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名古屋に漂う勝者の貫禄…指揮官も成長を実感「選手たちは当たり前のように淡々と」

名古屋が14年ぶりの開幕4連勝 [写真]=J.LEAGUE

 指揮官が明言した通り、チームの成長を実感する1-0の勝利だった。先制したのは前半の19分。そこから試合の4分の3にあたる70分間で相手にほとんど何もさせずに勝点3を手にしたのだから、名古屋の面々の手応えも強い。2007年以来14年ぶりとなる開幕からの4連勝は、うち3試合がいわゆる“ウノゼロ”という堅実さ、そして勝負強さを備えたものだ。昨年、フィッカデンティ監督は「1-0は本当に強いチームができること」と語っていたが、今の名古屋はまさに、したたかな勝者としての貫禄すら漂わせ始めている。

 メンバーを入れ替えてなお、その堅さは損なわれることがなかった。前節の柏戦から中2日、次週もミッドウィークの試合を控えるチームは疲労度をできる限りシェアせんと、今季初の思いきった入れ替えを敢行している。その中には2年連続フルタイム出場の中谷進之介も含まれていたのだから、まさに総力戦だ。齋藤学に長澤和輝、木本恭生の新加入3選手が移籍後初スタメンを飾り、柏戦から5名を入れ替えるターンオーバー。若い木本は「勝手に緊張していたというか。重圧と言うか」とやや強張った試合の入りとなったが、そこは彼もC大阪で主力を張ってきた男である。課題であったボールに食いつく守備にも慣れを見せ、ドウグラスとの真っ向勝負に実力を誇示した。

 試合は立ち上がりから神戸の方がボールを持つ時間が長くはなったが、反面でミスも多くリズムをつかみきれない展開の中で主導権が行ったり来たりの慌ただしいものに。だが徐々に試合に適応した名古屋が守備のラインを上げだすと、14分に稲垣祥がペナルティエリア付近でのインターセプトを成功させ、GK前川黛也との1対1に持ち込んで最初の決定機。そしてその5分後には、相手陣深くに攻め込んだのちのクリアボールを拾って右足を強振すると、素晴らしい弾道のミドルシュートが突き刺さり、結果としての決勝点を奪ってみせた。前節も積極的な攻撃参加から得点していたボランチは、「特にシュートを打とうと意識したわけではないが、前にポカンとスペースが空いていて、シュートを打つ間合いを作らせてもらえたので」と事もなげにスーパーゴールを振り返る。稲垣はその後も前半だけで3本のシュートを放ち、この日の両チーム最多の“シューター”に。本格的なストライカータイプが不足している名古屋にとって、この伏兵の登場は何とも頼もしい限りだ。

 後半は選手交代も含めて果敢さを取り戻した神戸が名古屋を攻め立てたが、5本のシュートのうちGKランゲラックがセーブしたのは53分の井上潮音のミドルシュートのみ。名古屋は相手の猛攻を危なげなくさばきながら、反撃の機会を伺う試合巧者ぶりを発揮し、こちらも交代策を駆使して試合の強度をテンションを保って90分間を締めくくった。稲垣は「点を取ってからの試合運びを、みんなで共通意識をもってやれている。さらに途中から入った選手もそこに同じテンションで乗っかって良いプレーを出してくれる」と、チーム一丸となった勝点3への道づくりを称賛し、フィッカデンティ監督もまた「交代で入った前田も決定的なチャンスを作った。押し込んできたところでちゃんとやり返すということして、やるべきゲームをちゃんとやった」とチームワークを高く評価。初のスタメンフル出場を果たした木本はそれを、「一人で戦うというよりもチーム全体で戦っているということがわかった。去年の成績が納得できた」と感心した表情で語っている。

 改めて恐るべきは、1-0が3度含まれる、1点差勝利での4連勝という数字である。それだけを見れば得点力が、と言いたくもなる数字だが、今の名古屋は1点あれば十分という凄みがある、と言った方が正しい。守備力への絶対の自信と、リードを死守するための確立された手法とメンタル。「試合中にどうしたら良い状態で90分、あるいはアディショナルタイムを合わせて100分ほどの時間を戦えるか。それができなければ勝てるわけがない。そういった部分でも強く日頃から求めているので、選手たちは当たり前のように淡々とやってくれた」と、指揮官もまた淡々と語った。名古屋は名古屋ならではの勝ち方を覚えた。無傷の4連勝は、その事実をリーグのライバルたちに強く意識させたに違いない。

文=今井雄一朗

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