2014.02.17

不調にあえぐ名門ミラン…問題なのは本田圭佑の能力ではなく、セードルフの指導力

本田圭佑
ボローニャ戦に先発した本田 [写真]=Getty Images

文/元川悦子

 1月12日の13-14セリエA第19節サッスオーロ戦で待望のイタリアデビューを果たし、続く15日のコッパ・イタリア5回戦スペツィア戦で移籍後初ゴールを挙げるなど、本田圭佑のACミランでの第一歩はまずまずだった。

 だが、最初の1週間で指揮官がアッレグリ、タソッティ、セードルフと目まぐるしく変わったことで、その境遇も激変した。アッレグリ体制では4─3─2─1の2シャドーの一角に入り、中央でタメを作りながら相手の背後を狙ったり、ゴールを取りにいく仕事を担うはずだったが、セードルフ体制発足後は4─2─3─1の右MFで使われることが多くなる。

 1対1の勝負が攻撃のベースとなっているイタリアにおいて、スピードある突破ができない本田が外で際立った仕事を見せるのは難しい。指揮官はミランの一時代をともに築いたカカのトップ下起用に強いこだわりを持っており、その中で本田がどう生きるのかは、日本のファンにとっても大きな関心事だった。

 2月14日のセリエA第24節ボローニャ戦。1週間前のナポリ戦を体調不良で欠場した本田は、この日ロビーニョの負傷もあって先発に復帰。少しでもボールを触ってリズムを作ろうという姿勢が見られた。だが、せっかくデ・シリオとのタテ関係で右サイドを崩しても、最後のクロスが甘く、決定機に結びつかない。前半29分に放った強引なシュートも、5バック気味に守りを固めるボローニャ守備陣にブロックされ、後半8分の左クロスに頭で合わせたシュートも枠に飛ばない。

 結局、見せ場がほとんどないまま後半21分に交代。彼がピッチを引き上げる時にはサンシーロ全体から激しいブーイングが浴びせられた。さらには、イタリアメディアは本田がベンチに座らずロッカーに引き上げたことまで批判の対象とした。試合後、待ち構えた報道陣の前を通った本田は、「お疲れ様です」の一言だけで去っていった。

 当面はミランが欧州チャンピオンズリーグとの掛け持ちを強いられるだけに、本田の出場機会がすぐになくなることはないだろう。しかし同じ2列目には新戦力のターラブトや負傷中のロビーニョ、エル・シャーラウィもいて、依然としてポジション争いは厳しい。
 
 重苦しいムードに包まれる本田だが、現地メディアの中には彼を好意的に受け止める者もいる。VVVフェンロ時代から本田を追っているGoal.comイタリア語版編集長のフレデリコ・カソッティ氏はこんな話をしていた。

「イタリア人は何事にも感情的で、選手が目に見えた結果を出すと『王様』と祭り上げ、逆の場合は容赦ない酷評を繰り返す。冷静に考えてみて、今のミランで問題なのは本田の能力ではなく、セードルフの指導力の方。ベルルスコーニの肝入りで監督経験もない彼が就任して、チームがいい方向に進むはずがない。本田のポジションはどう考えても右サイドではなく、トップ下。そこで使われない限り、現状を打開するのは難しいだろう」

 ボローニャ戦はバロテッリのスーパーミドル弾で勝ち切ったが、ミランの順位は欧州リーグ圏内の6位にはまだまだ遠い。来季は国内での戦いに専念する可能性も大いにある。この状況は本田にとってはマイナスのように見えるが、カソッティ氏はそうではないと強調する。
 
「3シーズン前のユベントスが欧州リーグに出場できなかったのを逆手に取り、大胆な若返りとチームの改革を行って再び常勝軍団に返り咲いたように、ミランも不要なベテランを切ってフレッシュな戦力でチームを再構築するいいチャンスになるでしょう。今夏にはカカとロビーニョがブラジルに変えるだろうし、バロテッリも他のビッグクラブ移籍が有力視されている。ミラン側は選手としての能力、マーケティングの側面の両方から本田を重視しているから、彼を積極的に使いたいはず。契約が2年残っているモントリーヴォと本田が中心となって、新たなチームが構築されるはず。つまり、本田にとって一番の勝負は来季なんです」

 一つひとつの試合の勝ち負けで激しく一喜一憂するイタリア人が、本田の動向を長期的目線で見てくれるとは考えにくいが、このチームの問題はもっと根本にある。本田本人も、観る側も、 今は我慢の時だ。

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