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日本代表が手にした“新たな刀”…ハーフナーが高さを武器に2ゴールを演出

2016.03.25

アフガニスタン戦で約2年5ヶ月ぶりの出場を果たしたハーフナー・マイク [写真]=兼子愼一郎

 24日に埼玉スタジアムで行われたFIFAワールドカップロシア アジア2次予選で、アフガニスタン代表に5─0で圧勝した日本代表。ハリルジャパン初招集で注目されたハーフナー・マイク(ADOデン・ハーグ/オランダ)は約20分間の出場ながら身長194センチという自慢の高さで存在感を発揮し、金崎夢生(鹿島アントラーズ)の5点目をアシスト。前日練習後に「チャンスはあると思う。自分の特長を生かしたプレーを出せれば、それが最大のアピールになる」と話していた彼にとって、まずは“及第点”と言える結果でハリルジャパンのデビュー戦を乗り切った。

 ハーフナーにとっては2013年10月15日のベラルーシ戦以来となる国際Aマッチ。日本国内では同年6月4日のオーストラリア戦(埼玉)以来となる出場機会にスタンドが湧いた。

 72分に岡崎慎司レスター/イングランド)に代わって投入されると、投入直後の74分に得た左CKでいきなり追加点が生まれる。ハーフナーがファーサイドに入ったことで相手守備陣の注意を引き付け、手薄になったニアサイドへ飛び込んだ吉田麻也サウサンプトン)が頭で合わせて4点目。試合後、ハーフナーに「ある意味、あれもアシストでは?」と聞いたところ、本人は「大げさに言えば」と笑ったが、ゴールを決めた吉田は「明らかに目立つターゲットマンが入ったことで相手の集中力が分散された」とハーフナーの存在感を評価した。

 続く78分には清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)のフィードを打点の高いヘディングで落とし、金崎のチーム5点目をアシスト。「(金崎の動きは)見えていて、そこに落とした。あまり練習ではやってなかったけど、ゴールにつながったんで、そこだけは良かった」と安堵の表情を見せた。

 この「そこだけ」というコメントに、ハーフナーの思いが込められている。

 28歳でのハリルジャパン初招集。前日には「今回がラストチャンスかもしれない。しっかり結果を残せるようにしたい」と危機感を吐露していた。そしてこの日はベンチスタート。前半を見ながら「クロスがたくさん上がっていたので、自分に出番があったら1点決めようと思っていた」という。だが、結果は2ゴールに絡みながら自身は無得点。「点が取れなかったことに関しては悔しい。でも、チームが勝つのが一番。こういう雰囲気に慣れて、もっと結果にこだわりを持ってやっていきたい。できれば点を取りたかったですけど、(金崎)夢生が決めたような場面をどんどん増やしていきたい」と悔しさを漏らしながらも手応えを口にした。

 守りを固める相手に対して新しいフォーメーションと戦術を用いたアフガニスタン戦は、テストの意味合いが強いゲームでもあった。その中で今までハリルジャパンが持ち合わせていなかった“高さ”という武器でハーフナーが結果を残したことは、チームにとって非常にポジティブなものだ。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「ハーフナーを使う時には空中戦、ヘディングでの折り返しなど、彼の長所を生かさなければいけない。日本代表はここ数年、このようなプレーを習慣化していなかったので、彼に向けてのセンタリングを増やした。ワールドカップ予選という厳しい環境の中でオプションを試すことができた。2人のセンターフォワードを起用する場合は、一人がパス、一人が点を取るような補足関係が必要になる」とハーフナーが残したアシストという結果にも一定の評価を与えている。

 本人は決して満足していないが、FW陣のサバイバル競争に生き残っていくだけのものは見せた。彼自身も「もっとできたと思うし、20分くらい時間をもらったので、ちょっともったいなかった。ただ、アシストした部分は良かったと思うので、また次の試合でチャンスをもらえるように、練習から妥協せずに頑張りたい」と語る。指揮官は現時点で「あくまでもオプション」としているが、チームとしては展開に応じて振りかざすことのできる“新たな刀”を手にしたと言っていい。

文=青山知雄

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