27日のキプロス戦をどう戦うか? ザッケローニ監督。【写真】=Getty Images
毎回週替わりのテーマで日本サッカーについて語り合う『J論』。今回はキリンチャレンジカップ・キプロス戦(5月27日・埼玉)について、ちょっと違った視点からフォーカスしていく。国内外のサッカーに幅広く通じるジャーナリストの河治良幸が、対戦相手であるキプロス代表に切り込んだ。
■単なる弱小国にあらず
5月27日のキプロス戦はブラジルW杯に向かう日本代表にとって国内最後の試合となる。ただ、キプロスと言っても日本のファンにとって馴染みが薄いかもしれない。試合前日の会見でザッケローニ監督が「ギリシャに似ている」と語ったように、”仮想ギリシャ”とも言われているが、実際はどういう特徴のチームなのだろう。
ザッケローニ監督は試合前日の会見で「欧州のクラシックなスタイルで、しっかり守って走力ある飛び出しをしてくるチームだ」とした上で、「簡単には勝たせてくれないチームだと言える。それを踏まえて、われわれは自分たちのサッカーをやらなければならない。同時に相手のストロングポイントとウィークポイントを把握しながら戦いたい」とも語り、相手を侮っていないことを強調した。
そのキプロス、W杯欧州予選はE組でスイス、アイスランド、スロベニア、ノルウェー、アルバニアと同居し、1勝2分7敗で最下位に終わった。得点は4と寂しい結果だが、失点は10試合で15となかなかのもの。首位でW杯出場を決めたスイスとの対戦では司令塔ジャカに起点を作らせず、シャキリのサイドからの仕掛けを粘り強く封じて、ホームで0-0のドロー。アウェイの2試合目は1-0で敗れたとはいえ、終了間際の失点まで強豪国を苦しめている。この辺りは「試合内容で大敗はない」とザッケローニ監督が語った通り。
現在、チームの指揮権はハジピエリス前監督からフリストドゥルトゥ監督に引き継がれているが、主力の陣容はほとんど変わっていない。W杯後にはすぐにEURO2016の予選が始まるため、急な世代交代はできないという事情もあるだろう。細かい戦術的変化はあるかもしれないが、堅守速攻の基本コンセプトに違いはなさそうだ。
■ギリシャとの共通点と相違点
[4-4-2]の3ラインをベースとしたディフェンスは自陣にべったりと引くわけではなく、相手チームが後ろでビルドアップすれば、ある程度前からプレッシャーをかけてディフェンスラインを高く上げる。[4-3-3]で中盤をタイトに固めてくるギリシャとは違う点だが、守備から入ってマイボールになったら手数をかけないで仕掛けてくるスタイルには共通するものがある。
中盤のマクリディスやニコラウは非常に体が強く、90分を通して厳しく当たってくる。ただ、最終ラインはスピード対応に難があり、日本代表としては青山のロングスルーパスに柿谷が飛び出すような形がハマるかもしれない。特にCBのメルキスは裏への対応に不安がある。本来はポーランドの強豪レギア・ワルシャワで活躍するポルトガル生まれのドサ・ジュニオールというキプロスでは異色のアスリート能力を持ったタレントがスタメン候補にいるのだが、残念ながら今回の遠征には参加していない。
それでも守備はなかなか強固だ。ただ、ギリシャと比較して落ちるのはカウンターのバリエーションの乏しさである。基本的にはサイドアタッカーの突破とロングボールを起点としたFWの突破かボランチの飛び出しからのミドルシュートくらい。長身FWサマラスのポストや素早いパスワークから相手ディフェンスの嫌なところを突いて来るギリシャと比べるとなると、少々物足りない。
ただ、フィジカル強化を中心とした鹿児島合宿で疲れがピークにある日本代表にとって、シンプルだが迫力があるキプロスの攻撃を完璧に抑えるのは簡単ではないと観る。欧州予選で2得点しているアロネフティスが来日せず、2011-12欧州CL8強のアポエルFCのメンバーまで急遽来日しなくなってしまったのは残念と言うほかないが、スピードあふれるFWエフレムのような俊英もおり、油断は禁物。また高さを生かしたセットプレーの得点力については、日本代表にとって警戒するべきポイントであると同時に、本大会に向けて貴重な経験になるだろう。
キプロス代表の選手たちも日本の欧州組と同様、シーズンが終わったばかりで疲れが残っている様子なのだが、23日には日本に到着して24日から3日間の練習を行って27日の試合を迎える。欧州勢は来日翌日に試合があってヘロヘロの状態というチームもあるが、彼らはちょっと違った姿を見せてくれそうだ。
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