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イニエスタ退団後、キャプテン有力の山口蛍 「特別な重み」とともに後半戦巻き返しへ

2023.07.03

セレモニーでイニエスタに記念ユニフォームを渡す山口 [写真]=J.LEAGUE

 2018年夏のヴィッセル神戸加入後、天皇杯制覇、AFCチャンピオンズリーグ2度出場など、クラブの格を引き上げる原動力となったアンドレス・イニエスタ。

「アンドレスと一緒にプレーして成長した選手はたくさんいる。その筆頭が(古橋)亨梧。自分も今みたいに点を取りにいく選手にはなっていなかった」と中盤で共闘した山口蛍も神妙な面持ちで語っていた。

 世界的名手の日本ラストマッチとなった7月1日の北海道コンサドーレ札幌戦。ノエビアスタジアム神戸には2万7630人もの大観衆が集結。開始前には“背番号8”の巨大コレオがお披露目されるなど、特別な空気感が漂う中、大一番がキックオフされた。

 神戸はイニエスタがトップ下で今季初先発。絶対的エースの大迫勇也が控えに回り、武藤嘉紀が最前線に陣取った。背番号8はボランチの山口と齊藤未月にサポートされる形でスタートしたが、試合勘の不足が災いしたのか、ボールに触る機会が少なく、思うように見せ場を作れない。逆に札幌に主導権を握られ、26分にはスパチョークに先制弾を奪われてしまった。

「前半はうまく強度を保てなかったり、自分たちがやろうとしているところでミスが出て、難しい試合展開になってしまった。自分たちがつなげるところでも蹴ってしまっていた印象があった。蹴るにしても精度が低かった」と山口は反省しきりだったが、イニエスタが入った“つなぐスタイル”にチームとしてうまくシフトできなかったということだろう。

 吉田孝行監督は後半頭に大迫を投入。今季本来の形に戻し、流れが確実に変わった。が、イニエスタは57分に交代。自ら巻いていたキャプテンマークを山口に託し、彼は静かにピッチを後にした。この瞬間、名手の神戸でのキャリアは幕を閉じることになった。

 偉大な選手を黒星で送り出すわけにはいかない。神戸は奮起し、大迫中心に貪欲にゴールに迫った。そして最終的には相手のマークミスを突いてCKからマテウス・トゥーレルが同点弾をゲット。何とか1-1のドローに持ち込み、「本当に最低限の結果」と武藤も安堵感をのぞかせた。

 試合後には盛大なセレモニーも行われ、イニエスタの涙も見られたが、これで神戸の一つの時代が終わったのは事実。世界的スターが去ったチームは新たな一歩を踏み出さなければならなくなるのだ。

「来週からはアンドレスがいなくなった新しい1週間になる。そこでいい雰囲気作りをして、いい方向に全員で持っていけたらいい。アンドレスがいたことを全部忘れることはできないし、残してもらったものを含めて積み上げていくことが大事だと思います」と山口は毅然と前を向いた。

 これまでの流れを考えれば、彼がキャプテンを引き継ぐことになるだろう。

「正式に誰がキャプテンをやるかわからないけど、これまではアンドレスがいなかった時に巻いていただけ。退団後にやるのはすごく重いものがある」と本人も神妙な面持ちで語っていたが、そうなった際には、強い神戸を率先して築いていくような強い姿勢と統率力が求められてくるのだ。

 実際、今季J1折り返し地点を迎えた今、神戸は大きな岐路に立たされている。開幕から大迫を起点とした縦に速いサッカーで快進撃を見せていた彼らだが、6月10日のセレッソ大阪戦で敗れて首位陥落。今回の札幌戦後には名古屋グランパスにもかわされ、暫定3位まで後退してしまった。

 現時点で消化試合が一つ少ないとはいえ、今のスタイルだけでは徹底的に対策され、さらに勝ち点を取り損ねる可能性も否定できない。札幌も岡村大八が大迫封じに奔走。ある程度の成果を残しているのを見れば、他クラブも同様の戦術を採ってくることが十分に考えられる。だからこそ、イニエスタがいた頃のようなボールを大事にしながら中盤で変化をつけていく戦い方も織り交ぜ、バリエーションをつけていくべきだ。

 山口もその必要性を痛感している。

「リーグも一巡して、相手も対策をしてくる中、他のバリエーションを含めて、自分たちがどういうところをこれから見せていけるのかはすごく大事になってくると思います。サコ(大迫)が有効というのはもちろんあるけど、やっぱり使い分けができないとダメ。今回もつなげるシーンはたくさんあった。そこをみんなですり合わせて、もう少し大事にしていかないと、後半戦は全然、勝てなくなっちゃうと思うから…」

 強い危機感を示すのは、リーダー格の選手として当然のこと。その考えを今一度、大迫や酒井高徳、武藤ら国際経験豊富な面々と共有し、善後策を探っていくことが急務の課題ではないだろうか。

「神戸は2017年の川崎(フロンターレ)みたいに上を追いかけるのは苦手。逃げ切りタイプやと思うから、上位をずっと保っていれば、最終的に可能性があると思います」とも山口は少し前に話していた。ここで踏みとどまる術を見出せるか否か…。新リーダーが背負うものは大きいが、イニエスタから学んだことを糧にして、32歳のダイナモには力強くチームを引っ張り、ギアを上げてほしいものである。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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