[写真]=兼子愼一郎
■FC東京 攻撃陣の復調は朗報だが、前節3失点の守備に一抹の不安
【プラス材料】
ミッドウィークに行われた前節・サンフレッチェ広島戦はラストワンプレーで追いつかれ、痛恨のドローに終わった。それでも長谷川健太監督は「最後の最後で隙を作ってしまったが、それまではしっかりといい戦いができていた」と、アウェイで得た勝ち点1をポジティブに捉えている。先制を許しても前半のうちに逆転し、7月12日の第4節・横浜F・マリノス戦(3◯1)以来となる3得点を挙げたことは明るい材料だ。
特にここ2試合はサイドでプレーしているFWディエゴ・オリヴェイラが、広島戦で6試合ぶりにゴールをマーク。ルーキーのMF安部柊斗もプロ初ゴールを決め、クラブ通算1000得点目となったこともチームを勢いづける要素となり得る。
前節終了後にDF室屋成がドイツへ移籍した。DF中村帆高がその穴を埋める形でチームにフィットし、大きく崩れることはなかったこともプラスだ。
【マイナス材料】
ACLの日程の関係で、8月15日から少なくとも15連戦が確定している。現在はスタメンがほぼ固定されており、連戦を乗りきるためにはメンバーのやりくりが必須と言えるだろう。
前節・広島戦は終盤にDFジョアン・オマリを投入し、3バックに変更して守備固めに入ったが逃げきりに失敗。安部が「4得点目を決めるチャンスがあったが、そこで決められなければこのような結果になる」と省みるように、ピッチ内での意思統一や個々の判断、選択が中途半端になったことは反省材料だ。
また、J1初出場後は2試合連続で無失点に抑えていたGK波多野豪だが、前節は3失点。控えに回るGK林彰洋も決して不調ではないため、彼らを含めて今節の先発メンバーは流動的だ。長谷川監督の起用策にも注目したい。
文:totoONE編集部
■湘南ベルマーレ 上位勢と互角に戦う力はある。今度こそ結果につなげられるか
【プラス材料】
前節の名古屋グランパス戦は後半アディショナルタイムの失点に泣き、0-1で敗れた。ただ、敗れてなおその内容をポジティブに受け止められるのは、第10節の横浜FC戦からの前向きな変化が確実に見られたからだ。
件の横浜FC戦では、持ち前の守備の強度が影を潜め、幾度も背後を突かれて前半20分までに4失点を喫した。それから中3日、彼らは球際や切り替えなど自分たちの原点を見つめ直し、限られた時間の中で修正を図った。
そうして臨んだ名古屋戦では前線から意欲的にプレスを仕掛け、連動して奪い、相手に押し込まれれば粘り強くゴール前を封じた。もちろん守るばかりではなく、攻勢にも転じている。勝負を決した失点の一連の流れは見直す必要があるだろうが、次につながる負けと言えた。
【マイナス材料】
依然として勝利が遠い。前節の名古屋戦では、粘り強く善戦するものの試合終了間際にセットプレーから失点して勝ち点を失った。これでリーグ戦5連敗と、なかなか結果がついてこない。
名古屋戦では自分たちの原点を見つめ直し、守備の強度を取り戻した。また、それに伴い、素早い攻守の切り替えと前への推進力も再び増している。そのうえで求められるのは得点力だ。ゴール前の精度を高めるのは当然ながら、リーグ屈指の走力を生かして何度も繰り返し波状攻撃を仕掛けたい。
今節対戦するFC東京は分が悪い相手だ。通算対戦成績は2勝4分9敗、相手のホームでも1勝2分4敗と、いずれも大きく負け越している。現状を打破するためには、過去の戦績をも覆すだけの奮起が期待される。
文:隈元大吾