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TikTok ×Jリーグで描く未来 Z世代だけでなく、全世代で「サッカーの楽しさを伝えよう」

野々村チェアマン(左)と佐藤GM(右) [写真]=野口岳彦

 ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」が、Jリーグのサポーティングカンパニーとなることが11日に発表された。

 3月15日に第6代チェアマンに就任した野々村芳和氏にとっては、就任後初となる契約発表となった。

 今後、JリーグがどのようにTikTokを活用するのか。また、TikTokはJリーグ、サッカーの持つ力をどのように見ているのか。

 TikTok Japanの佐藤陽一ゼネラルマネージャーと野々村チェアマンに語ってもらった。

 インタビュー=小松春生

[写真]=野口岳彦

―――今回の契約に至った経緯からお聞かせください。

佐藤GM サッカーはTikTokの中でも非常に大きな力のあるコンテンツカテゴリーです。グローバルでもサッカー関連の動画は多数見られます。昨年、ユーロ2020のオフィシャルスポンサーをさせていただくなどをしてきた中、日本でも何かご一緒できるようなチャンスはないかという話をしてきた中で、今回こういった機会をいただくに至りました。

―――野々村チェアマンにとっては、チェアマン就任後、初のサポーティングカンパニー契約となりました。

野々村チェアマン 変わらなくていい部分と変わらないといけない部分が、Jリーグにも当然あります。Jリーグとして、若い世代にどうやってサッカーを提供するか。そこは変わっていかないといけない部分だったと思います。Jリーグのファン層を考えると、Z世代の人たちに今、興味を持っていただきたいこともあります。そして2、30年後のサッカー界を考えた時、今のZ世代が世の中を作っていくわけですから、彼らの未来の中にサッカーがどういうものとして存在するか。そういう意味でも、最も大事な部分を一緒に作っていけるパートナーとして、最初に契約できたことはすごく嬉しいです。

―――最初の契約ということで、野々村チェアマン体制の方向性を示すタイミングでもあります。

野々村チェアマン まさに、そう思っていただけるといいですね。僕らのような世代にとっても、TikTokは楽しいんです(笑)。知らないことはたくさんある、ということも含めて、いいチャレンジになると思います。

佐藤GM チェアマンがおっしゃったZ世代へのアプローチについては2面あります。一つは、Z世代はスマホを手に取ると、まずビデオを撮影する世代であるということです。Jリーグやサッカーをテーマにビデオを作ってくれるパワーがZ世代は非常に強い。そこに次々と同世代の人たちが乗っかり、さらに多くのビデオを作ってアップしてくれる動きがあります。もう一方の面として、Z世代が作ったビデオを「あるある的」に見て楽しんでいるのは、上の世代であるという点です。一般的に、動画プラットフォームやSNSは年齢層が高いほど見る専門の人の割合が増えると言われています。その方たちが、あるあるネタを見て楽しむ。その2層構造の中でご一緒できることは非常に面白い試みになると思います。

[写真]=野口岳彦

―――TikTokのユーザー層はZ世代にフォーカスされがちですが、最近は年齢層が高いと思われる方のコメントも散見されるなど、「若者のプラットフォーム」ではなくなってきているように感じます。

佐藤GM おっしゃる通りです。我々のような50代が見て喜ぶコンテンツが、実はものすごくたくさんあるんです。TikTokは独自のレコメンドシステムに基づいてユーザー個人の好みの動画が「おすすめ」フィードにどんどん出てくるので、例えばチェアマンと僕の「おすすめ」フィードは全く違うものとなっています。また、若年層と比べて自身で撮影して投稿することは少ないので、目立つことは少ないですが、年齢層の高いユーザーも非常に増えています。見て楽しむ層が増えたことで、全世代を横断しての盛り上げもできますし、そこを若い世代が引っ張るという絵がすごく綺麗に描けると思います。

―――野々村チェアマンは今の話を聞いていかがでしょうか。Jリーグの観客の平均年齢は上がっていますが、親子で観戦に行くケースも多くあり、子どもと4、50代の方が組み合わさって、いい循環になる要素にもなるのかなと思います。

野々村チェアマン まさにそんなイメージは湧きますよね。私のように見始めたら、一気にハマっていく人がどんどん増えればもっといいことですし。Jリーグの観客の平均年齢は40歳過ぎですが、その世代の方たちが増えることは、おそらくTikTokさん側にもいいことであると思います。補完し合うような部分も、パートナーとなったことで、十分含まれていると思います。このご時世、とにかく楽しい動画がたくさん出るようになったらいいですね。

[写真]=野口岳彦

―――Jリーグは新しいことへの挑戦をこれまでもしてきていますが、今回はまた新しいプラットフォームを活用することになります。すでにTikTokを運用しているクラブや選手もいますが、まだ多くはありません。現場体力との兼ね合いもあると思います。

野々村チェアマン リーグとしてクラブなどに働きかけはしますが、選手などが自主的にやる可能性も高いので、特に若い世代に期待はしたいですね。

佐藤GM 活用方法について言えば、TikTokの場合はコメント欄の利用度頻度において日本が世界でナンバーワンという特徴があります。例えば動画をアップした選手がコメントに一言返答するだけで、その後の動きが全く変わるんです。質問に動画で回答する機能もありますし、ファン・サポーターとの触れ合いを広げる上で、TikTokの動画を通じてやりとりしてもらうと、すごく喜んでもらえると思います。だからこそ、スタジアムに行って応援したいと思う人も増えるし、動画プラットフォームやSNSで言うところの“エンゲージメント”が高まる部分はあると思います。

―――選手だと田中パウロ淳一選手(松本山雅FC)がうまくTikTokを活用していて、知名度も高まっている印象です。

野々村チェアマン その実体験が若い世代にはありますよね。僕らは見て楽しんでいるだけかもしれませんが、自分で何かを作って変えていくような実体験がある人たちが動くようになるのではないかと期待しています。

佐藤GM 海外でもリーグやチームが主体的にやっているケースもありますし、1500万近いフォロワーを抱えるクラブもあります。ただ、同時に選手が個人として楽しんでやっていることが一緒にあるかどうかが大きな鍵なんです。TikTokでは、レミたん(土井レミイ杏利)というハンドボールの日本代表選手(21年8月に代表引退を表明)が積極的に投稿を続けてくれたことで、ハンドボールの競技全体の注目度が上がりました。選手の皆さんが楽しむ様子が伝わることと、リーグやチームがそこに乗っかって一緒に何かをやっているな、ということが合わさった時のパワーはすごく出てくると思います。

[写真]=野口岳彦

―――今回の契約により、TikTok側としてのメリットもいろいろあると思います。例えば社会貢献性や公共性といった要素もより高まるのではないでしょうか。

佐藤GM Jリーグの場合は、地元に根ざして、コミュニティにしっかりと貢献しようという大きな目標を持っていらっしゃいます。そこに対してTikTokができることは多いと考えています。TikTokのクリエイターさんは、実は東京にたくさんいるわけではなく、地方在住の方が多い。自分の街、チームを盛り上ることで、ファンやコミュニティが盛り上がっていく、そのお手伝いを少しでもできればと思っています。

―――地域密着はJリーグがすでに持つ強みでもあります。

野々村チェアマン 強みは強みですが、それぞれの地域で、もっと成長したいと考える中で、やり切れてない部分はたくさんあると思います。リーグもサポートできていない部分がたくさんあると思います。今回の形だけでなく、リーグとしては各地域のクラブに成長してもらうために、どうサポートできるか。TikTokさんの力を借りて、それぞれのクラブが成長できるようなきっかけになってほしいですね。

―――2、30年後のためにも、とお話しいただきましたが、TikTokや各種SNSでサッカーを感じる子どもたちも増えていく中、将来そういったところからきっかけにしてサッカーを始めた、という子も出てくるかもしれません。

野々村チェアマン そうですね。リアルなサッカーの世界に関わる部分では、Jリーグは58クラブありますし、各地域や地元で触れる環境は整っていると思います。デジタルの世界からサッカーに興味を持ってもらえた時に、「近くにこんなクラブがあったんだ」というリアルを体験してもらうことがクラブとしては第一歩です。若い世代にも一緒に仲間になってもらい、ともに地域を良くしていくことができるイメージは湧きます。

[写真]=野口岳彦

―――TikTokはグローバル企業でもあるので、他国の事例を日本で生かすこともできると思います。

佐藤GM 欧州のクラブが成功しているやり方は、すでに確立しているので、日本でも参考にできないかトライしていきたいと思います。欧州では選手の少しプライベートな一面を見せることがファンサービスの一つとして定着しています。私服が見たい人もいるでしょうし、車に乗り込むところが見たい人もいると思います。もちろん勝負の世界に身を置いているので、そこが中心にはなりますが、負担にならない範囲でサポートさせていただきたいですね。

―――野々村さんは北海道コンサドーレ札幌時代、ジェイやチャナティップ、都倉賢など、TikTokや各種SNSを積極活用する選手が在籍していました。情報発信については、野々村さんの現役時代から選手の考え方も変化していますね。

野々村チェアマン いやいや僕の時もそんな気持ちはありましたよ(笑)。でも、確かに変わってはきていますね。毎日の真剣勝負の中で、ふざけたことはしないという世代ではなくなってきている感じはします。公式戦以外のところで選手たちの楽しさや優しさが漏れ伝わるような何かがあるといいですね。それが今っぽいと思います。やりすぎ注意くらいで(笑)。とにかく選手も自由に楽しまなければ、見ている方たちも楽しくないでしょうし、ルールの中でうまくやってくれればいいと思っています。

―――ショートムービー企画「#Jリーグ」チャレンジの実施も予定していると発表されました。まずはJリーグをすでに知っている方たちに積極的に参加してもらうことで、輪が広がっていくと思います。

野々村チェアマン 僕はいつも言っていることがあって、サポーターと言われる方たちは、こちら側なんです。我々と一緒にJリーグ、クラブを大きく成長させていこうという仲間なので。ぜひ、サポーターの皆さんには協力していただき、一つの動画をきっかけに新しい人たちがつながっていくことを想像しながら、いろいろな楽しいことを発信してほしいです。それが必ずクラブのためにもなっていくはずなので。

―――サポーターがTikTokをどんどん使ってくれることで、ユーザー層がさらに拡大していく可能性もありますね。

佐藤GM そうですね。例えば、試合を見に行き、残念な結果となってしまうこともあると思います。そこで、「負けたのに動画撮るなんて」と感じる方もいるかもしれませんが、皆さんにはぜひ、若い人たちが盛り上げようとしてやっていることを暖かく見守っていただきたいです。できれば、一緒に乗っかって、楽しいスタジアム、試合前後の楽しい時間を一緒に伝えていただければ嬉しいですね。

@j_league Take.1 キチンと出来てる?😂👌 #Jリーグ #これ出来る? #野々村チェアマン#中村憲剛 #踊ってみた ♬ #これ出来る? – ☆イニ☆(じん)

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