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【インタビュー】“元『FIFA』日本一”が語る『eJ.LEAGUE』

かつて『FIFA』シリーズで日本一に輝いた羽染貴秀さん [写真]=渡辺真行(Agence SHOT)

 5月4日、Jリーグが主催するeスポーツ大会、『明治安田生命eJ.LEAGUE』決勝ラウンドが開催される。

 優勝者には世界大会『FIFA eWorld Cup』への扉が開かれるこの大会、解説を務めるのはかつて『FIFA』シリーズで日本の頂点に立った男だ。

 “元日本一”の肩書きを持つ羽染貴秀さんのゲーム人生、そして、決勝ラウンドの展望を聞いた。

インタビュー・文=関口剛
写真=渡辺真行(Agence SHOT)

■かつては年間2、3000試合プレイしていた

羽染貴秀

[写真]=渡辺真行(Agence SHOT)

──まずは羽染さんご自身についてお聞きします。“元『FIFA』日本一”という肩書きをお持ちですが、もともとサッカーはお好きだったんですか?
小学校1年生くらいからやっていて、中学校の時もサッカー部に入っていましたし、サッカーゲームも遊んでいました。「高校でも部活をやろうかな」って思ってたんですけど、僕が入った高校は部活があまり盛んじゃなかったんですね。で、ちょうどその頃に『FIFA』に出会って。その時、16歳。今年で11年目です。ずいぶんやったなあ(笑)

──じゃあ高校では部活に入らなかったんですね。
そうですね。真面目にサッカーに打ち込むっていうのは中学校で終わりました。でもサッカーは好きだったから、サッカーゲームを本格的にやり始めた。もちろんその頃は「日本一になりたい」なんて思っていませんでしたけど、学校が終わって家に帰って18時くらいから明け方3時とか4時までゲームしていて。ご飯とお風呂以外はずっとゲーム、という生活だったので、部活よりよっぽどハードだったかもしれません(笑)

──友達を家に呼んでみんなでワイワイやるというよりは、一人でストイックにやっていた感じですか?
中学まではワイワイやっていましたけど、高校はオンラインで対戦ばかりしていました。ちょうどPS3とかXbox360といった当時の“次世代機”が登場した時期だったので、オンライン対戦が当たり前になった頃なんです。見ず知らずの人、それも日本だけじゃなくて世界中の人と対戦できるのが当たり前になった。

──そうして世界中の人との対戦を重ねた結果、2012年3月に行われた『FIFA Interactive World Cup 2012』(現・FIFA eWorld Cup)の日本予選で優勝し、“日本一”の称号を得ました。どういうきっかけで大会に参加したのでしょうか?
実はサッカーゲームの大会に出たのはそれが初めてだったんですよ。友達に「出ようよ」って誘われて、「いいよ。じゃあ決勝で会おうぜ」って約束したんですけど、その友達は1回戦で負けて僕は優勝するっていう(笑)。

──その後、ドバイで開かれた世界大会に日本代表として参加されましたね。どんな大会でしたか?
僕は初めて大会に参加した身だったし、そもそも当時はあまりゲームの大会に関する情報が出回っていなかったので、「どんなもんかなあ」という感じでした。で、行ってみたら「FIFAってちゃんとしてるな」って(笑)。ブルジュ・ハリファで抽選会をやったり、ブルジュ・アル・アラブで大会が行われたり、PVを撮影するために水陸両用のヘリを飛ばしたり。ホスピタリティがすごいんですよ。成績としてはグループリーグで1勝1分け4敗。6人中4位で決勝トーナメントに進めず、でした。本当に一瞬で終わっちゃった、という感じです。

──世界との差を感じる瞬間はありましたか?
やっぱり勝利に対する執念が全然違う。点を取ったら叫びますしね。いきなり横で叫ばれるとやっぱりビビっちゃいますよ(笑)。僕は当時アマチュアだし、生活がかかっているわけじゃなかったし、なんとなく参加した大会だったので。でも海外には当時からプロゲーマーがいて、『FIFA』では世界で一番大きい大会なので、「絶対に勝たないといけない」という感じで参加してますからね。

──情報を含めた環境面にも、参加する選手の気迫という面にも差があったんですね……。それから5年半の月日が経過しましたが、今はどんな活動をされているんですか? プレイヤーとしては一線を退いたんでしょうか?
やりたい気持ちはあるんですけど、2012年当時は年間で2、3000試合はしていたんですが、今はせいぜい200試合くらいしかできないんです。そうなると、絶対に勝てない。もし選手として復帰するなら、会社を辞めてチームに所属するしかないんですが、それは怖いので一般社会に逃げているというか(笑)。でもゲームは捨てられないから、今はJeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)の一員として働いています。元プレイヤーという強みを生かして、eスポーツの普及・促進する活動をしています。

■eスポーツは“共通言語”

羽染貴秀

[写真]=渡辺真行(Agence SHOT)

──そうして今なおeスポーツ界に身を置く羽染さんが、5月4日に開催される『明治安田生命eJ.LEAGUE』(以下、『eJ.LEAGUE』)決勝ラウンドの解説を務めることが発表されました。まずは大会開催の一報を聞いてどんな感想を持ちましたか?
「久しぶりだね!」。それと「ついに来たか!」と「思ったよりも早かった!」ですかね(笑)。これまで『FIFA』の世界大会の予選が日本で開催されたのは、2010年と2012年だけなんです。つまり今回で3回目。そういう意味では「久しぶりだな」という思いです。あとは昨年はオランダで、今年はドイツやアメリカでもその国のリーグが関わる予選が行われていて、「海外では盛り上がっているけど、日本ではやらないのかな……」って思っていたので「あ、やるんだ!」みたいな。

──すでに決勝ラウンドに進む15名の選手が出揃っていますが、知っている方はどれくらいいますか?
半分くらいですね。J1推薦枠の選手や世界大会に出場している選手は知っています。ただ、ここまで残る選手たちの実力は確かだと思うので、どこで差が生まれるかというと、「オフラインに慣れているかどうか」。つまり目の前に対戦相手がいて、会場にはお客さんがいて、という状況で緊張するかしないか。あとはやっぱり勝利への執念ですよね。J1推薦枠の選手たちはずっと世界を目指している人たちなので、そこは違いが出るかもしれません。

──ただ、トーナメントでJ1推薦枠の選手同士が潰し合う、という展開もあり得ますからね。
そうです、そうです。

──実際に『FIFA』で対戦したことがある方もいますか?
もちろんです。J1推薦枠で対戦したことがないのは「アヤックス ボブ」さんだけですね。「マイキー」さんはずっと安定感があってすごいなって思いますし、優勝候補筆頭だと思います。個人的にすごく応援しているのは「ファントム」さん。『FIFA Interactive World Cup 2012』の世界大会から帰国した後に、Twitterを通じて「対戦しましょう」って誘われて。10試合くらいオンライン対戦をしたんですけど、全部5−0とかで勝ったんですよね。完膚なきまでに、というか。そこからこの舞台まで上がって来るっていうのはすごいなって(笑)。彼はオフラインでも集中力を切らさないメンタルがあるので、もしかしたら、とは思います。それに「青黒豆」さんも強いんですけど、「マイキー」さんも「青黒豆」さんも普段はXbox Oneを使ってプレイしているんです。『eJ.LEAGUE』ではPS4が使われるので、使用感とかFUT(FIFA ULTIMATE TEAM。『FIFA』のゲームモードの一種で、『eJ.LEAGUE』の採用ルール)の選手の収集状況という面でPS4ユーザーの「ファントム」さんに追い風が吹くかもしれませんね。

──他に注目している選手はいますか?
「ナスリ」さんや「かーる」さんなんかは実績もありますし、実力は間違いないですね。

──先ほど「アヤックス ボブ」さんとは対戦したことがない、と仰っていましたが、過去の戦績をご覧になっていかがですか?
実績は十分ですよね。『FIFA』シリーズは前作からとプレイ経験は浅いんですが、これまでオランダでプレイしていたので、ネットワーク環境が良かったり、強い選手が近くにいるという練習環境が良かったから上達が早いんでしょうね。僕は『FIFA』に限らずeスポーツの世界でトップを目指すなら、海外に行ったほうがいいと思ってるんです。そういう意味では、アヤックスからサガン鳥栖に加入した「アヤックス ボブ」さんのようなシステムは歓迎したいですし、海外を身近に感じられるチャンスを得られるのはすごくいいと思います。

──決勝ラウンドや今後の『eJ.LEAGUE』にどんなことを期待しますか?
出場する選手に対しては、悔いなく戦ってほしいと思います。何となく来て、何となく帰るってすごくさびしいじゃないですか。ここまで来たからには全力でぶつかってほしい。各選手が本気で戦い合って、最後には泣いて笑ってじゃないですけど、スポーツマンシップにあふれる大会になったらいいなと思います。優勝した選手は『FIFA eWorld Cup』につながる『Global Series Playoffs』に進出しますが、戦ったみんながその選手を認めて、「応援しに行こうぜ」っていうくらいの仲間意識が生まれる大会になってほしいです。「アヤックス ボブ」さんについても、せっかく海外からやって来たというのもあるので、今後オンライン対戦をしたり、情報交換したりするような仲間を『eJ.LEAGUE』で作ってほしいですね。

──選手同士のコミュニティが築かれる場になってほしい、と。
僕は、eスポーツって共通言語だと思ってるんです。海外に出て初めて会った人とでも、「Let’s Play!」のひと言で『FIFA』で対戦できるんですよ。その後、Twitterで交流したりとか。大会に出るまでやり込んでいる人同士に、言語なんて関係ないんですよ。それくらい本気で打ち込んでるから。そういう部分では、他のスポーツと全く一緒なんだと思います。

『明治安田生命eJ.LEAGUE』公式HP

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