2018.06.09

【ライターコラムfrom松本】「武神」が舞い降りた? “ツキ”を取り戻した永井龍、J2平定へ全開

今季、松本に加入した永井龍 [写真]=J.LEAGUE
1978年生まれ、東京都出身。長野県内の新聞社で15年まで勤務し、現在はフリーライターとして松本山雅FCを中心に信州スポーツを幅広く取材。クラブ公式有料サイト「松本山雅FCプレミアム」編集長も務める。

 天性のストライカーが、その能力を新天地でも開花させようとしている。今季、名古屋グランパスから加入したFW永井龍。ケガの離脱が続いていたがようやく復帰し、6日の天皇杯2回戦では本来のポテンシャルを感じさせた。42分。スルーパスに反応して完全に裏を取り、ワントラップして鮮やかな反転シュート。ゴールから逆算された一連の動作には一切のよどみがなく、100%に近い状態に戻ってきていることは一目瞭然だった。



「コンディション的にもだいぶ戻ってきたタイミングで天皇杯があって、久しぶりに長い時間(試合に)出ることができた。FWはああいうゴールを決めることでどんどん自信を持ってゴールにつながっていく。天皇杯ではあったが良かったと思う」

 その口ぶりには一定の充実感がにじむ。ただ今季は今のところ、リーグ戦では思うような結果を出せていない。3月末の明治安田生命J2リーグ第6節レノファ山口FC戦で肉離れを起こしたのが、ケチのつき始めだった。ようやく復帰したと思いきや、練習試合で頭部を強打したり左手指の腱を痛めたり。誕生日のトレーニングでは足の甲を踏まれて途中離脱。「何だかツイてないんですよね……。お祓いに行こうかな」とこぼしていた。

永井龍

今季序盤は負傷に苦しんだ[写真]=J.LEAGUE

 だが、ここから徐々にコンディションを上げてきた。実戦形式の練習ではMF工藤浩平との縦関係が抜群で、何度も裏を取ってはゴール。巧みに裏を取って多彩なフィニッシュワークを見せていた。そして天皇杯で、その手応えを確信に変えた。ちなみにこのゴールはオフサイドぎりぎりの飛び出しだったが、副審のフラッグは上がらず。「オフサイドぎりぎりのところでFWには運も必要。(運を)持っていないとオフサイドになったりするので、そこはプラスに捉えようと思っている」と永井。長らく見放されていた「ツキ」も、再び手繰り寄せられたのかもしれない。

 次はリーグ戦でその力を発揮するターン。「体も動いてきてスピードも出てきた中で、ああいうゴールが出たのでリーグ戦につなげていかないといけない。勝利に貢献はできたが、まだ自分の中でモヤモヤは残っている」と明かす。ロアッソ熊本を迎えたこの日の試合は延長PKまでもつれたものの、自身は73分にベンチに下がった。中2日の次節・京都サンガF.C.戦でもチャンスが与えられる可能性は十分にある。

 そもそも名古屋に所属した昨季はJ1昇格プレーオフを制してJ1昇格を経験したものの、自身のパフォーマンスには納得がいかず「シャーレには一切触っていない」。そのエピソードは折に触れて披露しており、松本でそれを達成するためにはここからが正念場となる。

 実はお祓いこそしていないが、高速道路に乗って諏訪大社の上社本宮にお参りしたという。V・ファーレン長崎でリーグ5位の17ゴールを積み上げた2016年も、諏訪神社の分社に足繁く通っていた。くしくも諏訪大社の祭神は、武神としても知られるタケミナカタだ。「リーグで上に行くため、優勝するためのゴールを決めたいと思ってきたのでまだまだ足りない」と力を込める永井。「ツキ」の力も借りながら、混戦模様のJ2を平定していく。

文=大枝令

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