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アジア杯、注目選手から見る敵国分析…ヨルダン代表FWハムザ『神出鬼没の小兵』

2015.01.20

ヨルダン代表のハムザはパレスチナ戦で4ゴールを記録 [写真]=Getty Images

 2試合を終えて1勝1敗のヨルダンは決勝トーナメントを懸けて日本代表と対戦する。ここまで4-2-3-1というシステムで戦っているが、日本に対しては形を変えてくる可能性もある。いずれにしても、サイドを起点としたカウンターが主体となるだろう。ヨルダンのキーマンはFWのハムザ・アル・ダルドゥール。パレスチナ戦で4ゴールを決めた23歳のストライカーだ。

 ユース時代から各カテゴリーの代表で主力を張るハムザは前回のアジアカップでただ1人、十代で大会メンバーに選ばれたエリートであり、その後も順調に成長を重ね、2012-13シーズンにはヨルダンリーグで得点王を獲得。昨年からサウジアラビアのアル・ハリージュでプレーしている。

 パレスチナ戦は1-0のリードで迎えた前半34分、MFアブダラー・ディーブのドリブルからのパスにゴールエリア内で合わせ1点目を奪うと、ロスタイムに右サイドからの崩しでアル・サイフィが出したショートクロスを押し込む形で2点目を挙げる。後半30分にカウンターからアブダラー・ディーブのパスを受けると、一気に敵陣を破って豪快に決めてハットトリックを達成。さらにDFウダイ・ザハラン の右からのクロスをゴール前の中央で受け、左足で4点目を蹴り込んだ。
 
 171センチと上背は無いが、流れの中でペナルティエリア内のポイントに入り込む動きがいやらしく、大型のDFは非常にマークしにくい。しかも、状況に応じて左右の足で正確なシュートを打てることが、相手の対応をさらに難しくしている。また幅広いポストプレーでチャンスの起点となる相棒のアブダラー・ディーブと良い関係を築いており、左右からのクロスに合わせる動きに加えて、バイタルエリアでアブダラー・ディーブがボールを持った瞬間のハムザの動き出しは要注意だ。
 
 ヨルダン戦は日本が長くボールを持つことが予想され、吉田麻也が統率するDFラインも高くなるはず。一発で裏に抜ける動きに対しては、日本の守備陣もパレスチナ戦、イラク戦と同じく警戒し、しっかり対応すると見られる。より危険なのはサイドの浅いエリアを起点として、そこからのアーリークロスや、そこからワイドに開いたアブダラー・ディーブに縦のボールを付ける速攻だ。

 そうした場面でアブダラー・ディーブがメインのターゲットになる分、ハムザの消える動きは捉えにくい。日本がヨルダンに攻撃から危険な場面を迎える回数はそう多くないだろう。だからこそ、いざヨルダンの形がはまった時に得点源のハムザに決定的なフィニッシュを許さない様に、対応の準備をして臨みたいところだ。

文=河治良幸

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