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【インタビュー】「この試合がサッカー人生最後の試合になる」“覚悟”を決めた藤本佳希、山形のエースが完全復活へ

2023.05.31

[写真]=J.LEAGUE

 モンテディオ山形の“新エース”として、昨季は開幕から15試合で7得点1アシスト。新天地で最高のスタートを切った藤本佳希を襲ったのは、左ひざ前十字靭帯損傷及び内側半月板損傷という大ケガだった。

 苦しいリハビリを経て、ピッチに帰ってきた背番号11は「『この試合がサッカー人生最後の試合になる』と本気で思ってプレーをすることにしました」と、並並ならぬ決意を胸に毎試合に臨んでいる。その境地に至った理由とは。そして、ホームに清水エスパルスを迎える注目の一戦に向けた意気込みを聞いた。


取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)

――ここ約1カ月で3得点とコンディションが徐々に上がってきているように感じます。改めてご自身でここまでを振り返っていかがでしょうか?
藤本 皆さんが「昨季と比べて調子はどうなのか」「コンディションは戻っているのか」という目で見るということも分かっていますが、自分の中ではケガをした以前・以後の比較をしていません。昨季からメンバーや監督も変わり、求められるプレーも変わりました。ただ、身体のキレやゲーム感覚は間違いなく良くなってきていると思います。

――第11節・東京ヴェルディ戦の決勝ゴールは、藤本選手の復活を告げる約1年ぶりのゴールであり、8連敗を止めた貴重な一発でした。あのゴールの重みをどう感じていますか?
藤本 後に振り返ったら、あのゴールが自分のキャリアの中ですごく重要なものだったと思うことになるはずです。開幕からゴールが取れず、チームとしては8連敗を喫していたので、『絶対に自分が決める』という気持ちで臨みました。あのゴールで吹っ切れた部分もありますし、その後のコンディションが上がっていくことにもつながったと思います。

――最近は「この試合がサッカー人生最後の試合になる」という、強い覚悟を持って試合に臨んでいるそうですね。なぜこういった考えに至るようになったのでしょうか?
藤本 ヴェルディ戦の前までは、ケガ明けでどうしても慎重になる部分がありました。自分では思い切ってプレーしているつもりだけど、ギリギリのところで止めてしまう。『ここで行こうとしているけど、行けないか』という、自分の中でのもどかしさがありました。それをどう打開して、今後どうコントロールしていくのか。自宅にいる時間にもいろいろと考えて、自分の中で『まだ“覚悟”が足りないんじゃないか』という結論になりました。ヴェルディ戦前までと同じではダメなので、『この試合がサッカー人生最後の試合になる』と本気で思ってプレーをすることにしました。当時はチームも連敗中だったので、そういったマインドに持って行きやすかった面もあったと思います。今は恐れるものもないですし、ヴェルディ戦では得点以外のプレーもすごく手応えがありました。

――そういった意味では第17節・ブラウブリッツ秋田戦で決めたゴールは、藤本選手の思い切りの良さを存分に感じる素晴らしいプレーでした。
藤本 駆け引きの部分でも相手の視野から消える動きができました。長い距離を走って、(イサカ)ゼインがクロスを入れるタイミングで合わせることができたので、自分の中ではパーフェクトなゴールでしたね。

――今季の山形は両サイドにスピードが武器のアタッカーが揃っています。ゴールを取るため、日頃の練習で心掛けていることはありますか?
藤本 特長を持った選手が多いので、彼らの良いプレーを引き出し、最後のゴール前の動きで合わせたいと常々思っています。得意なクロスやパスの球質など、それぞれ持っている特長は練習から見るようにしていますね。

――一時は8連敗と苦しみましたが、現在3連勝中と好調です。チームのムードはいかがですか?
藤本 先週末のロアッソ熊本戦では前半を無失点で終えることができました。これまでだったら、先に失点をして難しい展開になっていたと思います。今は我慢をすれば自分たちが後半にゴールを取って勝てるという空気感があります。ただ、連勝しているという自信がある一方で、あまりそこだけに頼り過ぎてしまうことも良くない。局面を見ると課題はあるので、しっかりと見直すことにも取り組んでいきたいです。

――今週末は清水エスパルスをホームに迎えます。ここまでの清水の印象を聞かせてください。
藤本 個人の能力や実績、チーム力を含めて今のJ2では断トツだと思っています。ものすごく力のあるチームです。ただ、自分たちは相手がどこであろうと勝たないといけないことに変わりはないので、勝つ準備をしたいと思います。

――昨季後半戦に山形でプレーしたディサロ燦シルヴァーノ選手との、ストライカー対決を楽しみにしている方もいると思います。
藤本 レレ(ディサロのニックネーム)は、昨季もの凄い活躍をしてくれました。清水に戻って山形と戦うとなればすごく気持ちが入っていると思いますし、自分も同じストライカーとして負けたくないですね。今節のような注目される試合でゴールを取りたいと思っています。

――今節は『ミュージックスタジアム』『から揚げ祭りだモン!!』など、ピッチ外でのイベントも盛りだくさんです。
藤本 秋田戦の試合後、勝利の乾杯(場外広場で勝利を祝うイベント)に参加しました。ピッチの外でも楽しませる取り組みは、すごく大事なことだと思っています。選手たちは勝利にこだわって、モンテディオ山形がもっと応援されるようなクラブになっていけたらと思います。

――では、最後にファン・サポーターの皆さんへ、清水戦の意気込みをお願いします。
藤本 ホームでは毎試合勝たないといけないと思っています。試合後にファン・サポーターの皆さんと喜び合えることはすごく幸せなので、一緒にスタジアムで喜びを分かち合いましょう!


明治安田生命J2リーグ 第19節
モンテディオ山形 vs 清水エスパルス
6月3日(土)14時〜 @NDソフトスタジアム山形

モンテディオ山形vs清水エスパルス 試合情報

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