解を得られるものである。

 代表チームに招集できる人数は限られている。FWには岡崎というはっきりとした柱がいるだけに、この段階で大久保に頼らなくてもいいとの判断も働いているはずだ。「必要なら呼ぶかもしれない」と、ハリルホジッチ監督も招集の余地を残している。

 そもそも代表チームの編成において、誰もが納得できるメンバーなど成立しない。異論や反論は、いつだってつきまとうものだ。ハリルホジッチ監督の選考にも、彼の好みは表れている。Jクラブのパフォーマンスは、必ずしも反映されていない。

 ハリルホジッチ監督の判断が正しいのかどうかは、ひとまずキリンカップが判断材料になる。ヨーロッパからボスニア・ヘルツェゴヴィナ、デンマーク、ブルガリアを招くこの大会の結果次第で、指揮官の立場は良くも悪くもなる。思いどおりのメンバーを選ぶことはできるが、責任をすべて背負うのも代表監督なのである。

文=戸塚啓

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