就任3年目、千葉を17年ぶりに導いた小林慶行監督[写真]=金田慎平
2025明治安田J1リーグ昇格プレーオフ決勝が13日に行われ、ジェフユナイテッド千葉は徳島ヴォルティスを相手に1ー0で勝利。悲願でもあった17年ぶりのJ1昇格を果たした。
2025シーズンの明治安田J2リーグを3位で終えた徳島。勝ち点1に泣いて自動昇格を逃した中、プレーオフ準決勝ではRB大宮アルディージャ相手に3失点を喫するまさかの展開。敗色濃厚かと思われたところから衝撃の4ゴールを奪い逆転勝利。その勢いとジェフを愛し、信じてやまないファン・サポーターの大声援を受け徳島も撃破した。
小林慶行監督は試合について「あまり覚えていないです(笑)」とコメント。「後半、圧力を受けたところでどうするかがポイントだったと思います」と語り、「少しだけ今日はバランスを取った部分もありました」と、3年間積み上げたものが出せた結果だとした。
「キャンプから積み上げてきた部分をしっかり出そうと共有して、一昨年、去年というシーズンはもう自分たちの形というか、相手がどうこうじゃない、自分たちはどういうサッカーをやるんだ、自分たちはこういうチームなんだというのを決定的に出していこうと。あえてバランスを取らずに自分たちのの特徴で、自分たちのストロングポイントで相手をねじ伏せられるチームにならない限りは、このリーグで勝てない。もしくはその上に立ってすぐに破壊されてしまうようなチームになってしまうというところを選手たちにしっかりと共有しました。だから、あっさりやられるゲームももちろん去年はあったんですけど、勝負の3年目として少しバランスを取って1つ大人になっていこうというところをトライしました」
小林監督が積み上げた3年間の賜物。準決勝の大宮戦も3点差で慌てずに逆転勝利、この決勝でも徳島相手に押し込まれる時間も凌いで1ー0で勝利をおさめた。「自分の中では3年間のストーリーというのはしっかりうちの中で積み上げてきて、もうそれがブツ切りになることなく繋がって。それをまさに表現できてると思います。そのの中で、経験値を積むことによって、少しずつ、少しずついろんなことに対応できている」と振り返り、「もちろん選手の成長もあります。ただ大きな枠組みとしては、しっかりと自分たちの戦術的なところがみんなの頭に入ってるというのが大前提。あまり難しくしすぎず、選手1人1人ストロングポイントも違いますし、あまり型にはめすぎずに」と、チームを導いた方法を語った。
昇格が決定した瞬間のことはあまり覚えていないという小林監督。ただ、「終わった後はすごく落ち着いていましたが、(田口)泰士とか(鈴木)大輔からありがとうと言われると、来ましたね」と感極まった部分はあったという。17年ぶりの昇格については「めちゃくちゃ嬉しいです」と語りながらも、Jリーグ創設時の“オリジナル10”としての重責やプレッシャーもあったようだ。「名だたる監督さんしか呼ばれないクラブだと思います。その中で、3年前にクラブとして、僕なんかジェフでプレーしたこともなく、古巣でもなく、ただのいちコーチに監督を任せるということはどれだけのチャレンジかということは理解しています。少しうまくいかなければ、厳しい声も増えるのが当然。はっきり言えばよそ者です。それだけ伝統があって、歴史があって、それだけ偉大なチームということは理解していました」と語り、「自分の中ではプレッシャーもありましたし、責任もありますし、自分の中では成長過程を踏んでいるつもりですけど、求められるのは結果しかないクラブなので、今シーズン上がれなければ…ということは自分の中ではっきりしていました」と、勝負の3年目であったとした。
Jリーグのクラブは、“継続”することがなかなかできないクラブが多い。方向転換を早急にするクラブもあれば、なかなか舵を切れないというクラブもある。予算なども含め、その理由は様々だ。ただ、伝統あるクラブで、3年という時間をもらった小林監督は悲願でもあった昇格という結果を残した。「色々な要因があると思いますが、流出する人間を最小限にとどめること。去年はエース、MVPが流出している。その前は重要視している10番がJ1に移籍しました。強化部がしっかりと仕事をしてくれたと思っています。それが一番だと思います」とフロントの努力を挙げ、「積み重ねるって、そのリーグにおいての予算規模が大きく影響するので、そういった選手を抱えられるかどうか。J2ではトップではないですが、町田さん、清水さん、長崎さんに比べれば全然及ばない。ただ、トップの集団の下には入れるぐらい」と、クラブの協力が大きくあったとし「幹の部分は絶対に崩さない」と、信じた形で3年間の積み上げをやり遂げられたことが大きいとした。
取材・文:菅野剛史(サッカーキング編集部)
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By サッカーキング編集部
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