韓国戦後、肩を落とす遠藤(中央)らU-21日本代表メンバー [写真]=Atsushi Tokumaru
「しぶとく泥臭く守る覚悟というのはこの年代の選手たちに付いてきたな、と。オマーン(のU-22アジアカップ)では相手に蹴られたら弾き返すことも難しくなっていた。今日は弾けていた。そこは収穫」
終了間際のPKで0-1と敗れたアウェイでの日韓戦を終えて、手倉森誠監督はそんな言葉でU-21日本代表の挑戦を総括した。あえて年下のチームで挑んだアジア大会は、本質的にチャレンジの場である。来年から始まるリオ五輪予選、そして本大会に向けて何を獲得できるかが問われる大会だ。極端なことを言えば、メダルを獲っただけで何も残らないのならば、その挑戦は成功とは言い難い。
4万人の大観衆を敵に回してのアジア大会準々決勝は、その意味で最高に準ずるゲームだった。場のテンションに引き出されるように、選手たちは体を張り、食い下がった。「自分たちのサッカー」ができないときに、どう戦い抜くのか。「ポスト・ブラジルW杯」における一つの大きなテーマに対して、若い選手たちは懸命に応えようとしていた。
「自分たちがやりたいことをやれないときは、相手にもやらせるなということだった。勢いを持ってやってくる韓国に対してしのぎながら戦っていくゲームだった」(手倉森監督)
内容的には年長の韓国に終始押し込まれる展開ではあったが、よく耐えて、よく粘り、よく勝機をつないではいた。そして、それができていたからこそ、課題も明瞭になった。「まずは守備」から入った手倉森監督のチーム作り。イラク戦から韓国戦という短い間にもチームとしての成長は見て取れた。一方で、守ったあとにどう変化していくは大きな課題として浮き彫りになった。
「割り切った中でもどこかでリズムをひっくり返さないといけない。そこのポイントをもっと詰めなければいけない」
この試合、二つの変化ポイントがあった。一つは64分にFW荒野拓馬(コンサドーレ札幌)を投入して2トップに変えて勝負へ出た時間帯。もう一つは79分にMF原川力(愛媛FC)を入れて4-3-3へシステムを変えてボール支配率の改善を図った時間帯だ。守備モードからの転換。ゲーム内での柔軟な変化は手倉森監督が掲げるチームとしての大きなテーマなのだが、指揮官が意図したほどにはリズムを変えることはできなかった。純粋に体力的な問題もあったように思うが、それだけということはないだろう。それはアジア大会を終えて、U-21代表が持ち帰るべき「宿題」となった。
「準々決勝で韓国と縁があって対戦して、ここで負けさせられた。オマーン(のU-22アジアカップ)でもベスト8止まり、ここでもベスト8止まり。まだまだ満足してはいけないということだと思います」と手倉森監督は言う。一方、「下を向いていても仕方ない」と強い口調で語ったのは、MF遠藤航(湘南ベルマーレ)。目指すは、2年後のリオ五輪。そしてその先に待つA代表へ。強くなるための近道なんて存在しない。一つ一つ積み上げて、より高みを目指して、若きサムライはこの敗戦から再出発していく。
文=川端暁彦