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アジア杯、注目選手から見る敵国分析…オーストラリア代表MFルオンゴ『待望の新星』

2015.01.14

初戦のクウェート戦で大活躍したルオンゴ [写真]=Getty Images

 開幕戦でクウェートと対戦した開催国オーストラリアは、前半8分にCKから失点する苦しい立ち上がりを強いられたが、前半の間に2点を返すと、後半にも2点を追加。終わってみれば4−1の快勝で、優勝に向け幸先良いスタートを切った。

 ブラジル・ワールドカップから引き続き“サッカルーズ”を率いる、アンジェ・ポステコグルー監督が掲げるパスサッカーの中で、攻撃にダイナミズムをもたらしているのがMFのマッシモ・ルオンゴだ。基本システムとなる4−1−4−1の右インサイドハーフに位置するルオンゴは現在22歳。18歳の時にプレミアリーグの名門トッテナムに青田買いされたが、レンタル先で目立った活躍を見せられないまま3部のスウィンドンに完全移籍で放出された。しかし、そこから急成長を見せ、昨年には代表1キャップでW杯のメンバーに選出された。

 登録はMFだが鋭い仕掛けを持ち味とし、素早い動き出しから味方のパスを引き出すと、ファーストタッチから加速する。開幕戦のクウェート戦ではスローインから相手のディフェンスを縦に突破し、マイナスのパスでティム・ケーヒルの同点ゴールをお膳立てした。さらに右からのクロスに抜群の跳躍力で合わせて逆転ゴール。攻撃に違いを生み出せるルオンゴは、少し前まで世代交代がなかなか進まなかったオーストラリアにとっては待望の星だ。

 オーストラリアは伝統的なロングボール戦術を脱却し、中盤でボールをつなぎながら高い位置でアクションをかけていく攻撃スタイルに移行し、選手たちも意識転換を求められている。ルオンゴも中盤を形成するミル・ジェディナクやジェームス・トロイージ、あるいはマーク・ブレッシアーノと共に、シンプルなパスで攻撃リズムを作ることを心がけているが、スイッチが入った時の鋭い攻め上がりは異彩を放つ。高い身体能力もさることながら、勝負どころで見せる積極性が破壊力を増しているのだ。

 昨年11月の日本戦でも、立ち上がりは日本のディフェンスの合間にどんどん侵入してゴールを脅かしたが、日本に主導権を取られた後半は存在感が無くなり、今野泰幸のゴールで先制された直後に交代で下げられた。いいリズムに乗れている時と、そうでない時の差が目下の課題と言えるが、であり、初戦の活躍で自信を高めていれば、さらなるブレイクが期待できる。同時に、日本が対戦する場合はエースのケーヒルやドイツのレバークーゼンに所属するクルーズに負けず劣らず、警戒が必要な存在になってきそうだ。

文=河治良幸

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