2018.07.05

【インタビュー】猶本光『浦和からドイツへ、成長を加速させるための選択』

猶本光
浦和からフライブルクへと移籍する猶本 [写真]=野口岳彦
10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

 浦和レッズレディースで2012年からプレーするなでしこジャパンMF猶本光が7月8日の日テレ・ベレーザ戦(浦和駒場スタジアム)を最後に、日本を離れ、ドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクへと移籍する決断を下した。

 2010年に開催されたFIFA U-17女子ワールドカップで準優勝を果たしたメンバーとして、将来を嘱望されていたが、なでしこジャパンのメンバーに定着するまでには時間を要した。

 ようやく定期的に招集されるようになり、少しずつ出場時間も伸ばしている中で決断したドイツ移籍。その経緯や心境、離れることになる浦和への思いを聞いた。

インタビュー=馬見新拓郎
写真=野口岳彦、Getty Images

猶本光

■CLはW杯や五輪くらい価値や夢がある

――女子ブンデスリーガ1部のSCフライブルクに移籍することが発表されました。まず、移籍を決めた経緯を教えてください。

猶本光(以下、猶本) ずっと海外でプレーできる選手になりたいと思ってやってきて、その準備ができたと感じ、「チャレンジしたい」と思ったので、今回の移籍を決めました。

 SCフライブルクを選択したのは、まず欧州に女子チャンピオンズリーグがあるということ。その中でも女子ブンデスリーガが、リーグのレベルが安定しているから良いと、先輩などいろいろな人に聞いた結果、決めました。

 あとは大学の先輩である安藤梢さん(浦和)と熊谷紗希さん(オリンピック・リヨン/フランス)が、私が大学に入った時点で、すでにドイツでプレーされていたので、自然とドイツに行くという考えになっていました。

※SCフライブルクは今シーズン、リーグ3位のため、来シーズンのCL出場権は無し。

――CLはやはり魅力的だったと。

猶本 ぜひ取りたいタイトルです。自分の中ではワールドカップやオリンピックくらい価値や夢がある大会だと思っています。熊谷選手は優勝経験もありますし、その舞台で対戦できるように、まずは頑張りたいです。

熊谷紗希

リヨンで2017-18シーズンのCLを制した熊谷 [写真]=Getty Images

――ドイツは代表も含め、常に世界のトップを走っていると言えます。先輩からはどんなサッカーと聞いていますか?

猶本 ドイツをはじめ、海外のサッカーは、展開が速いと見ているだけでもわかりますし、パワーとスピードがベースにあると聞いています。

――移籍発表時、「2012年のU-20女子ワールドカップでドイツと対戦した時、世界とのレベルの差に衝撃を受けた」とコメントされました。それもドイツに行くきっかけに?

猶本 すごく衝撃を受けましたし、そこから考えが変わり、トレーニングも変えました。それまでは、技術や判断の速さで勝負できると思っていましたが、パスも出させてもらえないし、味方もマークされているのでパスだけでは手詰まりになってしまう。だから自分がマークを外さないといけないけれど、自分が外そうとしても追いつかれるというのがありました。何もできないという感じでした。そこで自分のプレーも変えなければと感じたので、そういう部分を意識してトレーニングしてきて、今チャレンジしたいと思いました。

――サッカーを取り巻く環境も異なると思います。

猶本 サッカー自体の考え方も違ってくると思います。梢さんが浦和に復帰した時、私が(いつもと違うタイミングで)前に走ったんですが、そこに梢さんがどうにかしてパスを出してくれたことがあったんです。相手ディフェンスは出ないと思っていたから、止まっていたので、それがチャンスになったわけです。「ドイツなら絶対に(パスを)出せ!という感じで走っていく。そういうのは、海外で身につけてきた」と梢さんが言っていました。

 そのワンプレーについてはその時に教えてもらいましたけど、実際に海外へ行かないと分からないことばかりだなと思いました。

――ちなみにドイツ語の勉強は?

猶本 ふふふ(笑)。その勉強は行ってからですね。

■梢さんにはいろいろなことを教えてもらった

猶本光

――6年半のシーズンを過ごした浦和で、最も思い出深いシーズンはいつでしょう?

猶本 プレナスなでしこリーグ1部で優勝した2014年シーズンです。あのシーズンはまず、みんなが走れました。それをベースに前からのプレスが連動していたことと、ボールを奪ってからの攻撃が速かったです。得点も取れて、勝つことでチームがどんどんまとまっていったし、試合に出場している選手はもちろん、試合に出ていない選手たちも、意欲というか自分を出そうとしているところがすごかったですね。

 勝ち続けていたことで、「これでいいんだ」と自分たちを信じることができました。

――今季はリーグでは優勝を狙える4位につけるものの、プレナスなでしこリーグカップ1部では予選リーグで敗退が決まるなど難しい戦いを強いられています。

猶本 上位チームに大きな点差で負けてしまうことがあり、そこはとても残念でした。でも、そこから学んで自分たちで解決しようとしています。

安藤梢

現在は浦和でプレーする安藤 [写真]=Getty Images

――安藤選手は2017年6月に浦和へ復帰した際、「チーム全体に激しさが足りない」と言っていました。

猶本 まず私たちが言われたのは、特に守備の時の球際の激しさが足りないということでした。そこからチーム全体で意識が変わりました。私自身には、守備のこともそうですが、試合に入る前のメンタルの持っていき方や、パスの出し手として細かく「もっとこうした方がいいんじゃないか」とか、ドリブルの運び方……、いろいろなことを教えてもらいました。

――仮に浦和でプレーを続けたとしても成長はできると思います。

猶本 はい、そう思います。

――それでも移籍に踏み切ったのは、成長の速度を上げないといけないと感じたからでしょうか?

猶本 感じましたね。なでしこリーグでもやれることはあると思います。でも最終的には、世界で戦える選手になりたいというのが目標としてあります。

 例えばドイツのサッカーのことを聞いていても、想像しかできないので、実際に肌で感じて、間合い、パワー、スピード感というものを、自分の感覚として持ちたい。それが日本代表で国際大会に臨んだ時に生かせると思ったので、このタイミングで決断をしました。

■不安もあるけど、絶対にチャレンジしたい

――移籍を決めた今、改めてどんな心境でしょうか?

猶本 いろいろな気持ちがあります。不安ももちろんあります。でも、例えばなでしこリーグでずっとプレーを続け、海外のサッカーを聞くだけで肌に感じず、なでしこジャパンとして国際大会を戦うことだけで、選手生活を終えていいのかという疑問が自分の中でありました。だから、いろいろなことが待ち構えているでしょうけど、絶対にチャレンジしたいんです。

――7月8日(日)のリーグカップ第9節、日テレ・ベレーザ戦(会場:浦和駒場スタジアム)が移籍前最後の試合となります。今季無得点なので、最終戦でゴールを期待するファン・サポーターもいると思います。

猶本 ゴールに関しては、もちろんチャンスがあったら狙いたいですが、ポジションもあるので、まずはチームがうまく回るようにプレーできればいいですね。どちらかと言うと、しっかり無失点で試合を終えたいです。

 でも、ホームなので負けられないのは変わりません。泥臭くてもチームで得点を取りにいく姿勢を見せたいです。

――試合後は、どんな感情になりそうですか?

猶本 どうですかね?普通の1試合になりそうな気がする(笑)。実感が沸かなさそうな感じですけど、最後に勝てるように頑張ります。

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