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シリア戦のカギは適応力とピッチ内の判断…勝負を分ける「6秒」の戦い方に注目

日本は8日、グループ首位に立つシリアとの決戦に臨む [写真]=兼子愼一郎

 3連勝でグループ首位に立つシリアとの決戦が迫ってきた。

 ここまで日本代表は2勝1分けの2位。中立地オマーンでの開催ながら日本にとっては実質的にはアウェーの地となり、シリアとしては“ホーム”で日本を叩けば、アジア2次予選でグループ首位通過の可能性が高まる。シリアは日本がこれまで対戦してきたシンガポール、カンボジア、アフガニスタンとは違って人数をかけて守備を固めるタイプのチームではないことから、勝ち点3を狙って攻撃的に出てくることが想定される。日本としては何とかシリアに勝利してグループ首位を奪還し、ロシアへの道を明るくしたいところだが、これまでロンドン・オリンピックのアジア予選で敗れ、2011年のアジアカップでは苦戦を強いられるなど苦しめられた歴史もある。まずはしっかりと勝利を収めて、最終予選進出へ前進したい。

 この試合で日本が適応すべきポイントは2点。気候を含めた環境、そしてシリアの出方にどう対処すべきかだろう。

 オマーンに乗り込んだ日本代表を待っていたのは、日中の高温との日没後の多湿な気候、そしてシーブ・スタジアムの深い芝だった。霜田正浩技術委員長は同スタジアムで行われた前日練習後、「ここは下がデコボコしていて、その上に長めの芝が乗っている。スタジアムは風が通らないので、選手たちは結構暑そうだった。湿度も高い」と初めて足を踏み入れた会場のピッチ状況について説明。GK西川周作浦和レッズ)が「(日が暮れても)意外と暑さがあって、ピッチに水をまいて蒸し蒸しする感じもある。それでピッチが緩くなっているところもあるので、しっかり気をつけなければいけない」と話せば、柏木陽介(浦和)は「(ピッチは)ボールの走りはいいけど、深い芝に足を取られて疲れてくると思う。その中で選手が考えてやっていく必要がある」と実際に芝を踏みしめた感想を口にした。

 まさに高温多湿。前日練習後、ミックスゾーンでテレビのインタビューに応えるFW岡崎慎司レスター)が大汗をかいている姿を見て、前を通りかかったヴァイッド・ハリルホジッチ監督が手に持っていたハンカチを渡そうとするほどの暑さ。日没から一気に湿度が上がる中東特有の気候にどう適応するか。そして足に絡みつくシーブ・スタジアムの長い芝への対応も必要だ。日本代表チームとしては芝を刈るように希望を出しているようだが、シリア側に受け入れられる可能性はゼロに近い。難しい環境下でこれまでのように縦に速いサッカーを狙い続ければ、スタミナ切れを起こしてしまう危険性が高いだろう。そこでポイントになるのが、シリアの出方にどう対応していくかだ。

 相手が攻撃的にならず、これまでの相手と同様に引いてきた場合は、ミドルシュートやダイレクトプレーを多用するなど前回までの教訓を生かせばいい。今回のトレーニングで重点を置いているセットプレーにも注目しておきたいところ。岡崎は「もちろんどちらの準備もしている。相手がどう来ても、自分たちは対応できると思う」と状況に応じた戦い方のシミュレーションができていることを明かしている。

 重要なのは相手が攻撃的に出てきた場合だ。1日のメンバー発表会見でハリルホジッチ監督が「彼らにはそれほど多くのチャンスは必要ない」と話したように、シリアには決定力の高い選手を擁している。長友佑都インテル)は「3、4人ほどすごくいい選手がいる。スピードやボールテクニックのある危険な選手が多い」と相手を分析した。

 では、シリアが積極的に向かってきた場合、日本はどう戦うべきなのか。

 日本としては消耗戦となる可能性が高い中で、ゴールを狙いながら相手のカウンターをケアする必要がある。守備面のリスクマネジメントが今まで以上に求められることは言うまでもない。槙野智章(浦和)が6日の非公開練習後に「今日は守備のオーガナイズを徹底的にやっている」と明かしたが、その後のミーティングでも指揮官は最終ラインを高く保つように強く求めているという。

 槙野はこう続けた。

「(ポイントは)自分たちがボールを失った瞬間ですね。ボールを保持している時こそ相手をしっかり抑えることが大事だし、ボールを失った瞬間から6秒以内に奪い返すことを徹底的にやっていますから。奪った瞬間にできるだけラインを上げること、相手FWの選手を置き去りにするくらいコンパクトにすることも要求されています。DFにとって多少はオフサイドの怖さはありますけど、チーム全体の戦い方やゲームプランを考えると、勇気を持ってラインを上げることが必要ですから」

 カウンターを狙う相手に対して、ショートカウンターを仕掛ける。そこで奪われればさらに速攻を食らう可能性はあるが、奪われた瞬間にどれだけ素早く寄せることができるかがカギを握る。長友も「(9月の)アフガニスタン戦でもラインを上げられるシーンがもっとあって、監督からミーティングですごく求められた」と話しているように、指揮官はチーム全体に組織として戦うことを要求している。つまり、素早く寄せるために最終ラインから前線までをコンパクトに整え、選手同士がいい距離を保つ必要があるということだ。いい形でボールを奪い、鋭くゴールへ襲いかかるためには必要不可欠な考え方である。

 とはいえ、消耗の激しいゲームになるのは間違いない。前線が追い回しても中盤がついていけずに間延びしてしまうと、チーム全体が機能しなくなってしまう。そこで試されるのも組織力。長友は過去の経験を踏まえ、「こういう試合ではメリハリが一番大事になってくる」とも語っている。

 前から追い込むのか、いったん引いて守るのか、それとも相手を引きつけてカウンターを狙うのか。時にはゆっくりボールを回して時間を使うことも必要だろう。試合展開や環境、ピッチの状態など、あらゆる状況を読みながら戦うことが求められる難しいゲームとなる。最終ラインからのゲームコントロールも必要不可欠。“後ろの声は天の声”と言われるように、守備陣にはしっかりと声を出して意思統一させることも求められる。

 今まで以上にピッチ内で下す判断の重要性が高まるゲーム。まさにチームとしての総合力が試される一戦となる。前日会見で「我々の真の力を見せなければならない」としたハリルホジッチ監督。それを披露できれば勝利は必然。見せられなければ苦戦は必至だ。果たして日本代表はいかなる戦いを見せてくれるのか。試合は日本時間8日(木)22時にキックオフを迎える。

文=青山知雄

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