町田MFナ・サンホ [写真]=J.LEAGUE
ナ・サンホは“町田のジョーカー”として、今季ここまで2得点をマーク。「ゴール数にはこだわっていますし、昨季を超えられるように」と燃えている。
韓国代表歴を誇る快足アタッカーは「スタメンでも途中出場でも最善を尽くすという考えに変わりはありません。与えられた役割にフルコミットするだけ」と話す。大混戦のJ1で突き抜けるために必要なこと、そして2023年6月以降遠ざかっている代表復帰に向けた思いを聞いた。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
――昨季はJ1昇格初年度で優勝争いを演じました。今季はJ1優勝、そしてJ1で上位に定着していくことが求められていると思います。まずは今季ここまでを振り返っていかがでしょうか?
ナ・サンホ 昨季と比較して勝ち点を稼ぐペースは少し物足りない印象です。個人的に今季このタイミングは、町田にとって一つの“山場”だと思っています。うまくいかない時に何かのせいにすることなく、自分たちに矢印を向けてしっかりとやっていけるかどうか。今、まさに試されていると思っています。選手・スタッフがしっかりと話し合い、取り組んでいけばより良くなると思っていますし、この山場をチームとして乗り超えていける自信はもちろんあります。
――今季はボールを保持しながら、相手を崩すような攻撃もできているのではないでしょうか? ナ・サンホ選手が得点を決めた第4節の名古屋グランパス戦、第5節の横浜FC戦では、そういった側面も見られました。
ナ・サンホ 黒田(剛)監督が志向するスタイルに大きな変化はありませんが、たしかに名古屋戦や横浜FC戦はパスをつないで相手を揺さぶるような攻撃ができていました。町田にはクオリティの高い選手たちが揃っているので、ボールを保持する戦い方も十分可能です。基礎的な部分は徹底しながら、チームとして幅を広げていけると良いと思っています。
――今季は主に“ジョーカー”として途中出場し、ここまで2得点。昨季の3得点を十分に超えていけるペースだと思います。
ナ・サンホ ゴール数にはこだわっていますし、昨季を超えられるようにしないといけません。スタメンでも途中出場でも最善を尽くすという考えに変わりはありません。与えられた役割にフルコミットするだけだと思っています。
――現代サッカーでは交代5人制が定着し、展開が大きく変わることが増えました。その中で途中出場の選手が果たす役割は大きいと思います。
ナ・サンホ どんなシチュエーションであったとしても、試合の流れを引き寄せること、勝つためのパワーを最大限使うこと。簡単なことではないですが、途中出場の選手は攻撃・守備でそういった重要な役割があると思っています。以前まで(3人交代制)はピンポイントな交代でしたが、5人になるとチームがフレッシュになって展開がガラッと変わるようになりました。フレッシュな選手がたくさん入って良くなることもありますし、逆に3人交代なら逃げ切れたというような試合もあるかもしれません。それぞれのメリット、デメリットがあると思っています。
――改めて、JリーグとKリーグの違いについて教えてください。
ナ・サンホ Jリーグの一番の特徴はテクニックです。ボールを失わないようにするチームが多いのかなと思います。Kリーグの一番の特徴はフィジカルです。フィジカルを重視して、全面に押し出すチームが多い印象です。そこが一番の違いだと思っています。ただ、近年はKリーグでもテクニックを重視して、パスをつなぐようなチームも増えてきました。
――Jリーグで活躍した韓国人選手で特に印象深い選手はいますか?
ナ・サンホ たくさんいるのですが……。少しさかのぼればファン・ソンホン、ユン・ソギョンさん、近年だとユン・ソギョンさん、ナム・テヒさん。ただ、誰か一人を挙げるとすればパク・チソンさんになるのかなと思います。
――日本のJリーグでプロになる韓国人選手もたくさんいます。どういった位置付けのリーグなのでしょうか?
ナ・サンホ 先ほど名前を挙げたような選手たちの活躍をテレビを通して見ることもありました。あとは海外に身を置いて、何か違うものを習得したいという気持ちが強いのではないかと思います。今の自分に足りないものとか、ここでは習得できないこととか、チャレンジしたいという選手が多いのだと思います。
――今季のJリーグではアビスパ福岡や京都サンガF.C.がクラブ史上初の首位に立つなど、例年以上に“読めない”印象があります。
ナ・サンホ その通りですね。一試合で順位表が目まぐるしく入れ替わるのは、見ている方にとっては本当に楽しいと思います。自分たちもその状況をマイナスに捉えず、楽しむことが重要かもしれません。一試合も気が抜けない今の状況をポジティブに受け入れ、しっかりと勝つことにフォーカスしていきたいです。そこにフォーカスし続ければ、自ずと上の順位に行けると思います。これからが楽しみですね。
――ゴールデンウィーク期間の連戦もあり、総力戦になると思います。
ナ・サンホ まずはコンディション管理が一番大切です。ケガなくどれだけ良いパフォーマンスを維持できるのか。サッカーは11人だけでは勝てないスポーツですから、チーム全員の力が必要です。ポジション争いがより激しくなれば、チームとしてまた強くなれると思っています。
――最後に代表チームへの思いも聞かせてください。2023年6月以降招集がない状況をどう捉えていますか?
ナ・サンホ 最近は遠ざかっていますが、代表に入りたいという気持ちは持っています。韓国もヨーロッパでプレーする選手が増え、競争が激しくなってきました。自分のストロングポイントをいかに伸ばし、ウィークポイントをなくすことができるのか。コンスタントに試合に出て、チームのために全力を尽くすプレーを続けていれば、代表復帰も近づくと思っています。
――今年の7月にはEAFF E-1サッカー選手権があります。仮定の話となりますが、チームメイトの谷晃生選手、中山雄太選手らとピッチ上で対戦することを町田のファン・サポーターは望んでいると思います。
ナ・サンホ 普段チームメイトの選手たちとそういった舞台で戦うことになれば、それは非常に面白いですね。もちろん真剣勝負の中でのリスペクトは互いに忘れず、それぞれ勝利を目指して戦う姿を見せたいです。
【FC町田ゼルビア ホームゲーム情報】
日程・4月25日(金)19:00キックオフ
対戦・湘南ベルマーレ
場所・町田GIONスタジアム(天空の城 野津田)
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日程・5月7日(水)19:00キックオフ
対戦・京都サンガF.C.
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By 三島大輔
サッカーキング編集部



