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コロナ禍のJリーグを支えるぴあの取り組みとは?

[写真]=(c)Jリーグ

 特別なシーズンも残すところあとわずかで終わろうとしています。誰も経験したことがないコロナ禍の特別なシーズンは、まさに記憶にも記録にも残るシーズンと言えるでしょう。ピッチ上だけの話ではありません。試合運営はもちろん、トレーニングや移動、マスコミ対応などJリーグとJクラブは日々新型コロナウイルスと向き合ってきました。

 チケッティングも同様です。6月27日に無観客で明治安田生命J2リーグが再開、明治安田生命J3リーグが開幕し、7月4日には明治安田生命J1リーグも再開。7月10日には有観客がスタートし上限5000人か収容率50パーセントの小さい方、その後収容率30パーセント、50パーセント、そしてビジター席開放など入場規制は緩和させていきました。その際チケットはどのように対応したのでしょうか。Jリーグチケットを運営するぴあ株式会社スポーツ・ソリューション推進局の永島誠局長に話を聞いてみました。

「チケットぴあの役割としてはただ席を売るという単純なことではありません。『どうすればチケットは売れるのか』、『どうすれば収益が上がるのか』、『そのためにはどういう売り方をすればいいのか』というソリューションをクラブ、リーグと考えています。今回のコロナ禍においても『5000枚売ってください』、『はい』ではないのです。『席と席の間を2m離して5000枚売ってください』というJリーグの要望に対して、どのようにその5000席を設定するのか。スタジアムはそれぞれ形状もキャパも違うので、2m間隔にするために2席開ければいいスタジアムもあれば3席開けなければならないスタジアムもあります。その一つひとつを確認し、設定していかなければなりませんでした」

 自由席が多いのも、チケットの設定の難関になったと永島局長は言います。

「Jリーグでは自由席も多いのですが、その自由席すべてに席番号を登録しなければいけなくなりました。それこそ席番号のないベンチシートに一席一席席番号を貼り、その席を登録し、登録したらさらに確認し、配席しなければなりませんでした。今までやってきていない新たな作業を頭を使って対応していったのです」

ぴあ株式会社スポーツ・ソリューション推進局の永島誠局長

 7月12日・埼玉スタジアム2002での明治安田生命J1リーグ第4節・浦和レッズ対鹿島アントラーズの観客動員は3094人……。5000人にも満たないスタジアムはショッキングな光景だったと永島局長は振り返ります。
「『ああー』とため息が漏れました。本来なら5万人入るカードです。それが5000人にも満たなかったのですから、すごいショックでした。選手たちもモチベーションは大変だったと思います。ただその時は無観客から有観客に移行した試合ですので、3000人でもファン・サポーターがいる心強さを選手たちは感じ、サッカーをやれる喜びはあったのでしょうけど。あの試合を見て『満員のお客さんの前で試合をするお手伝いをぴあがしないといけない』という思いを改めて強くしました」

 その後上限30パーセント、50パーセントと規制は緩和していきましたが、スタジアムへ向かう足は鈍ったまま。不安を感じるファン・サポーターへより一層のアピールが必要だと永島局長は語ります。
「いろんな施策を打っていかないといけません。『安全です』、『安心です』とクラブも、リーグも、我々もお伝えしているつもりですが、なかなか伝わっていません。入場時には体温を測るサーモグラフィもありますし、手指消毒もあります。応援スタイルの規制もありますし、感染予防対策はしっかりしているということをもっともっと伝えていかないといけません。これは非常に時間がかかることですが、いかにその時間を短くするかが大事です」

 来季になれば客足が戻るなんて楽観視もしていません。
「コロナ前にいきなり元に戻るとは誰も思っていません。シーズンシートホルダーがどれだけ戻って来てくれるか。通常のシーズンであれば、シーズンシートホルダーは全会員の約85%が各試合平均で来場されますが、今季は70%に落ち込んでいる状況です。シーズンシートホルダーが安心して知り合いを連れて来られるように『安心ですよ、安全ですよ』と伝えていけるか、これをJリーグやクラブ、我々ぴあがやっていかないといけない。」

 再認識もありました。電子チケット・非接触型ICカードを用いたJリーグ全試合対象観戦記録システムのワンタッチパスはwithコロナ時代の強い味方になりました。
「ID登録したJリーグチケットでは販促のためにここ何年か顧客データを取ってきましたたが、コロナ禍においてすごく生きました。もし会場へ来て、何かあれば、データを追っかけられます。また特定の売り方をすることによって、より安心安全な観戦につなげることができました。今年はJリーグ以外のスポーツ団体や他の業界からも電子メニューについて数多くの問い合わせを受けています。非接触型IDで入場していく形が求められたのです。Jリーグではワンタッチパスを各クラブで導入しているのですが、よりワンタッチパスへ重きを置く方向へ進んでいます。このコロナ禍でIT化はより進んでいます」

 また、ぴあでは数年前からスポーツソリューションとともに、スポーツビジネスに精通した人材を輩出できないか、考えられてきたそうです。
「例えば、コロナで人数を制限しないといけない場合『どういう風に作業を進めていけばいいのか』、『どのようにお客さんにアナウンスすればいいのか』、クラブに理解している人がいないと、『ぴあさん、よろしく』となります。それではお客さんへの連絡が遅れてしまいます。そこでぴあからそういう知識を持った人材を送り出せないか。出向だとぴあではすでに100人ほどがクラブ・球団・劇場・ホールなどへ出向しています。去年のラグビーワールドカップでも組織委員会に10人近いスタッフを送り出し、試合が始まれば各ベニューにぴあのスタッフが立ち会いました。来年に予定されている東京オリンピックにも出向しているスタッフが結構います。ぴあから送り出せる人材が潤沢にいるわけではないので、『それでは育てましょう』と。クラブがチケッティングを理解した人材を一から育てるには大変ですので、そのお手伝いをしましょうというのがぴあスポーツビジネスプログラムの始まりです」

 ぴあスポーツビジネスプログラムでは現場の即戦力を育てようとしています。
「実際に現場で汗を流して動ける人を育てるのが特色です。4月から10月のカリキュラムでは前半でスポーツビジネスの概要を学び、後半からはJクラブのマーケティングや広報担当者の人の講義を組み込むとともに、ぴあの社員が直接教えます。スポーツビジネスに関する知識をただ植え付けるのではなく、現場で動けるような講義をしていきます」

 Jリーグだけではありません。プロ野球やラグビー新リーグ、VリーグにBリーグ、Tリーグなどあらゆるスポーツ競技団体へ人材の派遣を目指しています。ぴあが見据える未来像について、永島局長に聞くと、次のような答えが返ってきました。
「スポーツ界へ人材を輩出して終わりではありません。その後も頻繁に連絡とりながら、話していきますし、ぴあスポーツビジネスプログラムで学んだ人同士の横のつながりができてくれば、業界全体が活性化していきます。我々は黒子として動くので、それでスポーツ業界が発展すればいい。スポーツ業界が発展すれば、いずれチケット売り上げが伸びて我々にも収益という形で帰って来ますので」

 最後に永島局長は「手前味噌ですが、若い人に学んでほしいので、講義数も多く、価格も低く設定しています」と笑いながら、未来のスポーツビジネスの担い手へメッセージを送ってくれました。
「賛同者がいないと大赤字です。ぴあスポーツビジネスプログラムは賛同者があって成り立っています。この後、奨学金制度も考えています。スポーツは筋書きがない。コンサートはファンが行くので絶対に感動するし、映画も出来不出来はありますが泣きたい映画へ行けば泣けます。スポーツは賭けです。勝つか負けるか行ってみないとわかりません。お金を払って行ったのに、負けて悔しい思いをするかもしれません。でも、そこが面白いのです。そんな筋書きのない面白いスポーツの世界をあなたも一緒に作り出すほうに回ってみませんか」

取材・文=碧山緒里摩

ぴあスポーツビジネスプログラムはこちらでチェック!
https://fan.pia.jp/psb/


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