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【土屋雅史氏のJ2展望】讃岐はチーム最多タイ得点のFW重松に注目…“両翼”が機能する大分は横浜FCを下すと予想

2018.04.13

讃岐のFW重松健太郎は、チーム最多タイの2得点を挙げる活躍を見せている [写真]=J.LEAGUE

■苦難の時を経てプレーの幅を広げた、讃岐の背番号19

 1勝2分5敗で最下位に沈む讃岐と、2勝6敗で21位と苦しい戦いが続く愛媛。非常に難しいシチュエーションで実現する“北四国決戦”。このゲームからは、古巣対決を迎える讃岐の背番号19をフィーチャーしたいと思います。


 ここまでリーグ戦全8試合に出場し、チーム最多タイの2得点をマークしているFW重松健太郎。今季は左サイドハーフでの起用が多くなっていますが、やはり重松と言えばストライカーのイメージが強烈な選手という印象があります。

元々はストライカーとしてプレーしていた重松だが、今季は左サイドハーフで出場することが多い [写真]=J.LEAGUE

 FC東京U-18在籍時に一躍注目を集めたのは2008年のクラブユース選手権。全試合で途中出場ながら6得点をマークして、柏U-18のFW工藤壮人とともに得点王を獲得すると、決勝のスタメン9人がその後にJリーガーとなるタレント集団だったチームも見事日本一に。背番号10を身にまとい、エースストライカーとして連覇に挑んだ2009年のクラブユース選手権では、MF扇原貴宏とFW杉本健勇がセンターバックでコンビを組んでいたC大阪U-18に決勝で敗れ、準優勝という結果を突き付けられたものの、冬のJユース杯で4試合8得点という活躍でチームを牽引し、再び日本一を獲得。DF阿部巧、DF平出涼とともに大きな期待を集めながら、トップチーム昇格を果たすことになりました。

 ルーキーイヤーの活躍も鮮烈。J1第4節の大宮戦で56分からピッチに立つと、79分にはDF長友佑都の左クロスをヘディングで合わせ、デビュー戦ゴールも記録。第7節の京都戦では自ら奪ったPKを決めるなど、強心臓ぶりも発揮し、1年目から19試合3得点と及第点の働きを披露。翌シーズンは福岡に期限付きで移籍し、J1の舞台で25試合2得点と着実に実戦経験を積み重ねていきます。

 ただ、2012年の夏にやはり期限付きで加わった甲府で左ひざ半月板を損傷し、長期離脱を強いられると、翌2013年も愛媛へと期限付き移籍。前線の核と期待されながら、負傷の影響もあってなかなかコンディションが整わず、2014年に完全移籍を果たした栃木でも活躍するまでには至らずに1年で契約満了となり、翌シーズンは開幕直前に町田へ加入。プロ生活7年で6つ目となるクラブへ新天地を求めました。

 すると、2015年は飛躍の年に。J3でリーグ戦全試合出場を果たし、町田のJ2昇格に大きく貢献。ストライカーポジションではなく、サイドハーフ起用が多かったなかで、持ち前のアグレッシブさが攻守に機能します。2017年まで3シーズンに渡ってプレーした町田での日々が、重松の幅を格段に広げたのは間違いのない所。今シーズンも讃岐では左サイドハーフで起用されながら、前述したように2得点を記録しつつ、守備時の献身性も確かな武器に、チームの中で存在感を高めています。

 個人的に思い出深いのは、やはり高校時代にその強気な性格から審判に食って掛かることも少なくなく、そのたびに当時の指揮官だった倉又寿雄監督や、時にはサポーターからも「健太郎、抑えろ!」と言われていたこと(笑)。それぐらいのアグレッシブな姿勢が彼の最大の魅力でもあるので、その頃からプレーを見てきた者としては、是非その部分を失わずに、これからも活躍してほしいと思っています。さて、22位と21位という両者の立ち位置を考えても、このゲームは激戦必至。もちろん重松にも注目しつつ、過去リーグ戦8度の対戦で、愛媛相手には1度も勝利のない讃岐が歴史を変えると予想。今回は「1」にマークします!

■チームの結果を左右する、大分の“左の翼”

 怒涛の4連勝で2位まで浮上した大分が、ここ3戦未勝利の10位横浜FCを大分銀行ドームで迎え撃つ今節。この一戦では好調大分にあって、今季からの新加入ながら、“左の翼”として躍動を続けるDF星雄次をピックアップしたいと考えています。

2位と好調を維持する大分の原動力となっている星。今季新加入ながらチームに欠かせないピースとなっている [写真]=J.LEAGUE

 横浜FMジュニアユース新子安時代は、双子の兄に当たるMF星広太やMF松本翔、FW吉田眞紀人らが同期。昇格したユース時代は2つ上にMF齋藤学、FW端戸仁、MF佐藤優平、1つ上にMF天野純、MF小野悠斗、同期にFW小野裕二という顔触れの中で腕を磨いた雄次。3年時には右サイドバックとして、後輩のMF熊谷アンドリューやMF喜田拓也とともにクラ選ベスト4進出に貢献すると、ハイライトはJユース杯。相次ぐハイスコアの打ち合いを制して決勝に進出すると、そのファイナルでは雄次が先制ゴールを記録。チームも延長戦の末に優勝を勝ち獲り、日本一という勲章を引っ提げて法政大学へと進学します。

 大学時代にも関東選抜に選出されるなど成長を続けた雄次は、卒業と同時にJ3の福島への加入が決定。神奈川大時代はリーグ戦で兄弟対決を繰り広げた広太も福島へ加わったことで、星ツインズは同じチームでプロ生活をスタートさせることに。そして、開幕スタメンでJリーグデビューを飾り、以降も出場停止の1試合を除いて35試合にスタメン出場を果たし、5得点をマークした雄次は、翌シーズンにJ3王者の山口へと完全移籍。攻撃的サッカーを志向するチームとともに、J2のステージへ乗り込みます。

 山口での2シーズンは準レギュラー的な立ち位置で、様々なポジションを高次元でこなしながら出場機会を確保。首位争いと残留争いを経験しつつ、自身の実力を着実に伸ばしていったことが評価され、今季は5年ぶりのJ1復帰を狙う大分へと完全移籍。早々に左ウイングバックの定位置を掴み、第5節の水戸戦と前々節の千葉戦で得点を奪うなど、積極的な上下動と高い技術でチームにアクセントを加え続けています。

 4連勝を達成した前節の京都戦でも、“右の翼”を託されて躍動しているMF松本怜との両翼は相手の脅威に。後半には雄次の突破から怜がフィニッシュを迎えれば、逆に怜の仕掛けから雄次が惜しいシュートを放つなど、両ウイングバックでゴールへの意欲を完結させるシーンも。注目の1トップ2シャドーや、安定感のあるドイスボランチに負けず劣らず、雄次と怜の“両翼”がチームの勝敗にもたらす影響力は日に日に増していっている印象があります。

 大分と対峙する横浜FCは、開幕3戦無敗と絶好のスタートを切ったものの、現在は3戦未勝利とやや調子を落とし気味ですが、前節の福岡戦はいったん逆転を許しながら、後半終了間際にDF川﨑裕大のゴールで追いついて勝ち点1を獲得。アウェイゲームとはいえ、今節で4試合ぶりの勝ち点3を手にしたい所です。ただ、やはり今の大分と雄次&怜の“両翼”がもたらす勢いは無視できないレベル。この90分間はホームチームの勝利を予想し、「1」にマークしたいと思います。

文=土屋雅史

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! 『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』はサッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/)』にて好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第9節
2018年4月15日(日)14時キックオフ
カマタマーレ讃岐vs愛媛FC(Pikaraスタジアム)

■明治安田生命J2リーグ第9節
2018年4月15日(日)14時キックオフ
大分トリニータvs横浜FC(大分銀行ドーム)

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