2018.05.26

【ライターコラムfrom金沢】新天地で攻守のキーマンへ…藤村慶太「やってきたことは間違ってない」

ツエーゲン金沢の攻守のキーマンになるため、藤村慶太は進み続ける [写真]=J.LEAGUE
フリーライター。J2昇格初年度の2015年から、ツエーゲン金沢の番記者として取材活動を開始。J2一年目の快進撃、二年目の残留争いを肌で感じ、監督が替わった三年目は新たなチーム作りを見届ける。

「仙台での自分の状況だと、やっぱり試合に絡むことが少し厳しいと思った。だけど、自分のプレーには自信があったので、オファーをくれたチームで一からしっかり環境を変えてやることも、自分にとって大きなものになると考えた」

 ツエーゲン金沢のMF藤村慶太は、今季の始動直後にそう話した。藤村は今季、ベガルタ仙台から金沢に期限付き移籍で加入した。自分自身を冷静に見据えた上での決断だった。金沢の柳下正明監督は新潟時代に仙台と練習試合をした際、藤村の「技術的な攻撃センス」を見出していた。藤村のプレースタイルは「ボールをつなぐ、落ち着かせるところは自分のストロングポイント。常に視野を広く持ったプレーを見てもらいたい」と本人が話すように、中盤で試合を組み立てるパサー。キックの精度が高く、プレースキッカーの役割も担う。第15節までを終え、藤村は11試合に先発し、直近9戦は先発フル出場を続けている。

「最初はスタメンで出られない状況から、自分の力で最近はスタメンに定着してきているので、自分のやってきたことは間違ってなかったなと思う」。シーズン序盤は「守るときは基本的に人に付いていくし、受け渡しとかがあまりないので、仙台とは少し違う部分がある」金沢の守備に多少の戸惑いもあったが、徐々にチームにフィットしてレギュラーの座をつかんだ。ピッチ上には、マークを見つける、マークが決まったら付いていくというチームの原則通りに守備をこなす藤村の姿がある。0-5の敗戦を喫した松本山雅戦でも、失点につながりそうな場面の一歩、二歩手前に顔を出してカバーする姿が印象的だった。「身体能力はそんなに高い方ではないと思っているので、頭の部分で読みを大事にしている」という。

課題を克服すれば、さらなるスケールアップも

[写真]=J.LEAGUE

 ただ、最大の強みはやはり攻撃面。攻撃のスイッチを入れる縦パスは一見の価値がある。いまの金沢は攻撃の連動性が不足しており、得点も少ない。これはチーム全員で取り組むべき継続課題のため、一人で解決することは不可能。とはいえ、今後も攻撃の組み立て、チャンスメークにおいて藤村の存在は欠かせないだろう。

「自分はこんなにずっとスタメンで試合に出るという経験はなかった。体も動くようになってきているし、試合の中で自分の『もっとこうやらないといけない』というのも見えてきている」と、試合に出続けるからこそ得られるものを自らの成長につなげていく。「捌くだけではなくて、ちょっとドリブルで相手陣地に運んだり、そこからのスルーパス、シュートの精度を高めてゴールを決められる怖い選手になれるように。守備では球際にもっといきたいし、セカンドボールをしっかり拾えるように今後もやっていきたい」。今年プロ7年目を迎えるボランチが、金沢の地で全体的なスケールアップを目指す。

文=野中拓也

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