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なでしこジャパン、W杯イヤー初戦は黒星 継続の3バックに手応えも得点遠く

2023.02.17

 5カ月後に迫ったFIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023の前哨戦と位置付けられる、SheBelieves Cupがフロリダ州オーランドで開幕し、16日にはなでしこジャパン(日本女子代表)とブラジル女子代表が対戦した。

 2日前からアメリカで練習をしてきた日本は、ボールを奪いに来るブラジル選手を「裏返す」ように、シンプルなボール回しからゴールに迫ることを狙った。しかしCFの位置で先発した植木理子にボールが収まる回数は少なく、前半は前がかりに攻め込める回数が少ない。

 日本は今回も3バックを採用し、「(ボールを)つなげる時間帯もあって、その時は短いパスで相手を剥がすことができていた」と手応えを示したのは、3バックの右に入った三宅史織だけでなく、右ウイングに入った清水梨紗も「個人的には3バックの試合で1番やりやすかった試合ではあった」と評した。

 しかし、そんな時間帯もブラジルゴールは遠く、得点のにおいがしないまま後半に入ることとなった。

 会場の雰囲気が一変したのは72分、控えスタートだったブラジルのエースであるマルタがピッチ脇立った時だった。オーランド・プライドでプレーする地元の「女王」の登場にスタンドが大いに沸き、マルタがピッチに飛び出すと、日中の暑さも手伝って止まりかけていたブラジル選手の足が再び動き出す。

 そして、その3分後、マルタのアシストからデビーニャがゴール。最も警戒しなければいけない相手に仕事をさせてしまった。「自分たちがここで(ボールを)取れたと思っても、次のパスがずれてしまい、ショートカウンターの形になってしまった」と清水が悔やんだ失点で、日本は追う立場となる。

 日本は途中出場の小林里歌子が80分にゴール正面からシュートを放ったが上に外れ、その直後の浜野まいか選手のシュートはクロスバーに直撃。日本はブラジルを上回るシュートを放ったものの、ゴールには結びつけられず0-1で黒星発進となった。

 試合後の会見で池田太監督は「最後の決定的なゴールを決めて勝ち点を取れなかったことは残念だし、課題」と、悔しさを滲ませながら振り返った。次は世界ランキング1位のアメリカ女子代表戦、その次は東京オリンピック金メダルのカナダ女子代表戦と続くが、そこから勝ち星を挙げるのは至難の技と言える。

 ただ、「(アメリカ戦までの)中2日でのリバウンドメンタリティやリカバーが必要。負けていい試合はないが、女子W杯のために(自分たちが)望んで強豪チームに挑むマッチメイクをした」と池田監督が強調したように、覚悟を持って渡米してきた。

 試合後のミックスゾーンに登場した選手たちは一様に残念そうな表情だったが、次へと切り替えようとしている選手が多いことが救いだった。

取材・文=馬見新拓郎

【スコア】
なでしこジャパン 0-1 ブラジル女子代表

【得点者】
72分 0-1 デビーニャ(ブラジル)

【出場メンバー】
なでしこジャパン(3-4-2-1)
田中桃子;南萌華、熊谷紗希(C)、三宅史織;清水梨紗、長野風花、長谷川唯(66分 林穂之香)、杉田妃和(51分 遠藤純);宮澤ひなた(66分 小林里歌子)、藤野あおば;植木理子(56分 浜野まいか)

By 馬見新拓郎

10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

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