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三笘ら同世代からも刺激…結果にこだわる相馬勇紀「11番は得点を取るべき」

札幌戦で決勝ゴールを挙げた相馬勇紀 [写真]=J.LEAGUE

 11年ぶりのJ1タイトルを目指し、柿谷曜一朗や齊藤学、長澤和輝など日本代表経験者を続々と補強した2021年シーズンの名古屋グランパス。2月28日の開幕戦でアビスパ福岡を2-1で下して好発進した矢先の3月3日、新型コロナウイルス感染者発生により、ガンバ大阪戦中止という予期せぬアクシデントに見舞われた。

 キャプテン・丸山祐市は「少し休養をもらえたと捉えたい」と前向きにコメントしたが、勢いに乗り始めている攻撃陣にとってはマイナスに作用しかねない。一抹の不安を抱えながら、7日のホーム開幕戦・北海道コンサドーレ札幌戦を迎えることになった。

 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督率いる札幌はボール保持に秀でたチーム。案の定、名古屋はやや厳しい展開を強いられた。「勢いは90分続かないだろうと。耐えるところは耐えていこうと思った」と守備の要の1人である中谷進之介が言うように、昨季総失点28という強固な堅守で跳ね返しつつ、虎視眈々と勝機を伺った。

 マッシモ・フィッカデンディ監督は後半に5枚のカードを切ったが、最大のキーマンと位置付けられたのが相馬勇紀だ。福岡戦でマテウスの先制点をお膳立てした新背番号11は54分から登場し、この日もイキイキと躍動。82分の決勝点を自らの右足で叩き出した。

「右サイドでマテちゃん(マテウス)、(宮原)和也君、(前田)直輝君の3人でいい崩しをしてくれたので、僕は決めるだけでした」と本人は謙遜するが、左ウイングを主戦場とする選手がゴール真ん前に侵入していたことは特筆すべき点だ。

「今までだったら、逆サイドのクロスに自分があそこまで入り込むことはなかったけど、今年は本当に点を取ろうと考えて、クロスの入り方をすごく考えて取り組んでいます」と相馬は秘訣の一端を明かした。

 最近はワンタッチゴールに長けた海外選手の動画も積極的にチェックしているという。決勝点の場面も、宮原がマテウスからボールを受けた瞬間、中に入ろうと考えたが、前田直輝が前に抜け出すと察知。絶妙なタイミングでゴール前へ出ていき、右足で合わせた。

 その巧みなシュートは、早稲田大学4年時に特別指定選手として名古屋で戦っていた2018年にともにプレーした佐藤寿人氏を彷彿させるものがあった。奇しくも今回の札幌戦にはその佐藤氏が来場し、引退報告を行った。相馬は試合前に「今年から11番をつけることになりました」と偉大な先輩に報告し、力強い激励を受けてピッチに立ったのだ。

「11番は本当にいいイメージの番号ですし、FWに近いかなと。得点を取るべき番号だと思うので、そこに強くこだわらないといけない。海外の選手を見ていても1点を取ったらすごく評価されるし、勝負の瀬戸際が問われる。チームが勝ち切れることに力を注くことはすごく大事です」と彼は力を込めていた。

 相馬の過去の実績を振り返ってみると、2018年のJ1デビューイヤーが1ゴール、2019年が名古屋と鹿島アントラーズ合計で2ゴール、2020年が2ゴールと、目覚ましい数字は残せていない。それでも切れ味鋭いドリブル突破という傑出した武器をフィッカデンディ監督に評価され、昨季は32試合に出場。五輪代表候補にも招集を受けてきた。

 しかしながら、今季の名古屋は前述の通り、柿谷や齊藤などビッグネームが加入。攻撃陣の競争はかつてないほど激化した。昨季通して攻撃の絶対的軸を担った阿部浩之も今季はまだ出番を得ていない。札幌戦で相馬の決勝点をお膳立てした前田直輝も「新戦力を見て、何かを吸収することも大事だけど、やっぱり自分がどうあるべきかを考え、研ぎ澄ませないとけない」と神妙な面持ちで語ったほど、危機感を募らせている。

 それだけ熾烈なサバイバルの最中にいるのだから、相馬としても目に見える数字が不可欠だと痛感したはず。それが食事の見直しや5キロの減量、走力アップ、ゴール前への侵入回数の増加、得点力アップといった好循環につながっているのだろう。

 競争はチーム内だけにとどまらない。同世代を見渡せば、同じ東京五輪代表候補の三笘薫はルーキーイヤーの昨季に13ゴールをマーク。今季もスタートから目覚ましい活躍を見せている。

「薫は圧倒的に力を出していると素直に思います。でも僕と彼は特徴が違う。リスペクトを持ちながらも、チームにどれだけ力を還元でき、勝利に貢献できるかが大事」と昨年末の五輪代表候補合宿時にも話していたが、ストロングを極めながらチームを勝利に導ける存在にならなければいけないと、相馬は三笘から学んだという。

 海外に目を向けても、堂安律はコンスタントに出場機会を得ているし、久保建英も苦境脱出の道筋を見出しつつある。そういった手強いライバルたちを抑えて、日本のトップにのし上がるためにも、やはり「点の取れるアタッカー」への変貌は必須テーマと言っていい。その領域に貪欲かつ泥臭くトライしている今の相馬は非常に頼もしく映る。

 背番号11の値千金のゴールで開幕2連勝した名古屋は暫定2位をキープ。1試合多い首位・川崎の背中を着実に追っている。ここから王者を引きずり落とすためにも、複数の得点源が必要になってくる。エース・金崎夢生は負傷からの復帰にまだ時間がかかると見られるだけに、相馬には点取り屋としての能力を開花させてもらわなければならない。本当の勝負はここからだ。

文=元川悦子

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