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いま最高におもしろい、浦和レッズレディース…6年ぶりリーグ制覇の瞬間を、その目で見よう

プレナスなでしこリーグ優勝が近付いている、浦和レッドダイヤモンズレディース [写真]=浦和レッズ

断トツの視聴回数が示す試合のおもしろさ

レッズレディースは、試合内容でも観る者を魅了している [写真]=浦和レッズ


 浦和レッドダイヤモンズレディースがプレナスなでしこリーグ優勝に王手をかけている。

 今季のレッズレディースの魅力は強さだけではなく、その試合内容にある。

 ゴールシーンの次に醍醐味と言えるのは、パスを次々とつなぎ見事なコンビネーションで相手の包囲を破っていくシーンだろう。そうやって敵陣に攻め入り多くのチャンスを作るレッズレディースのサッカーは、見る者を十分に楽しませてくれる。

 また高く保った守備ラインの裏にロングボールを出されてピンチになりかけることもあるが、広い仕事場を守るGK池田咲紀子のタイミングの良い飛び出しをはじめとした、能力の高いDF陣の踏ん張りで失点を防ぐところも、目が離せない場面だ。

 今季はなでしこリーグの試合をYouTubeのなでしこリーグ公式チャンネルで見ることができ、レッズレディースの試合は多いときで6万回以上の視聴回数がある。これはほかの試合と比べて断トツの多さとなっている。チームの人気が高いというだけではなく、試合がおもしろいからこその数字であり、彼女たちの試合がコロナ禍で不自由な生活を強いられているファン・サポーターやホームタウンの人々に希望と喜びをもたらしてきたことの証でもあるだろう。

コロナ禍の今、彼女たちは人々の希望となっている [写真]=浦和レッズ

 そのレッズレディースのサッカーが2020シーズンのリーグ優勝という形で終わろうとしている。

 ここまで15試合を戦って12勝1分け2敗。2位のINAC神戸レオネッサに勝点8差、3位の日テレ・東京ヴェルディベレーザに勝点9差をつけている。

 残りは3試合。11月8日(日)の愛媛FCレディース戦でレッズレディースが勝てば、2009年、2014年に続いて6年ぶり3度目のなでしこリーグ制覇が決まる。

 来年から日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が始まることにより、日本の女子トップリーグとしてのなでしこリーグは今季で終わる。その最後の覇者に浦和レッズレディースが名を刻もうという試合が目前に迫っているのだ。見逃すのはもったいない。

内容と結果が大きく変貌した2019年

レッズレディースのサッカーを激変させた森栄次監督 [写真]=浦和レッズ


 レッズレディースのサッカーがそのように変わったのは、現在の森栄次監督が就任した2019シーズンからだ。

 東京ヴェルディやベレーザで指導者として活躍してきた森監督は、まず「止める・蹴る」の基礎からチームを鍛え直した。

 チームのスタッフとなって9年目の関口亜矢氏は「2019シーズン開幕前のキャンプでは基礎練習を徹底してやったのですが、選手たちが意外と“下手”なのに驚きました(笑)」と語る。なでしこリーグで何年もプレーしてきた選手でも、トラップが大きくなり過ぎたり、狙ったコースにボールが飛ばなかったり、ということがあったと言う。

 2016年から2018年までの3シーズン、レッズレディースはリーグ戦および皇后杯全日本女子サッカー選手権で日テレ・ベレーザとINAC神戸に一度も勝っていない。戦術云々の前に、キックの精度や一対一の競り合いなど選手個々の力量において、その2チームとは差が感じられたのも事実だった。それも「2強」の壁を破れず日本の3番手に甘んじていた理由の一つだったのだろう。

 2019年のリーグ戦が開幕し、ホームの浦和駒場スタジアムで新しいレッズレディースを見たファン・サポーターは、「こんなに変わるのか!」と一様に驚きを隠せなかった。

 流れるようにパスをつなぎ、相手ゴールに迫っていく姿は、前年までのチームとは明らかにスタイルが違っていた。チームが大きく変貌した要因は、森監督の指導によるものだと容易に想像がつく。

 就任当初の指導について、森監督は「選手たちが何を求めていたかと言えば、ポゼッションというか、ボールを保持したいということのようだったので、その形を取り入れよう、トライしていこうと彼女たちに呼び掛けた」と語っている。「止める・蹴る」を当たり前にできるようになることは、その大前提だった。

森監督は「止める・蹴る」という基礎を鍛え直した [写真]=浦和レッズ

 スペースへ出したパスに走り込んだ選手が追いつき、さらに3人目、4人目の選手が絡んで相手を崩すというプレーは、本人たちにとっても心地良く、多くの選手が理想とするものだろう。

 レッズレディースのキャプテンも務めていた元なでしこジャパンで、関口氏と同じくスタッフの柳田美幸氏は「森監督は、ボールを持っている選手より周りの選手の立ち位置が大事、とよく言っています。パスの正確さとともに、周りの選手が動いてパスコースを作っているのでボールがつながっていきますね」と言う。

 ボールを持たない選手がそれだけ動くということは、必然的に一人あたりの運動量も多くなる。おもしろいサッカーでファン・サポーターを魅了したが、後半に運動量が落ちることが多く、2019シーズンはリーグ戦前半9試合で10失点。ライバルである日テレとINAC神戸にはまたも敗れ、6勝3敗で折り返した。

 しかし森監督は「どの試合も前半は良かったという評価をいただいた。後半にやられて勝てなかったが、いい時間が多くあったので、選手たちは手ごたえをつかんでいたと思う。あとは体力的なところと、ボールを保持する時間をいかに長くするか。シーズン後半が勝負」と、その言葉からは自信が感じられた。

 その分析どおり、レッズレディースは2019シーズン後半の第10節から5連勝を果たす。そのなかには4年ぶりに日テレから挙げた勝利も含まれていた。試合の後半になっても力が大きく落ちることはなく、リーグ終盤には優勝の可能性も大きくなった。最後は、INAC神戸に敗れて首位から後退し2位で終わったが、シーズン中に成長を見せたことは明らかで、リーグ戦後半の9試合では6失点しかしていない。

 続いて行われた第41回皇后杯でも順調に勝ち進み、準決勝ではINAC神戸に3-2で競り勝った。5年ぶりの出場となった決勝では日テレとほぼ互角の戦いをしながら0-1で敗れてタイトル奪取はならなかったが、リーグ戦、皇后杯ともに2位の成績を残したことは、前年から確実にステップアップしていることを、試合内容だけでなく結果でも証明した。

3度目の今年こそホームで勝って決める

今季は、ホームのファン・サポーターの前で勝利を手にして優勝を決めるチャンスがある [写真]=浦和レッズ


 そして迎えた今季。

 森監督は「怖がらずにボールを受けに顔を出し、パスも回せるようになってきた」と1年間で選手たちに自信がついてきたことを確認し、これをさらに向上させるとともに「中盤でのプレスの掛け方とか、ボールを失ったときにもう一度奪い返すことを重視したい」と守備面の強化を2020シーズンのテーマに挙げた。

 選手の補強では、ドイツで活躍していたMF猶本光が1年半ぶりに復帰。またレッズレディースの育成出身でジェフユナイテッド市原・千葉レディースでキャプテンも務めていた左サイドバックの上野紗稀が加入し、ポジション争いも激しくなった。

猶本は、ドイツでの経験をチームに還元している [写真]=浦和レッズ

 新型コロナウィルスの影響で遅れたリーグ戦の開幕だったが、試合では昨季以上のプレーを披露した。特に「壁」だった日テレやINAC神戸との試合で「自分たちは勝てる」という自信を感じさせ、リーグ前半では両チームを撃破した。

 今季の特長として新たに挙げられるのは、接戦をものにする力だ。

 現在首位を独走しているが、楽に勝ってきた試合は少なく、12勝のうち1点差の勝利が9試合。直近の伊賀FCくノ一三重戦(11月1日)も、先制されそうなピンチをしのぎ、後半14分に決勝点を挙げて1-0で勝利している。また2点先行を許しながら、その後追いつき3-2と逆転勝ちしたアウェイのアルビレックス新潟レディース戦(7月25日)のような試合もあった。これも、試合の展開がどうなろうと「最後は自分たちが勝つ」という自信が背景にあるからだろう。

内容と結果がともなっていることで、チームはたしかな自信を手にしている [写真]=浦和レッズ

 優勝まであと1勝と迫った現在でも、チームに緩みはない。

 前出の柳田氏は「森監督は日テレの強さを知っているだけに『最後までどうなるか分からない』と言っていますし、それは選手たちも同じ。全く浮かれた様子はありません。常に次の1試合に集中しています。8日の愛媛戦に関しても同じです」と語る。

 また関口氏は「2009年はアウェイで勝ったあと、他会場の結果が入り優勝を知りました。2014年のエキサイティングシリーズ(上位リーグ)では、大差で負けなければいいという状況で、最終節のホームで0-1で負けて優勝しました。今季こそ、ホームのファン・サポーターが見ている前で勝って優勝を決めてほしい」と期待を高めている。

 レッズレディースの試合で浦和駒場スタジアムのバックスタンドが開放されるのは6年ぶり。

 スタンドでもソーシャルディスタンスを取る必要がある現在、通常開けられているメインスタンドだけでは多くの人に入場してもらうことができない。

 いま日本で一番おもしろいと言っていいレッズレディースの試合をできるだけたくさんの人に見てもらうと同時に、6年ぶり3度目となる優勝の喜びを、今季最多のファン・サポーターとともに分かち合いたい。

 さらに言えば、来年からは日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が始まる。日本の女子トップリーグとしてのなでしこリーグ最後の覇者に浦和レッズレディースの名を刻み、プロチームとしてさらにはばたいていくスタートの場にもしてほしい。

 プレナスなでしこリーグ1部第16節、浦和レッズレディース対愛媛FCレディースは、11月8日(日)14時にキックオフを迎える。

文=清尾 淳

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