日本代表候補合宿初日の練習に臨んだ川又 [写真]=松岡健三郎
文=元川悦子
5月12日の2014年ブラジル・ワールドカップ日本代表メンバー23人発表まで残り1カ月。「最後の切り札」を発掘すべく、4月7日から千葉県内で3日間のザックジャパン合宿がスタートした。
当初メンバー入りしていた小林悠(川崎フロンターレ)が負傷辞退し、石原直樹(サンフレッチェ広島)が追加招集される形で始まった合宿。しかし期待の新星・南野拓実(セレッソ大阪)が右足首負傷でいきなり別メニューを強いられた。本人は「明日からは全然大丈夫」と軽傷であることを強調したが、貴重な初日の練習を棒に振ったことを非常に悔しそうにしていた。
そんな傍らで、ラスト2~3枠と言われる代表メンバー入りを狙う豊田陽平(サガン鳥栖)や川又堅碁(アルビレックス新潟)らFW陣は強い意気込みをのぞかせつつプレーした。アルベルト・ザッケローニ監督はこの日、四角形のパス回し、ハーフコートでのビルドアップからのシュートなどを1時間あまりの練習を実施したが、豊田を呼んでポジショ二ングを指示したり、川又にクサビの入り方をアドバイスしたりと、個別指導を要所要所で取り入れていた。
「ザック監督は熱い人。僕もそういうのは好きなんで、指導してもらって、うまくなりたいと思いました。実際にプレーしてみて、自分が今まで気づいていなかったことも感じたし、それを意識できるようになるとまた違った自分が出てくるのかなと思った。今までクサビに入る時はタイミングと味方との関係だけを考えていたけど、ボールを受ける時にゴールとボールの両方が見える位置を取ったり、出てこなかったら一回奥に行って動き直すとか、そういう意識も強く持てるようになりました」と、川又は初日から多くのことを吸収し、大いに手ごたえをつかんだようだ。
全盛期の久保竜彦(現廿日市FC)を彷彿させる身体能力の高さとスケールの大きなFWの日本代表待望論は以前から出ていたが、本人も虎視眈々と代表定着を狙っている。この男を軸に、攻撃陣の切り札争いはさらに熾烈を極めそうだ。