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「前へ」の意識強まった清水…「通せると思った」鈴木義宜のスルーパスが決勝点の起点に

2021.11.23

先制点の起点となった鈴木義宜 [写真]=J.LEAGUE

「通せると思ったので出しました」。1本の長いパスが勝利を呼び込んだ。

 20日に行われた明治安田生命J1リーグ第36節、残留争いの渦中にいる清水エスパルスは、ホームにサンフレッチェ広島を迎えた。今月4日にミゲル・アンヘル・ロティーナ前監督との契約解除を発表し、平岡宏章コーチが監督に昇格。2日後に行われた前節の北海道コンサドーレ札幌戦は準備期間があまりにも短く、2-2で勝ち点「1」を掴み取るのが精いっぱいだった。


 その後、約2週間の中断期間では、守備のスイッチの入れ方を明確にし、攻撃ではピッチに立つ全員の「前へ」の意識を強めた。「立ち上がりのところで、この2週間で準備してきたことを出してくれた」(平岡監督)。球際への寄せやスペースへの動き出し、ボール回しの面で以前との変化を示し、ハイペースで広島ゴールに迫る展開が続いたなか、30分、「前へ」の意識が待望の先制点につながった。

 後方でのパス回しで鈴木義は当初、右サイドバックの原輝綺へパスを出そうと考えたという。しかし、「平岡監督に代わって、自由に動きやすくなった」という鈴木唯人がタイミング良く動き出したのを見逃さなかった。「唯人が良い形で間に入ってきて、通せると思った」と鋭いスルーパスを供給。鈴木唯のシュートは左ポストに弾かれたが、こぼれ球をチアゴ・サンタナが押し込んだ。

 その瞬間、ピッチ上では3カ所で歓喜の輪が広がった。ゴールを決めたサンタナはベンチメンバーのもとへ向かい、集まってきた他の選手たちとともにベンジャミン・コロリの第一子誕生を祝う“ゆりかごダンス”を披露。西澤健太は、惜しくもゴールを決め損ねた鈴木唯を慰めるように寄り添った。そして、会心のゴール演出に力強いガッツポーズを見せた鈴木義のもとには、竹内涼、権田修一が駆け寄り、今シーズン、3人体制でチームを牽引しているキャプテン同士で喜びを分かち合った。

 このまま1-0で逃げ切り、清水は16試合ぶりの完封勝利を手にした。試合終盤は広島に押し込まれるなど課題は残ったが、平岡監督は「状況を見ながら緩急をつけてやっていけるといいですけど、残り3試合というこの状況で彼らにそれを求めるのは酷」と選手たちの奮闘を評価した。

 降格圏の17位・徳島ヴォルティスも今節勝利したため、勝ち点差は「3」のまま残り2試合。「勝って反省できるのは良いこと」と鈴木義が言うように、何よりも欲しかった“白星”の勢いを持って次節、浦和レッズとのアウェイ戦に挑む。

ライター=平柳麻衣

By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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