名古屋グランパスは2026年1月、新たなホームタウン活動指針『GRAMPUS DREAM』を打ち出した。クラブ発足以降33年間にわたり積み重ねてきた地域貢献の歩みを土台に、これまで以上に地域や社会と向き合い、「日常がスポーツでもっと幸せにあふれる名古屋・愛知」の実現を目指す取り組みだ。
掲げるテーマは「地球」、「街」、「人々」の3つ。それぞれの視点から、持続可能な社会と地域の未来を描いていく。
「for the EARTH(地球のために)」では、気候変動という避けては通れない課題に向き合う。近年は酷暑の中での試合観戦や異常気象による試合延期など、サッカーを取り巻く環境にも影響が及ぶようになった。愛知県では2024年7月、8月に35度以上の気温を記録した日数が39日を数え、月の半数以上で日中にサッカーがプレーできない状況(※環境省HPより、WBGTにてクラブで算出)となるなど、その影響はより身近な問題となっている。こうした現状を踏まえ、名古屋グランパスは名古屋・愛知から持続可能な未来づくりに取り組み、その輪を日本、さらには世界へと広げていく構えだ。
「for the TOWN(この街のために)」は、地域と共に魅力あるまちづくりを推進するためのテーマだ。プロスポーツは安全で安心して暮らせるホームタウンの存在があってこそ成り立つもの。地域の価値を再発見する活動や住環境の向上に寄与しながら、スポーツ振興にとどまらず、商店街と連携したサポートタウン活動や祭り・イベントへの参画、さらには公共交通や交通安全、防犯といった生活に密着した分野にまで活動を広げ、街の活性化に貢献していく。
そして「for the FAMILY(人々のために)」では、多様な人々が支え合う共生社会の実現を掲げる。これまでも子どもや外国にルーツを持つ人々、障がいのある方々と連携し、互いを尊重する関係性を築いてきたが、今後さらに多様化が進む社会を見据え、「誰もが優しいパスで支え合い、誰もがゴールを決められる社会」を目標に、人と人とのつながりを軸とした活動を展開していく。
そういった理念はすでに具体的な形となって動き出している。「グランパスカーボンニュートラルアクション with TOYOTA」では、約30人のサポーターがトヨタ未来スクールのカリキュラムを活用し、カードゲームを通じてカーボンニュートラルを学習。「グランパスサステナEXPO 〜サッカーがつなぐ未来〜」では、燃料電池車を活用したパビリオンの設置に加え、絵本リユースやアップサイクル商品の展示販売を行った。さらに、クラブの選手OBでJリーグ気候アクションアンバサダーであり、グランパスサステナナビゲーターを務める阿部翔平氏が小学校を訪れ、5・6年生約100人を対象に環境教育授業を実施するなど、楽しみながらサステナブルな意識を育む機会も創出されている。
地域連携の取り組みも広がっている。「for the TOWN」の一環として、400年以上の歴史を持つ有松絞りとコラボレーションしたトートバッグの制作が進行中だ。国際ファッション専門職大学の学生がデザインを手がけ、有松小学校の児童もプロジェクトに参加。チーム主将の稲垣祥も現地を訪れ、デザイン検討に加わった。有松絞りまつり実行委員会は「伝統の継承と新たな価値創出の両立を図り、地域とクラブ双方の発展につなげたい」と期待を寄せる。また、愛知県商店街振興組合連合会との連携では、選手たちがサポートタウンの商店街を訪問し、街を彩るクラブフラッグを掲出。さらにはオリジナル盆踊り「グランパス音頭」をとおして、夏の風物詩である盆踊りの文化を地域へより広げることにも一役買っている。
「for the FAMILY」の取り組みでは、名古屋市教育委員会と連携したキャリア教育を実施し、選手が講師として参加。さらに、2022シーズンから続く「在留ブラジルキッズお仕事体験」では、試合会場でのポスター掲出や来場者案内などを通じて、サッカーを軸に多様な人々との交流の場を創出し、日本語学習や将来に向けたきっかけづくりになっている。「これらの取り組みが日々の暮らしに笑顔をもたらし、この街をもっと好きになるきっかけとなる。そして、その積み重ねが名古屋・愛知を次の世代へ誇りを持ってつないでいく力になると信じている」とクラブの清水克洋社長は語る。
最後に、Jリーグ気候アクションアンバサダーでもある阿部翔平さんが名古屋グランパスの気候変動の取り組みについて思いを語ってくれた。
ー気候変動の取り組みについて
最初にJリーグ気候アクションアンバサダーのお話をいただいたときは、自分にこの大役が務まるだろうかという不安もありました。ただ、活動を通じて、環境への取り組みは決して大きなことばかりではなく、日常の中でできる身近な行動から始められるものだと感じました。サッカーを通じて、子どもたちや地域の皆さんと一緒に、環境について考えるきっかけをつくっていきたいと思っています。
ー環境授業を実施した際の感想
子どもたちが環境について真剣に考え、自分たちにできることを前向きに受け止めてくれている姿が印象的でした。環境への取り組みは、難しく考えすぎるものではなく、日常の小さな行動から意識できるものだとあらためて感じました。
ー今後に向けて
一つひとつは小さな行動でも、みんなで取り組めば大きな力になると思っています。サッカーを楽しむ環境を未来に残していくためにも、これからもグランパスの活動を通じて子どもたちや地域の皆さんと一緒に環境について考え、行動するきっかけを広げていきたいです。
地域と共に歩み、社会課題に向き合いながら、グランパスファミリーと広げていく『GRAMPUS DREAM』。その挑戦は、サッカークラブの枠を超え、街の未来を形づくる取り組みへと進化しようとしている。
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By サッカーキング編集部
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