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応援してくれたファンに“世界に1足”を届ける…ロアッソ熊本の浅川隼人がスポーツ界を巻きこむ『Ultras』プロジェクト

2021.09.29

 J3のロアッソ熊本で2020シーズンに11ゴールを記録したストライカー、浅川隼人は2021シーズンもここまで4ゴールをマークし、ピッチ外でも盛んに活動する。今季から選手兼営業として売上面でもクラブに貢献し、ホームゲームでは「ASAKAWA SEAT」というプレミアムな観戦席を用意。オンラインサロンで積極的にファンと交流し、新たに『Ultras』というプロジェクトも立ちあげた。ファンに選手が履くスパイクを購入してもらい直接的に応援してもらいながら、着用後にそのスパイクを届けるというこのプロジェクトは、昨シーズン、浅川個人が『HAYATO DREAM PROJECT』として実施していたものを拡大させたものだ。現在は元日本代表で現在、FC今治でプレーする橋本英郎をはじめ、計8選手が参加。さらに来シーズンは規模を大きくし、他競技も含め約50選手が加わる予定だという。

―――ロアッソ熊本2年目の今シーズンは、選手兼営業としてピッチ内外でクラブに貢献しています。


浅川 開幕前やシーズン中に選手としてスポンサーの皆さまにあいさつに回らせていただくのはもちろんなんですが、まだまだ自分たちが貢献できるところがあるんじゃないかなと。それでクラブに相談し、営業も担当させていただくことになりました。今シーズンはホームゲームで僕がプロデュースした「ASAKAWA SEAT」(毎試合11席限定の特典付き観戦席)を用意させていただきました。そのシートパートナーを募集したり、それをきっかけにクラブとの新しいコラボレーション企画を提案したりさせていただき、実際に様々な企業からスポンサー料をいただいています。

「ASAKAWA SEAT」には、選手との交流、浅川のサイン、オリジナルのchabudai弁当などの特典が付く

―――その営業活動は、個人のスポンサーとしてついていただくこともできるかと思いますが、なぜクラブの営業として活動しているのでしょうか?

浅川 自分の中ではやっぱり浅川隼人は、ロアッソ熊本浅川隼人であって、サッカーをプレーする上でチームが大前提にあるんです。チームに売上で貢献することはもちろんチームのためでありながら、一方で自分のためでもあり、サッカー以外のいろいろな活動にもいい影響が出ていると思っています。それと自分の価値、評価を可視化する上で、得点を挙げること以外にもできることがあるんじゃないかと。チームのために売上を上げるというのはわかりやすい価値、評価で、営業活動だけでなく例えばユニフォームなどのグッズの売上で貢献することもその一つだと思っています。

―――昨シーズンは28試合に出場し11ゴール、今シーズンは15試合4ゴールを記録していますが(2021年9月27日時点)、ピッチ外でも精力的に活動し、株式会社resolist(レゾリスト)という会社の代表も務めています。

浅川 2020年6月に起業し、企業のPRに協力させていただいたり、サッカー教室をさせていただいたり、いろいろなことをさせていただいています。その他にも東京で飲食のデリバリーサービスなども展開し、また2021年4月から『Ultras』というプロジェクトもスタートさせました。この活動は、今は2021年8月30日に設立した一般社団法人Ultrasで運営していまして、僕が代表理事で、ブラウブリッツ秋田の下澤悠太選手にも理事として協力していただいています。

―――昨シーズン、『ヒュンメル』とスタートさせた『HAYATO DREAM PROJECT』の活動を拡大し、新たに『Ultras』として様々な選手が参加していますね。

浅川 はい、もともとは僕1人の活動でした。ファンの方に、僕が履くスパイク2足を購入していただき、そのうちの1足に好きな言葉や名前の刺繍を入れた“世界で1足のスパイク”をお届けする企画です。高校時代からヒュンメルのスパイクを愛用していて、Jリーガーになってからもたまたまご縁があってスパイクをご提供いただくことになりました。ただ、Y.S.C.C.横浜でのプロ1年目(2018年)は1試合も出られず、ずっとお世話になっているのに何もお返しできていないと歯がゆい気持ちがあったんです。それで2年目(2019年)に13ゴールを決めることができてその年の終わりにこの企画をヒュンメルのご担当者にご相談し、了承いただいて実施することになりました。

4月にオープンした『Ultras』ホームページから直接支援ができる

―――4月からスタートした『Ultras』には元日本代表の橋本英郎選手(FC今治)や同じロアッソ熊本の上村周平選手、女子サッカーの吉田凪沙(ニッパツ横浜FCシーガルズ)などが参加しています。多くの方に応援していただいているようですが、このプロジェクトを進めていく中で驚いたことなどはありますか?

浅川 やっぱりファンの方から直接的に応援していただけることで大きなパワーをいただけてパフォーマンスにもいい影響が出ていると、僕だけでなくみんなが言っていることですね。あと、これまでスパイクを磨いていなかった選手が自分で磨くようになったと(笑)。自分もそうですけど、子どもの時を思い出すというか、スパイクの大切さをより感じられるようになりました。また、やっていて良かったなと感じたエピソードの一つとして、もともとロアッソ熊本に所属していて今JFLの鈴鹿ポイントゲッターズに在籍している坂本広大選手が、ヴィッセル神戸との天皇杯の試合に出場したんです。0-4で負けてしまったんですが、その試合のスパイクを応援してくださった方が本当に興奮したと。自分が応援したスパイクであのヴィッセル神戸と戦っていたととても喜んでいたそうで、その話を聞いた時は僕自身もすごくうれしかったですね。

―――ファンが選手と一緒に戦っている感覚を得られるんですね。

浅川 僕は昨シーズン11ゴールを決めることができたのですが、少しおこがましい言い方かもしれないですけど、その一つひとつのゴールは、スパイクを購入して一緒に応援してくださったファンにとって一生の思い出に残る特別なゴールになると思っていますし、選手としてもその思い出を一緒に作れることにとても大きな価値を感じています。そして、こうした活動もあってか、『Ultras』に参加している選手は自分の価値が可視化され、それに気づいたことでとても活発的になっているんです。Youtubeチャンネルを開設したり、ファンとつながるためにLINEアカウントを作ったり、これがまた新たなきっかけになり、ファンも増えているようで、とてもいい循環になっていると思います。

浅川はロアッソ熊本2年目の今シーズン、ここまでJ3で4ゴールをマークしている

―――ここまでの経過を見ると、さらなる発展が期待できそうですね。

浅川 はい、サッカーでは選手間のつながりだけでなく、日本プロサッカー選手会や地域リーグのチームなどと会話をさせていただいています。またサッカー以外のスポーツでも展開していく予定です。今お話させていただいているのはFリーグやBリーグ、ラグビー、陸上、ハンドボールの選手、それとメジャーなスポーツではないですが、あるスポーツのリーグともお話させていただいています。今年は8人の選手に参加していただいているのですが、来年は50人ぐらいの選手に参加していただけるんじゃないかと思っています。また、『Ultras』の活動としてスパイクを応援していただく以外にも、例えばオンラインなどで子どもと交流していく場なども作っていければなと考えています。それともう少し先の話になりますが、選手だけでなく、学生のスパイクを応援する仕組みも作りたいなと。まずはプロを目指す大学生や高校生から始めて、最終的には小学生、それこそ近所の子どもを応援していくような、誰もが使えるサービス、それをきっかけに誰もが夢を追いかけられる世界を作っていければなと思い描いています。

―――オンラインサロンや食のサービス、さらに『Ultras』など様々な活動をしています。この他に今後トライしたいことは?

浅川 以前、セブ島でボランティアサッカー教室を開催したんですが、それも昔から福祉に興味があったからで、例えばスポーツ×福祉みたいなサービスを作りたいと思っています。僕は先ほども言った、誰もが夢を追い続けられる環境を作ること、それを軸にいろいろなことに挑戦しています。スポーツ×福祉だけでなく、スポーツ×食なのか、スポーツ×〇〇なのか、自分ができることの掛け合わせで、夢を応援するサービスを今後も考えていきたいですね。それともう一つ、大きな夢としていつかサッカークラブを運営したいなと最近、考えるようになりました。強いチームであることに越したことはないですけど、それよりもしっかりとした理念があり地域に本当に愛されるチーム、そうした想いを持った選手が集まるチームを運営したいと思っています。チームの営業に興味を持って、実際に今、選手兼営業として活動しているのもそれがきっかけかもしれないですね(笑)。

―――ロアッソ熊本はJ3で首位(2021年9月27日時点)と、J2昇格に向けて好位置につけています。最後に今シーズンの目標をお願いします。

浅川 昨シーズンから言い続けていることですが、J3得点王になることが一番の目標です。トップと5ゴールの差があり難しい状況ですけど、あきらめずに目指していきたいですし、それを成し遂げられればチームの成績もより上向きになり、J2昇格に大きく近づいているはずです。まずは結果を一つひとつ積み上げること、ゴールを一つひとつ積み重ねて、チームの勝利も一つひとつ積み重ねていければと思っています。

By サッカーキング編集部

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