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敵地に乗り込む日本、アフガニスタン戦は山口蛍の攻撃センスに期待

2015.09.04

カンボジア戦の翌日はランニング中心に実施。回復に努めた [写真]=野口岳彦

文=元川悦子

 3日の2018年ロシア・ワールドカップ アジア2次予選・カンボジア戦(埼玉)で、本田圭佑(ミラン)、吉田麻也(サウサンプトン)、香川真司(ドルトムント)と主力3人がゴールを奪い、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任後の公式戦初勝利を挙げた日本代表。シュート34本を放ち、ボールを73.9%も支配しながら3点というのはやはり不完全燃焼感が拭いきれないが、最低限の勝ち点3を手にしたことで、選手たちは8日の次戦・アフガニスタン戦(テヘラン)に前向きな気持ちで挑めそうだ。

 その一戦から一夜明けた4日、日本代表は朝10時半から埼玉県内でトレーニングを実施。前日のゲームに先発した本田、香川らフィールドプレーヤーの先発組10人は軽いランニングなどダウンに努め、それ以外の宇佐美貴史ガンバ大阪)、原口元気(ヘルタ・ベルリン)らは5対5など負荷の高い実戦形式のメニューを精力的に消化した。この日は前日までと打って変わって残暑が厳しく、ピッチ上もまぶしいほどの日差しが照りつけたが、次のゲームで出場機会を伺う宇佐美や柴崎岳鹿島アントラーズ)らは気合の入った様子でボールを蹴っていた。彼らフレッシュな若い世代がアフガニスタン戦で強烈なインパクトを残すような形になれば、チームも勢いに乗るだろう。

 その若手世代の代表格である山口蛍セレッソ大阪)は、改めてカンボジア戦のパフォーマンスをじっくりと振り返った。彼自身は本田の先制点、吉田の2点目を立て続けにアシストする活躍を見せたが、ハリルホジッチ監督から強く求められていたミドルシュートの方は不発に終わった。

「もちろんミドルのことは試合が始まってからずっと頭にあるんですけど、その前に違うパスコースが見えてそこに出してしまったりとか、自分たちが打っちゃうともったいないかなという気もしたりして、違う選択肢になったりしてる。普段ミドルどんどん打てってことはチームでもあまりないし、自分の意識をどれだけ変えていくかってところにかかってきますね。意識だけじゃなくて精度も求められると思います」と本人も改善点を明確に捉えていた。

 そもそもカンボジア戦の山口は、8月の東アジアカップ(武漢)の時ほど攻撃に絡もうとはせず、むしろ後ろに下がってボールを捌く役割に徹していた。それが彼自身がゴールから遠ざかった一因とも見ることができる。「真司君と話してて『自分がちょっと左のスペースでやりたいから、俺がアンカー気味でハセさんが少し前でやってほしい』って言われたんで、やっぱり真司君が一番イキイキできるようにやるのが一番いいのかなと。それであんまり上がって行かなかったのもあります」と山口は香川の要求に最大限応えようとしたことを明かしたが、それでは彼の怖さは出にくい。もっと臨機応変に自分から積極的に前へ出ていって、ゴールを狙っていいはずだ。

 本人は「もともとミドルが下手」と自虐的なコメントも残しているが、最近だけでも韓国戦、J2の大分トリニータ戦と2発連続で決めていて、鋭い感覚が簡単に失われるはずがない。もっと自信を持って堂々と挑んでいいはずだ。そういう積極性と主体性を前面に押し出すことで、日本代表の若返りも進んでいく。2014年ブラジル・ワールドカップ3試合全てに出場した山口だからこそ、20代前半の世代をリードしていってほしいものだ。

 過酷な環境下での戦いになるアフガニスタン戦は、彼ならではの逞しさとタフさがいかんなく発揮される舞台。2012年ロンドン五輪アジア予選でも、2次予選でクウェートにアウェーで負けたり、最終予選でシリアに中立地・ヨルダンで苦杯を喫するなど、敵地でのゲームの難しさを知り尽くしていることも大きい。

「ホームとアウェーじゃ全然違うし、五輪の時もホームで圧倒しててもアウェーで負けちゃうことがあった。やっぱりアウェーで勝ち癖をつけたいのはありますね。イランは行ったことがないのでイメージはわかないけど、セレッソの(パウロ・アウトゥオリ)監督が行ったことがあるらしくて、結構お客さんも入るらしいんで、そういう環境は僕は逆に好きかなというのはありますね」と語気を強めた山口。次こそ彼には持ち前の攻撃センスを強く押し出し、チームの勝利を力強く引き寄せてほしいものだ。

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